Webサイト運営でしてはならない質問

「どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?」ではなく「利用者に提供したいコンテンツは何か?」という質問に切り替えるだけで、顧客との深い関係を築くことができるサイトへの可能性が広がります。

どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?

これは Web サイトを構築・運営においてよく耳にする質問ではありますが、投げかけるべき質問なのかどうか疑問です。私が知っている方の多くは質の高い HTML マークアップが出来る方が多く、妙な SEO トリックを使うことなく検索エンジンの上位に作成したサイトを表示させることが出来るでしょう。しかし、Web サイトにたくさんの方が多く訪れたらそれで良いのでしょうか。1日に数百万の方がアクセスするようになったとしても、彼等がそこで何もしなかったら意味がありません。Web は世界中に広がる大きなネットワークですが、Web だからこそ量ではなく質がものをいいます。訪れる人たちを顔が見えない数字として捉えるのではなく、どのような人たちに来てもらいたいのか、何を提供出来るのか、何を利用者にしてもらいたいのかを問いかけなければいけません。

つまり「どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?」ではなく「利用者に提供したいコンテンツは何か?」を追求するべきでしょう。実はこのシンプルな質問の変化が Web サイト制作・運営に大きく関わってきます。

もしいつものように「どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?」と質問を投げかけるとしましょう。この質問をすると SEO 対策を真っ先に考える方がいると思いますし、賑やかしのためのキャンペーンを企画することも考えられます。これらの手法そのものが間違っているわけではありません。キャンペーンも上手くいけば口コミにのって話題になることもあります。しかし、大成功するのはほんのわずかですし、多くのキャンペーンは長期にわたって上質のコンテンツを提供していた場合もあります。変な鶏キャンペーンで有名な Burger King にしても、この他に若者受けしそうなコンテンツを常に提供している結果といえます。

「どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?」という質問はテクニカルな部分に目先が行ったり、自己主張が強いものや賑やかすことに注目しやすくなる可能性があります。

では「利用者に提供したいコンテンツは何か?」にするとどうでしょうか。この質問をすることでサイトデザインにも関わる重要な部分も見えてきます。

  • そのコンテンツとはそもそも何か?サービスの提供?製品販売?
  • Web サイトでそのコンテンツを提供するべき理由 (コンセプト)
  • そのコンテンツをどのように利用してもらうのか (シナリオ)
  • 誰に向けてコンテンツを提供したいのか (ターゲットユーザー)

上記の質問をみても分かるように、導き出される質問が Web サイトを運営している自身 (自社) ではなく、訪問者に視点が向いています。「どうやったら人がもっとサイトに訪れるのか?」と尋ねても似たような結果になる可能性はありますが、ちょっと質問の仕方を変えるだけでもデザインプロセスが明確になる場合があります。

雑誌やWeb上で話題になるのは派手なものが多いですが、本当に成功しているマーケティングは長期にわたり質の高いコンテンツを提供し続けています。Web だからといって顧客との関係が簡単で効率よく行えるものではありません。人の関係と同じように長く保ち続けてこそ意味をもつと思います。今も昔も変わらない部分なのでしょうね。

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筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。