CMS導入前にしておきたい質問

システム要件やニーズに合わせて様々な CMS が選べるようになった現在。選択肢が多いからこそ、導入が目的でただ作ることができなくなりました。CMS 導入前に適切な質問をすることで、課題の答えがシステム導入以外であることに気付くことがあります。

今注目されている Micro CMS

従来は Joomla, WordPress, Drupal, Movable Type 辺りから制作者の肌に合うツールを選ぶ場合がありました。これらは今でも十分に使える高機能 CMS ですが、機能が多過ぎることから、メンテナンス、運営、ワークフローをしっかり設計していないと、複雑で扱い難いものになることがあります。無料から使える小中規模 CMS は出そろった感がありますが、ここ 1, 2 年ほど新しい CMS を幾つか見かけるようになりました。

  • Pico : 静的ファイルを管理する CMS
  • Dunked : ポートフォリオに特化した CMS
  • Koken : こちらもクリエイティブ向け CMS
  • Leeflets : 1ページサイトを手軽につくる CMS
  • Ghost : Markdown で書けるブログツール
  • Dropplets : こちらも Markdown で書けるブログツール
  • Anchor : ドラッグ&ドロップでつくれる CMS
  • Monstra : プラグインも豊富な軽量 CMS
  • Kirby : APIのように独自タグが書ける CMS

これらは、多機能 CMS と比較するかたちで「Micro CMS」と呼ばれることがあります。機能は少ないですが、データベースを必要としないものがあるなど、シンプルで軽量(高速)であることをアピールしています。また、用途を特定したものも出てきており、「どれを使ったら良いか分からない」という人には良い目安となるものもあります。

これらはサーバーにインストールして使うタイプですが、Virb, Squarespace, Jimdo のようにホスティングと CMS をセットで提供しているサービスも増えてきています。コンテンツの配信経路をいちはやく確保したいのであれば、大企業も利用している Tumblr でも良いわけです。

CMS導入が目的にならないように

新しい CMS を無闇に試す必要はありませんが、制作者にとって「作りやすい」という理由だけで、ひとつのツールに固辞するのは、サイト管理や運営の負荷に繋がります。また、多機能であるが故に、無理矢理システムを実装して、肥大化したり管理の手間を増やしてしまうこともあります。時には多機能 CMS は必要ですが、最適な CMS を選ぶ際に、以下のような項目をクライアントと一緒に考えるのがベストです。

CMS で何を配信したいのか?
頻繁に更新するところはどこでしょうか。例えば、ニュースの更新を毎日行いたい場合、サイト全体の管理と同じシステムを使わなくても、ニュース更新に最適な小さなシステムを導入することも考えられます。
CMS 導入で何を達成したいのか?
システム導入と効率化はイコールではありません。導入の発端となっている理由を聞き出すことで、何が必要なのかがみえてきます。ワークフローの改善や、ガイドラインの制定など、システム導入や複雑なカスタマイズをせずに解決する課題もあります。
誰がどれくらいのリソースをサイト運営に割けるのか?
様々なコンテンツが入る素晴らしいシステムを導入して、見た目の良いサイトが公開されても、それを育てるためのお金と時間を十分に確保していない場合があります。コンテンツの更新は可能な限り社内で行いたいところ。社内のリソースで可能なサイト管理ができる仕組み作りが必要です。

使うシステムがあらかじめ決まっている案件でも、上記の質問を応用することができます。モジュール・プラグインを使えば、どこまでも多機能になる今の CMS。「できるから」という理由だけで機能を追加すると、コストをかけたわりには、会社の利益に貢献しないサイトが生まれることがあります。

Webサイト管理の効率化だけが目的で CMS を導入することは良くありませんが、CMS を導入したほうが良いという場合も当然あります。訪問者がどんどん流出し、コンバージョンも落ちているにも関わらず、現存 Web サイトの修正が追いつかないのであれば、CMS を導入するチャンスです。コンテンツの整理や品質チェックなど、サイトの『大掃除』をすることで、CMS の導入がよりスムーズになります。CMS は使いこなせば便利ですが、答えはシステム導入以外のところにあるかもしれません。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。