「聞いて学んで考えるUX講座」を開催しました

様々な流行語が出て来ては消えてゆく Web の世界。UX も他の流行語のように捉えて学ぼうと考える方はいるかもしれませんが、他の流行語と同様に突然出て来た新しいモノではありません。私たちが既にしていることと考え、そこからどう価値を見出せるかが鍵になります。

先週神戸にて第四回リクリセミナー「聞いて学んで考えるUX講座」を開催しました。今年の夏に開催された青森のイベントの再演。UXの基本的な話から当時はあまり盛り込むことが出来なかったUXの測定方法といった話題について話をしました。もちろん、前回に引き続きワークショップも行い、皆でデザインプロセスを共有。青森でも感じましたが、発表内容をみると短時間とは思えないクオリティの高いものばかりでした。イベントの総括はリクリの Web サイトでレポートされているので、詳しくはそちらをご覧ください。

ワークショップの様子

すべて続いていること

IT業界だけではありませんが、毎年のように新しい言葉が表れては消えていきます。数年前からですが、今まで以上に「ソーシャルメディア」という言葉を耳にするようになりましたし、「ソーシャルゲーム」や「電子書籍」も今年多く耳にした言葉です。こうした言葉を聞くとエキサイティングになると同時に自分はついていけるのだろうかという不安も過ります。来年もまた何か新しい言葉を耳にするようになるでしょうし、またそのときに今と似たような感情を抱くのかもしれません。

「UX」に関しても上記に挙げた流行語と似たようなところがあると思います。90年代から UX という言葉自体あったわけですが、ここ数年日本でもよく耳にするようになりました。感情・体験といった右脳クリエイティブに響く関連フレーズもあるので、先に挙げた流行語より作り手に刺さりやすい言葉かもしれません。それと同時につかみ所がないのも事実。UX という言葉が伝えたいことは分かるけど、一体何をやれば良いのかが分からなくて不安になったり非現実的と感じる方もいると思います。

新しい言葉が出てくる度に「学ばないと!」という意識が高まります。前向きにそうなれるときもありますが、「また学習しないと」「大変そうだ」とネガティブに頭がはたらくときもあります。IT業界では新しい言葉が出ては消えてくるサイクルが早いので、それが焦りになる場合もありますし、ついて行くのが大変と疲れきってしまう方もいるかもしれません。

しかし、焦ることはなにもありません。
流行語にしてもそうですし、UXにしてもそうです。

流行語とワンセットになって出てくるのが「世界が変わる」「ビジネスが変わる」「生活が変わる」といったフレーズ。「ソーシャルメディアでビジネスが変わる」なんて言われると、学ばないとヤバいと焦るかもしれません。しかし、Webを長い時間で見ているとどんな言葉が出てきても落ち着いて状況をみることが出来るはずです。突然大きなことが降って来たような表現が使われることがありますが、数年前から兆候はみることが出来ますし、なかには他の分野で既に行われていたことが転換されているだけのケースもあります。最新のようにみえても他では10年前からやっていることもあります(ソーシャルゲームは典型的な例)。

UXにしても同じです。よく耳にする言葉ですし、耳当たりも良いだけでなく、注目しているデザイナーがよく口にしている言葉なので「自分も!」と焦る方もいるかもしれません。しかし、UX も他の流行語と同様、歴史の延長線上にある言葉のひとつにすぎません。デザインをしているのであれば、必ずといっていいほど到達する領域に UX があります。つまり、全く新しいスキルセットでもなければ、ハイレベルなコンセプトというわけでもありません。

私のセミナーでは新しい言葉に対する不安を解消することがひとつのミッションだと思って話しています。焦ることもなければ、自分には出来ないことと放り投げる必要もありません。「自分がやっていたことだったんだ」という共感を得ることができたのであれば、UX のほとんどを理解したといっても良いと思っています。目新しいものだという認識で勉強するのではなく、自分もやっていることという共感から、自分の仕事を見つめ直して何が改善できるかということを考えたほうが今後たとえ違う言葉でてきても焦ることはないでしょう。

価値をどう伝えるか

Webサイトを作っている人にとって UX が伝えようとしていることは新しいものではありません。しかし、デザインプロセスが価値としてなかなか評価されない(お金にならない)ので苦悩されている方はいると思います。デザインプロセスの意味を語っても仕方ないので、何をやって辿り着いたのかを伝える必要があるでしょう。今まで頭の中でやってきたこと、そして感覚的に表現してきたことを他の方が分かるように言語化・透明化することが最初のステップです。同業者や同僚であればパっと伝わる『当たり前なコト』も、丁寧な説明が必要なことがあるはず。そこを省いてしまっているが故に相手に伝わらないこともあるかもしれません。

説明だけでなく、体感してもらうほうがより響く可能性があります。「自社にUX文化を広めるコツ」という記事でも解説しましたが、社内でワークショップを開くのもひとつの方法です。ちょっとした変更でもたくさんの可能性があり、様々な仕事が発生するということを作り手以外にも体感してもらうことで、その後のコミュニケーションが変わるかもしれません。

ワークショップのアウトプット

さいごに

スライドはいつものように SlideShare にて公開されています。今回は半日つかったイベントでしたが、それでもワークショップは時間ギリギリでしたねぇ。短いが故の瞬発力がワークショップの魅力なので、長ければ良いというわけではありませんが、悩みどころです。アンケートのフィードバックはすべて読ませていただきましたが、満足度も高く一安心。今後の参考にさせていただきます。

今回は、Twitter のつぶやきがイベント開催のキッカケになりました。Re:Creator’s Kansai のメンバー、そしてサポーターの皆様の協力があって良い1日になりました。ありがとうございました。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
社内勉強会、イベントでの登壇の依頼は、メールか Twitter メッセージからお願いします。