必要なコンテンツを見つけるシナリオつくり

すべてのコンテンツが平等に並ぶことはなく、必ずプライオリティがあります。ときには削除するという厳しい選択を強いられることもあります。プライオリティをつくる、決めるという工程は、デザインでも有効な手法です。

circles3

すべてのコンテンツが重要ではない

「コンテンツは既にある」「当然コンテンツは重要だから、きちんと見せる」という考えは珍しくありません。しかし、すべてのコンテンツが重要とは限りません。

リニューアル案件だと、コンテンツが既に揃っているかのように見えますが、実は削除すべきコンテンツが幾つか隠れています。きちんと作ってあるかのように見えるコンテンツも、調べてみると、利用者にもクライアントにも望まれていないコンテンツがそのまま残っていることがあります。コンテンツを一望することができる、コンテンツ インベントリー をつかえば、古いコンテンツ、重複しているコンテンツ、誰もアクセスしていないコンテンツが見つけやすくなります。また、現行のブランド戦略や伝えたいメッセージと合わないコンテンツも削除か、編集・結合の対象になります。

Web は無限にコンテンツを保管しておくことができるので、何でも『とりあえず』掲載しておくことは可能です。しかし、明確なガイドラインがないまま、コンテンツを加えていくと、誰も手に負えないフランケンシュタインのような Web サイトになることがあります。誰も目を向けることなく、新しいデザインで覆い隠すということもあります。

古いコンテンツを覆い隠したまま放置したり、明確なガイドラインのないままコンテンツを増やし続けることで様々な問題が発生します。

  • マルチデバイスに向けて配信となると、コンテンツが多ければ多いほど維持・管理コストがかかる。
  • 古いコンテンツへアクセスしたことによるサポートやヘルプの複雑化の可能性。
  • サイト全体構造の複雑化。

古いコンテンツであれば、削除する...というほど単純なことではありません。多くの場合、他のコンテンツと結合したり、再編集をすることになります。誰かの手によって作られたコンテンツですが、厳しい目でコンテンツの見直しが必要ですし、「削除する」という選択肢は常に考えておく必要があります。

シナリオがコンテンツを決める

様々なコンテンツを掲載して、盛りだくさんな雰囲気をつくることが、必ずしも良いことではありません。充実しているというよりかは、照準が定まっていない可能性があります。どのような人が、何を求めて Web サイトに訪れているのかを明確にしていないからこそ、たくさんの選択肢と情報を掲載するという状態に陥ります。利用者像が見えていないからこそ、(利用者のためになるコンテンツとは言い難い)情報をたくさん載せるということになる場合があります。

User Mapサイトマップでは見えにくい、利用者の動向やニーズを視覚化することで、どのような導線をつくるべきなのかが見えてきます。

こうした状況が、数年後に削除が必要になる無駄なコンテンツを増やしたり、メンテナンスコストを増幅に繋がります。こうなることを、可能な限り事前に防ぐ必要があります。利用シナリオは、コンテンツのプライオリティを共有するための最適なツールです。

利用シナリオを作ることは、幾つかのメリットがあります。

  • 利用者が本当に求めているコンテンツが何かを見つけるヒントになる
  • 同時に、それほど重要ではないコンテンツが何かも判断しやすくなる
  • 誘導のキッカケになるコンテンツは何か、誘導に必要なコンテンツの量はどれくらいか見えてくる
  • 利用者の目的な何で、どのような経路を辿るのかが想像しやすくなる
  • 利用者がどのような経路でサイトへ訪れているのかが分かりやすくなる(誰もがトップページから訪れているとは限らない)

必要なコンテンツを洗い出したところで、すべてのコンテンツを再編集するほど時間と予算が用意されていない場合があります。そんなとき、シナリオを基に決めたプライオリティを優先に作業をすることができます。すべてのコンテンツが平等に並ぶことはなく、必ずプライオリティがあります。プライオリティをつくる、決めるという工程は、デザインでも有効な手法です。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。