利用者の期待とUIデザインについて

UI デザインとひとことで言ってもたくさんのことを考慮しなければいけません。単一機能のシンプルなアプリの設計だったとしても、UI の課題は山のようにあります。私自身、どこから始めたら良いのか分からなくなることがありますが、UI デザインを考える始めるために、ふたつの疑問を自分自身に問いかけるようにしています。

  • 利用者が期待に応えられるようなインターフェイスはなにか?
  • 利用者が目的に辿り着く為の明確な道筋はなにか?
利用者と目的の間にある『溝』

利用者と目的の間には『溝』があります。それをどう埋めるのかを考えるのも UI デザイン。

行動を促すボタン

矢印のような印がついたボタンがあれば、利用者は何を期待し、行動するのか。

この2つの疑問のなかで特に重要になのが「期待に応える」という部分です。実は、利用者の期待をうまく処理できていないために、使い難いという反応に繋がる場合があります。では、ここでいう期待とは、どういう意味なのでしょうか。

  • 次に表示される画面が、利用者の思っていたものであること
  • 操作した結果が、利用者が想定していたものであること

それでは、逆に期待通りではない状態とはどういったものでしょうか。

  • 操作したことで目的から遠ざかってしまう場合
  • 想定していた動作と違ったり、まったく反応がない場合
  • 次の画面に何が表示されるのか分からない場合
遠くなる目的地

ボタンを押しても、目的へ辿り着けなかったり、遠ざかってしまうこともあります。

行動を促すボタン

目的地はすぐそこにあるように見えて、実は様々な障害があることも。

UI に表記するラベルも、様々な装飾も、すべて利用者の期待をどう受け止めているかにかかってきます。「記事を読む」と書かれているボタンを押しても、結果が記事の概要だけで、続きはもう一回クリックしないと読めない・・・であれば、それは期待を裏切っているといえるでしょう。

利用者のもつ期待に応えるための UI になっているのか、そして期待に応えるだけの機能やコンテンツが十分に用意されているのか。

不可解なUI

期待どおりに動かない。次に何があるのか明確ではない場合があります。

UI のビジュアルは好みや感性という主観的な要素の影響が強いことから、なかなか決まらないという場合もあります。しかし、利用者の期待をどう捉えて、応えるのかという部分は客観的に評価をしたり議論をすることができます。限られた時間のなかで UI を考えなければならない状況であれば、ビジュアルより、利用者の期待をどう処理するかを優先して考えるようにしています。

もし期待に応えられていないのであれば、その期待を応えるために何が必要なのかを考えたり、コードを書いたり、ビジュアルを足していくという進め方もあって良いと思います。様々な用件定義と混沌となりやすいデザインプロセスの中で、プライオリティをどう付けていくのかのヒントとして「利用者の期待」に注目しています。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。