職種ではなく自分として仕事をするためのヒント

トレンドや表層的なところを見ているだけでは理解出来ない『水面下』を知ることが、ずっと使えるあなたの知識になります。その知識を活かした仕事をするためにも、あなたが一体何者なのかを知ってもらうことが重要になります。

先週末、パンダの会 その陸が開催されました。5月に @3panda さんと対談をしたことがキッカケで実現した今回のイベント。パンダの会は Web サイト制作をはじめてまだ 1, 2年くらいの方を主な対象としていますが、この日はおなじみの顔ぶれもチラホラあり、リラックスした雰囲気で行われました。今回のお題は『Webをつかって何をしたいか見つけ出そう』。先月開催された WebSig 1日学校では、多くの先生がキャリアについてお話されていましたが、私はパンダの会でキャリアについて話すことになりました。

2006年と2011年で流行った技術や言葉の比較2006年に流行していた言葉や技術を前面に押し出してアピールしている企業や個人はいるでしょうか。2011年のトレンドも同じようなことになるでしょう。

Webは動きが目まぐるしく、トレンドについていくのが精一杯になりやすいところから、数年先を見据えたプランが立てれないことがあります。誰もが予測は出来ますし、それが時に的中することがあります。しかし、我々が必要なのは予測ではなく次へ繋げるための力です。何年後には使い物にならなくなる可能性がある技術やノウハウを追いかけているだけでは、自身に何も残らない可能性があります。何年後にも残る・・・又は将来に繋がる考え方や手法はあるのでしょうか。

技術・トレンド中心だから振り回される

A List Apart でアンケートをとった職種に関する質問の結果A List Apart が発表した 2010年度のアンケート結果。Web サイト制作者に向けたもので、上記は職種に関する回答の上位5つ。

私たちは時に職種を気にし過ぎるところがあると思います。
作る人である以上、技術やトレンドを気にせざるおえませんが、技術が私たちの仕事を定義するわけではありません。職種がかえって私たちの仕事の範囲や考え方を狭めてしまう場合があります。上記のアンケートをみると分かりますが、日本でよく呼ばれるような職種がトップ5になかったり、非常に低い割合です。世界規模で見ると Web の仕事に携わる多くの方は自らをシンプルに Developer(開発者)と呼んでおり、そこには技術の名称や特殊な用語も付随していません。彼等の多くのはマークアップだろうが、プログラミングだろうが自由に学んでいます。Webデザイナーも Photoshop や Fireworks といったグラフィックツールが使える人というよりかは、Webサイトをデザインするために必要なノウハウや技術を習得している傾向があります。

もちろん日本と同様、海外でも特定の分野を徹底的に追及した「エキスパート(Expert)」と、広い範囲の知識をもった「ジェネラリスト(Generalist)」とどちらが良いのかという議論がされています。この議論は働いている環境によって変わります。フリーランスであればジェネラリストであるべきかもしれませんが、組織に属しているのであればエキスパートのほうが重宝される場合があります。いずれの場合にせよ、数年先を見据えて仕事はしなければいけないでしょうし、今現在の状態がいつまでも続くという考えではいけません。エキスパートだと、特定の技術をずっと突き詰めていればそれで良いわけではありませんし、ジェネラリストも慣れ親しんだ範囲で満足はしてはいけません。

Webをデザインする人は、コミュニケーションのプロフェッショナルであり インタラクションを作るヒト

では、何を学べば良いのか。
WebSig のセミナーでも話しましたが、デザインは目に見えないユーザーモデルを考えることが大半です。幸いなことにこの部分は、技術やトレンドのように目まぐるしく変わるものではなく緩やかな変化です。今後、Webサイトを作ることだけを Webデザインと指すわけではなくなるわけですから、根底の部分を追求することがますます重要になります。今セミナーでも表層的なところよりさらに深いところへの興味と勉強をすることが Web デザインには欠かせないと話したのは、それこそ何年後も『残る』知識だからです。

自分がしたい仕事が来ない理由

皆、忙しく仕事しているわけですから、仕事仲間がどのような仕事を求めているのか察する時間はありません。仕事を待っている間はあなたがしたい仕事ではなく『作業』がくるだけ。誰もあなたがしたい仕事に積極的な興味を示してくれるわけではありませんし、空気を読んで欲しそうな仕事をアサインしてもくれません。自分が主張をしたり、何か最初にアクションを起こさない限り、変化は起こりません。

例えば、UXが自社で理解されないという方もいるかと思います。もちろん、それは簡単なことではありませんが、浸透している会社は必ずといっていいほど誰かが地道な活動をした結果である場合が多いわけです。これと同様に、あなたがやりたいと思う仕事を手に入れるには、あなたが一体何者であるかを自ら主張していくところから始まります。

随分前からブログを書くことが重要と言い続けていますが、今とても重要な時期です。

デザイナーであれば、ポートフォリオをつくれば良いと考えるかもしれませんが、作品を並べるだけでは不十分です。作品だけだと見ている側の主観的なテイストだけの話になり、デザイナーが一体どのように考えて作ったという裏側を知ることが出来ません。結局「○○のような雰囲気がつくれる人」になってしまい、あなたの強みを最大限に活かした仕事、あなたの仕事に辿り着き難くなります。あなたが伝えたいのは「こう考えて、こうアウトプットが出来る人」だと思います。

ブログは正直、面倒です。時間がかかるわりにはお金になりません。最初は「ネガな感想が来たらどうしよう」と心配してしまうでしょう。しかし、あなたが一体何者なのかを知ってもらうことは、これからの仕事に大きな役に立つはずです。

年々、ブログを書く人は減ってきている印象があります。確かに今は Twitter や Facebook といったお気軽なアウトプットツールがあるので、それで済んでいる場合もあるでしょう。しかし、激速で消えてしまうタイムライン上であなたの思いをのせたところで、何人がそれに気を止めてくれるか分かりません。いろいろな方に自分を知ってもらうプラットフォームとして、自分のソーシャルネットワークの拠り所としてブログは欠かせません。格好は気にせず Poterous でも Tumblr でも何でも良いので、まずはアウトプットを初めてみてください。カスタマイズなんて後でいくらでも出来ますし。

スライドはいつものように SlideShare で公開しているので、参考にしてください。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
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