SEOとデザインは今後より密接になる理由

その場しのぎのアルゴリズムに合わせた SEO 対策はなくなるかもしれませんが、検索をするという人への最適化は今後より重要になるでしょう。そう考えたときに UX と SEO は共通点が多いことに気付きますし、より協力的な関係が必要になります。

SEOの終わる部分とそうでない部分

情報が無限大に広がる Web の世界。そこから自分にとって必要な情報を見つけ出すのは至難の業です。

そこで、検索エンジンが活躍するわけですが、ただ Web サイトを作っただけで的確なかたちで検索結果に表示されるとは限りません。コンテンツ配信側が検索エンジンに対して自分たちのサイトがどういったサイトなのかを的確に知らせることを「SEO (Search Engine Optimization)」と呼びます。検索する利用者に対して効果的に露出したいという意味で「SEO対策する」という言葉が使われることがあります。この場合、SEO は瞬時にアクセス数を上げるための起爆剤として活用していると考えることができます。

SEO はこうした起爆剤的な要素だけを指しているわけではありませんが、「アクセスが上がる」というキャッチーなフレーズが付随されていることもあり、SEO と聞くとアクセスを上げるためのテクニックと連想する方がいると思います。そこだけを SEO と見なすのであればキーワードを購入したり、ソースコードを調整すれば良いと考ることができますが、それは狭い意味の SEO です。これからは SEO ではなくソーシャルメディアの最適化だと考えるのもその狭い意味からの解釈です。そういう狭い SEO であれば既に終わっているといっても過言ではありませんが。

SEO はよくも悪くも単体では存在しない要素です。「SEO は起爆剤のようなもの」と説明したとおり、SEO には爆発するための燃料が必要になります。その燃料が コンテンツです。SEO もソーシャルメディアもコンテンツがなければ活かされませんし、コンテンツがないのであれば SEO をするまでもありません。コンテンツがサイト制作の後付けになっているのであれば SEO も同様に後付けになりますし、その場しのぎのテクニックが中心になってしまうでしょう。

検索エンジンは常にアルゴリズムを変えています。その理由は利用者にとって良いコンテンツを提供しているサイトを的確に提示するためです。アルゴリズムに合わせて SEO をするテクニックはその場しのぎにはなりがちですが、長期的なビジネス戦略を考慮するのであれば、アルゴリズムに合わせるのではなく利用者のニーズに合わせることが必須になります。

SEOとUXの融合

検索結果からサイトに訪れるまでの道筋を作り出すことは SEO で可能でしょう。しかし、そこから利用者の目的へ導くことは SEO だけでは難しいです。逆に Web サイト内の道筋がきちんと設計されていたとしても、そもそもサイトへたどり着くことができなければ意味がありません。「検索」という共通点があるのにも関わらず、 SEO とデザインが分離しているように思えることがあります。

検索を境目に仕事と対策方法が分断されている場合がある。

SEOという名前からそうですが、どうしても検索エンジンに注目してしまいがちです。しかしそれを一旦 SO (Searcher Optimization)、つまり検索する人への最適化として捉えるとどうでしょう。利用者が何処でどのように検索し、どのような文脈でサイトへ辿り着いて目的へ向かって行くのかを想像してみてください。検索という行動に対する包括的な最適化を行うことで、SEO とデザインは次第に融合した存在になると思います。そして SEO とデザインが共通に見て行かなければならない要素としてコンテンツがあるのではないでしょうか。

サイトを構築する前、そしてコンテンツを開発する前に以下のような質問ができます。(参考記事「Webサイト運営でしてはならない質問」)

  • Webサイトにおけるビジネスゴールは何か?
  • なぜ Web サイトが必要なのか?
  • 誰に向けてコンテンツを配信したいか?
  • 利用者に提供したいコンテンツは何か?
  • 利用者が欲していると感じるコンテンツは何か?
  • どのように利用者のもつ問題を解決するのか?

上記は UX を考えるときに出てくる質問ですが、これは SEO にも共通しています。ただ検索結果の順位を上げてもサイトの体験が良くなければ利用者はすぐ帰ってしまうでしょうし、とても使いやすくて興味深いサイトを作ったとしてもそれだけで人は訪れることはありません。利用者のニーズに合わせて情報が提示され、すぐに目的を達成できるような道筋を作り出すには UX と SEO の両方の視点は欠かせないでしょう。コンテンツが検索をはじめとした様々なプラットフォームでどのように見られるのかといった最適化。そして検索結果で約束したコンテンツが辿り着いたサイトにも明確に表現されているのか。検索という行動を包括的に見ることで SEO はデザインを考える上でひとつの要素であるということが分かります。

SEO の専門家は UX を起点にデザインに触れて頂きたいと同時に、デザイナーは SEO の観点から検索という行動について勉強していくと、よりビジネスゴールに近づいたサイトが生まれるでしょう。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。