TypeKitから始まるウェブ文字革命
今月はじめに John が来日したときに「フォント関連で近々発表があるんだよね」と言っていたのですが、ついに全貌が明らかになったようです。Jeffrey Veen を中心に TypeKit というプロジェクトが立ち上がる模様です。既に WebKit, Opera 10, Firefox 3.1 3.5 でサポートされている @font-face
。利用者のパソコンにあるなしに関係なく指定のフォントが使えるようになります。つまり、今まで仕方なく画像文字にしていた部分もテキストで処理可能になる可能性があります。
@font-face
でまず問題になるのが著作権に侵害しないかどうかという部分です。多くのフォントはウェブ上での配布を禁じていますし、@font-face
の許可をしていないフォントもあります。法的な問題や DRM を気にせず安心して @font-face
を使った文字表現をするために生まれたのが Typekit です。サイトに公開されているカタログの中から好きなフォントを選んで JavaScript を埋め込むだけで使えるようになるそうです。現在、様々なフォントを保持する団体や機関と協議が進められており、無料フォントだけでなく商用フォントもカタログに追加出来るように働きかけているとのこと。今夏リリースが楽しみです。
恐らく発足直後はアルファベットだと思うので、日本語のサイト構築には関係ないのかもしれません。しかし、フォント指定の継承順を工夫すればアルファベット部分のみ @font-face
でリンクした書体を使うことが出来ます。発足メンバーに入っている John としても日本語フォントもぜひ追加したいという意向を示していたので、何かしらの形でお手伝いするかもしれません。日本語はカタカナ、平仮名、漢字を合わせると果てしないほどの数があるのでファイルサイズも大きいです。しかし、新聞では常用漢字を基本的に使うようにしており、その数はおよそ2000。それでも多いですが、ある程度絞ったとしても普通の文章やヘッドラインくらいの書体を変えるのは難しい話ではないでしょう。
あと IE 問題。@font-face
自体はサポートしているのですが、他のブラウザが TrueType を利用しているのに対し、IEのみ「EOT」という独自フォーマットのみ対応しています。しかし、TypeKit が起爆剤となって TrueType サポートをせざる追えない状況になる・・・なんてことも考えられます。「IEサポートさていない=使えない」と言って使わないのはあまりに消極的ですしね。「使って IE にサポートさせる」くらいの勢いは今は必要なのかもしれません。
文字が自由になることによって、酷く読み難いサイトも出てくるのかもしれません。ただ、利用者が見た目を選ぶ権限があるのが CSS のメリットですし、@font-face
は、CSS で装飾する意味がさらに出せる要素だと思います。CSS 全般にもいえますし、Flash もそうですが、やり過ぎな感じのサイトは出てきますし、当然のことです。それと同時に技術を上手く利用した素晴らしい表現をもつサイトもどんどん出てきます。TypeKitのようなサイトがウェブ上での文字表現をおもしろくする起爆剤になるのではないかと期待しています。