青森で今必要とされるコンテンツとWebサイトのあり方について講演しました

雑誌などでは当然のように行われているコンテンツを軸にしたデザイン。サイトのデザイン / 設計も『箱作り』に留まらず、コンテンツをどうデザインしていくのかという部分に注目していきたいですし、そこでサイト制作者の価値を作れるのではないかと考えています。

イベントのポスター

7月9日、青森にてWeb サイトの運営について、改めて考えてみるというテーマでセミナーが開催されました。今回は、IA Thinking の著者・坂本貴史さんと一緒に講演。IT Thinking の巻末には私と坂本さんの対談が掲載されているのですが、パネルディスカッションにはそこからさらに広げた内容も所々にありました。

2年前に開催された青森の公演でもコンテンツは重要であるというテーマで話しています。今回は「ポストWebサイト時代のコンテンツ戦略」というタイトルで、今のライフスタイルや Web の利用のされ方を踏まえて、少し突っ込んだ話をしました。

Webページって作る必要あるの?

今回の講演は「こうすべきである。こうしよう。こうしたら作りやすくなります」みたいな教える人の視点で話したというよりかは、ひとつの視点に立って話してみることにより、話題について考えてもらいたいという思いからスタートしました。

今すぐピンポイントな情報を欲しがる利用者。そして、やって来る情報も断片化された小さな形で送られてくるだけでなく、自分の趣味・趣向が反映されたパーソナライズした世界。スピードも速く、情報発信・共有の手法もたくさん出てきました。「ぜひサイトにアクセスしてください」と待ち構えているより、利用者が集まる場所でコミュニケーションをとったほうが売上やブランド向上につながりやすくなりました。また、情報発信という意味ではわざわざ Web サイトを立ち上げなくても、いくらでも方法があり、ソーシャルメディアを使ったほうがスピード感があって柔軟に対応出来るのではないか、という意見もあります。

こうした中、大きな『店』を Web の片隅に構えて待ち続けることに意味があるのでしょうか。サイトとしての大きな構造を保ってナビゲーションを工夫したとしても、多くの方は欲しい情報を得たら、またすぐ自分の居心地の良い場所に戻ったり、端末をオフにする点と点の関係になりつつあります。

Webサイトを制作する人たちにとって「サイトを制作する」ということは当たり前のことかもしれません。クライアントにとっても「まずとりあえず Web サイト」という考えも当たり前のようにあると思います。けど、その当たり前を今一度考える時期に来ているような気がしています。今後 Web サイトが必要なのかといえば「YES」です。ただし、今までのような Web サイトが本当に必要なのかといえば「YES」と言切れないのではないでしょうか。本当に利用者にとって良いのは、たくさんの情報が掲載されている大型 Web サイトではなく、欲しいコンテンツがすぐに手に入れることが出来る手段です。

コンテンツを自由にする

CMSは Web サイト制作者・管理者にとって大きなメリットをもたらしてくれました。なくてはならない存在ですし、今後も進化し続けることでしょう。

箱

しかし、CMS によって『箱』を作るという考え方が強くなったと感じています。CMS がコンテンツの流し込みを簡単にしてくれたことにより、コンテンツは後回しにしても良いという勘違いを生み出したのではないでしょうか。制作ワークフローでもよくコンテンツは最後のほうにあったり、実際のコンテンツを設計・制作する時間がとられていない場合もあります。コンテンツがなければ分からないこともたくさんありますし、コンテンツがあることで美しいビジュアルが生まれることがあります。しかし、いつの間にか汎用性の高い『綺麗な箱』をつくるということがデザインだということになっているのではないでしょうか。

コンテンツがないデザインは装飾である

雑誌などでは当然のように行われているコンテンツを軸にしたデザイン。CMSを使ったとしてもコンテンツ制作.最適化・運営が簡単になるわけではありません。先述したように人はパーソナライズされた情報の流れの中で生活しています。彼等の生活の間に入り込むにはコンテンツをどのように作り、どのように設計すれば広まりやすいかという部分を考えなくては始まりません。

Webサイトを持つか持たないかは、企画コンセプトによりますが、どのような形状で情報発信・コミュニケーションをとるにしてもコンテンツは必要です。コンテンツあるよって思っていても実はそうではないこともあります。Webを利用する人々にとって必要なのか、どういうふうにすれば楽しんでもらえるか、役に立つのかということを考えると、ゼロから作り直さなければならない部分はそれなりに出てきます。サイトのデザイン / 設計も、箱作りに留まらず、コンテンツをどうデザインしていくのかという部分に注目していきたいですし、そこでサイト制作者の価値を作れるのではないかと考えています。

スライドはいつものように SlideShare に公開されていますが、今回は最初の部分を動画にしてみました。私の講演を見たことある方はご存知だと思いますが、スライドが結構動いているんですよね。どんなかんじで動いているのか見ていただきたかったので、作ってみました。ぜひご覧になってください。

コンテンツに関しては今まで多くの記事を執筆してきましたが、以下の3つが今回の講演とリンクしているので参考にしてください。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
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