デバイスと利用シーンへの最適化から学べること

デスクトップから始まったアプリは細分化をはじめ、モバイルから始まったアプリは機能充実をはじめています。小さなスクリーンの設計は、単に機能を少なくすることではなく、利用者との接点をいかに最適化するかにかかっています。

Web サイトデザインでは 2, 3 年くらい前から モバイルファーストでデザインをするという考え方が浸透し始めていますが、最近アプリでも似たような傾向が見られるようになってきました。先週 Foursquqre が チェックインとショップガイドを分けると発表しました。一方、Facebook は、メッセージアプリを分断しようとしています(Google+ は、Hangout を分断してしばらく経ちます)。

デスクトップ版の使い勝手に慣れ親しんでいる方にとっては『改悪』なのかもしれません。しかし、モバイル(又はスマートデバイス)中心で活用している方には、適したアプローチといえます。モバイル中心の利用者は、操作すれば何でも手に入るアプリではなく、文脈に応じて適した量の情報や機能を提供するアプリを求めています。つまり、アプリを立ち上げれば、ニーズに応えてくれるものを求めているわけです。

Facebook アプリの歴史

Facebook アプリは 2008 年のリリース以来、様々なナビゲーションの配置を模索しています。より使いやすいアプリにするため、今でも貪欲に改善を続けているという見方もできますが、いかにデスクトップアプリをモバイル向けに最適化するのが難しいのかを表しているようにも見えます。デスクトップ向けの Web サイトをレスポンシブ Web デザインに転換するのが困難なのと同じように、『全部入り』のデスクトップアプリをモバイルへ最適化するのは難しいわけです。小さいスクリーン向けて設計するという UI デザインとしての難しさだけでなく、利用者の文脈に合わせて機能やコンテンツを提供するには大き過ぎるという課題が残ります。

Facebook のような広告プラットフォームは(Google もそうですけど)、どのタイミングでも良いので利用者との接点を築くことが重要です。大きすぎて利用者の文脈に入り込めなくなるよりかは、わずかな時間でも Facebook を利用するという状態があるほうが良いわけです。今はモバイル広告が絶好調の Facebook ですが、今後のことを考えての『アプリの細分化』ではないかと思います。しかしながら、Facebook Poke や Camera が開発中止もあるので、何でも細分化すれば良いわけではないようです。利用者の文脈に入り込むのに十分な大きさと組み合わせを探し続けることになるでしょう。

一方、モバイルファーストで始まったアプリはどうしているのかというと、徐々に機能を充実しているところが目立ちます。今年のはじめ、Instagram は Direct というパーソナルメッセージ機能を追加しました。また、SnapChat はテキストチャット機能を最近追加しました。デスクトップファーストのアプリのように、様々な機能を横展開で開発していくというより、確立した利用者との接点を強化するための強化ですが、Facebook や Foursquare のようなデスクトップファーストアプリとは対照的な動きです。

モバイルファーストとデスクトップファーストアプリの変化の違い

こうした最近のアプリの動きは、既にデスクトップアプリやサービスがあるところに向けて、以下のようなヒントを与えてくれます。

モバイル化という考えは捨てる
デスクトップから始めていると、同機能・同環境をモバイルに転換すべきと考えてしまいがちです。操作性を向上させるための工夫はできますが、そもそもデスクトップで見られるような構造が必要とされていないのかもしれません。
どの文脈で強みを活かせるかを話し合う
朝起きて、夜寝るまでの間のどこに自分たちのアプリが入り込むことができるのでしょうか。いつでも何処でもアクセスできるのがアプリの魅力ですが、特定させることで、何を開発すべきなのかが明確になりますし、絞るための基準をつくることができます。
個々の機能の連携や繋がりを見極める
Poke や Camera の例をみるように、単一機能のアプリであれば良いというわけではありません。先述した利用者の文脈や利用シーンに合わせた『最適な大きさ』を見つけ出さなければいけません。ジグソーパズルのような複雑な課題ですが、そこに答えがあるはずです。

どのデバイスからでも、利用者が必要としている機能やコンテンツを提供するべきです。しかし、それがひとつの『大きなアプリ』である必要はありませんし、デスクトップのボリュームが本当に必要とされているかどうかを検討しなければいけません。シナリオからコンテンツを導きだすように、アプリもデスクトップという前提を取り払って設計したほうが良いでしょう。

PS: 今回と似たような内容を前回のポッドキャストで話しているので、興味がある方はぜひどうぞ。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。