アドビさんへ3

バグも少なくなく不安定なアップグレードがつづくなか、アップグレードポリシーが変更されたことにより不満の色濃くなったところがあると思います。Adobeに必要なのは今まで以上の透明化とコミュニケーションの窓口を増やすことではないでしょうか。

Adobeロゴ次期バージョンからのアップグレードポリシーの変更Adobe Creative Cloudの発表で、昨日から Adobeユーザーの間から様々な声が発せられています。今年はサブスクリプションサービスの提供を開始し、さらに Cloud によって価値を高めようとしているものの、思惑どうりにはいっていないようです。今まで過去 2,3 バージョン遡ってアップグレードできたのが、1バージョン前からしかアップグレード価格が適応されなくなるのが大きな原因。今までも利用者の間では「アドビ税」と呼ばれている Creative Suite ですが、今回のポリシー変更でフラストレーションを爆発させている方も少なくありません。

ここ数年、Adobe のソフトウェア開発サイクルと戦略に疑問をもっている方は少なくないと思います。

アップグレードすることで機能の数は増えるものの、それに反比例するかのようにパフォーマンスが落ちる Creative Suite。素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供しますと宣言している CS 5.5 ですが、今年の7月にリリースされた OS にも対応がままならないまま次バージョンへ移行しようとしているのはどういうことなのでしょうか。Museのようなプロジェクトは確かにおもしろいのですが、Creative Suite のコアにある Dreamweaver や Fireworks の改善にリソースを費やすべきではないでしょうか。2年前の Omniture の買収にしても、戦略といっていってしまえばそれまでですが、10・20年アドビという会社の製品を利用してきた利用者からみれば異質な買収であって、これがデザイナーや開発者向けのアプリケーション開発に影響を及ぼすのではないかという不安も生まれると思います。

こうした不満や心配がアップグレードポリシーの変更によって色濃くなったところがあると思います。

今後、1利用者としてやったほうが良いのではないかというアクションが幾つかあります。

CS6の概要を今すぐ発表する
アップグレードポリシーを発表したのに、アップグレードの目的を示されていないのが大きなギャップを生んでいます。「何出すか教えれないけど、アップグレードしてね!」という態度に見えてしまったところが不満に繋がったと思います。機能デモは幾つか発表されていますが、CS6 としての具体的な価値を1日でもはやく提示するべきでしょう。
Q & A セッションを行う
FAQページはありますが、Adobe スタッフが利用者へ歩みよって、コミュニケーションをとる場をつくるべきです。Twitter や Ustream といった便利な道具はいくらでもあるわけですから、Q & A をすること自体は難しくありません。利用者の生の質問に対して、彼等の分かる言葉で返すというのはとても意味があると思います。MAXや主催セミナーがあるまで待つのではなく、日本全国誰でも参加して情報が残る Web 上で行ってほしいです。ニュースを吐き出しているだけの @AdobeCS_jpを利活用するチャンス。
コミュニケーションの窓口をつくる
日本のAdobeスタッフでブログを立ち上げている方もいらっしゃいますが、日本でも総合的な窓口が必要です。特に今回のような発表があったとき、プレスリリースや FAQ だけでは利用者の納得を勝ち取ることはできません。機能の紹介にしても、開発者の意図が分かるような透明化をはかることで「こんな機能いるか?」から「なるほど、そういうことか」という意見に変わることも。
Creative Suite というパッケージング販売は中止する
サブスクリプションになることで、Creative Suite という巨大なパッケージングにして固定セットで売るという意味合いが薄れてきました。様々なエディションをつくって選択肢はつくっているものの、必ず1つは捨てアプリがあるように思えてしまうセット項目では損した気分を与えてしまいます。箱で売るのを諦めてでも柔軟性のないセット販売は中止して、自由な組み合わせができるサブスクリプションを実現してほしいです。
レガシーなリリースサイクルから開放する
パッケージングから開放されれば、個々のアプリケーションに適したアップグレードサイクルにするチャンスです。例えば Dreamweaver ような Web 関連のアプリケーションが 1 年ごとにアップグレードしているのでは遅過ぎますし、Illustrator が 2 年ごとに大きな機能を無理矢理積み上げる必要もないわけです。リリースサイクルを個々で組み立てることが出来るのであれば、利用者の声を聞き入れやすくなるかも。
学生は無料にする
一見、関係ないことですが、将来ロイアリティの高い Adobe ユーザーを育成していくためにもぜひしてほしい試み。アカデミックプライスは以前からありますが、それでも学生には負担が大き過ぎる価格。DRMの導入以来、昔のように友達の Adobe 製品を借りて使うということが出来なくなりました。もちろん、それは違法行為ではありますが、触れる接点があったことで今 Adobe 製品を購入・活用できている方も少なくないはず。

新しい Creative Suite が発表される度に有名クリエーターを招いて派手なプロモーションサイトをつくったり、DEKIMAGAみたいなコンテンツサイトを作っても半年で閉鎖するなど、Adobe のコミュニケーションは短期的なものが多いです。今回のような発表があったときに、自分たちのペースでコミュニケーションがとれるようにするためにも、長期的な視野をもって利用者と向き合って欲しいなと考えています。

Wikipedia の記事によれば 日本には開発拠点がないので、立場が弱いのかもしれませんし、つかえる人材も限られていて厳しいところもあると思います。しかし、だからこそ利用者へさらに近づくための方法を増やして不安を取り除いてほしいですし、βテスト以外でも助けが必要であれば呼びかけるべきだと思います。

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筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。