コンテンツ運用に役立つツールあれこれ
意外と忘れがちな運用向けツール
Web サイトは作ってからが本番と言われて久しいですが、運用は簡単なことではありません。 CMS を実装することでコンテンツ入力の敷居は下がりますが、誰かがコンテンツを作らない限り何も始まりません。また、コンテンツ設計・制作・配信・分析の各ステージで必要になるツールが異なることがあります。例えば設計時であれば、ペルソナや運用ガイドラインが必要ですが、配信時であればエディトリアルカレンダーやソーシャルメディアガイドラインが求められます。
デザインもイラストも文章もひとりで作って出せる場合があります。しかし、こうした個に頼る運用では成長が難しくなります。コンテンツが作れたとしても、何か基準がなければ「我が社として適切なコンテンツを出している」と言い切れないですし、配信を躊躇することもあるでしょう。チームで役割分担した場合でも課題はあります。デザインチームがグラフィックを作るまで何もできないという状態はなるべく避けたい一方、不本意な見た目のまま公開されるのも困ります。
日々の運用に役立つツールを揃えるのは、短期的には効果が見難いですが、コンテンツ制作の量と質を向上するために欠かすことができません。Word や PDF といった印刷物に適した形式ではなく、オンラインツールを活用したほうが、共有だけでなく、情報の更新がしやすくなります。
コンテンツ運用のためのツール一覧
簡単なところだと、言葉を合わせるための『辞書』を作ることができます。Google スプレッドシート で共有するのも手段ですし、ATOK の辞書登録をしたり、TextExpander のようなツールを活用して変則的な定例文を登録してチームで共有するのも良いでしょう。
代表的な運用ツールは以下の 9 種類。最初からすべて揃える必要はないですが、Web サイトの成長時期に合わせてツールをひとつひとつ揃えていきたいところです。
- ロゴガイドライン:
カラーパレットやロゴの規約が書かれている文書。 - エディトリアルカレンダー:
誰が何を配信するのか一望できるスケジュール表。 - デザインスタイルガイド:
Web サイトやアプリで使われているデザイン要素の寸法や使用ルールが書かれてる文書。 - ライティングガイドライン:
文章のトーン&マナーが書かれている文書。 - ストック素材:
コンテンツ配信に使える、デザインチーム承認済みの素材集。 - KPIレポート:
コンテンツ運用が成功しているかどうか一望できる画面。Google Analytics のカスタムレポートでも良い。 - コンテンツテンプレート:
何を書き込むのかフォーム形式で記入できるテンプレート。ライティングの質が定まらないときに便利。 - 配信前チェックリスト:
チームメンバーに見せて内容を確認してもらうピアレビューでも十分ですが、関わる人が増えるときに備えてチェックリストも必要。 - アイデアリスト:
配信時期や担当者が決まっていないネタをためておく場所。ひとつ共有文書を用意するのも良いですし、アイデアを出し合うチャットを作るのも手段。
コンテンツライフサイクルにツールを当てはめた例
※ツールは複数のステージで役立つ場合もあります
まとめ
モノを作ればうまく行くのかと言うと、そうでもないのが Web サイト運用の難しいところ。柔軟性の高い Web サイトがある、それを支える優秀な CMS があれば良いわけではありません。デザインパターンにも言えますが、Web サイトというモノではなく、ヒトが課題になることが多々あります。最初はモチベーションが高くても次第に減ってくるかもしれません。関わる人が増えることで取集がつかなくなることもあるでしょう。わずかな予算で最大限の効果を得るには「やる気のある人が頑張る」では限界がみえてきます。
コンテンツ運用に関わるヒトの課題の解決に、今回紹介したツールは役に立ちます。コンテンツライフサイクルのステージによって活用するツールも異なれば、関わるメンバーによって微調整が必要になることもあります。Web サイトの先にいるお客様の満足度を高めるために、まず社内という近くにいる人たちが楽に動ける道具を揃えてみてはいかがでしょうか。