コンテンツをデザインするということ
見た目はとても重要だけど
第一印象は Web サイトやアプリデザインでも重要です。見た目が良いということで、使い始めてくれる場合がありますし、製品やサービスの評価が中身ではなく見た目で判断されることがあります。人は 0.05 秒で Web サイトの良し悪しを判断する傾向にあるので、見た目は良くしておくべきでしょう。しかし、長く使われる要因がビジュアルではなく、コンテンツということは多々あります。
例えば Reddit はデザインが洗練されたサイトとは言えませんが、世界的に利用されているサイトです。 利用者が求めているコンテンツがそこにあれば、見た目が少し良くなくても人は戻ってきます。
しかし、これは良質のコンテンツがあれば、デザインは必要ないという意味ではありません。先述したように、見た目で印象が変えることができますし、使い勝手も向上すればコンテンツへアクセスしやすくなるはずです。
そこで「コンテンツをデザインする」という考え方が重要になります。
コンテンツデザイナーがすること
「コンテンツをデザインする」 この言葉を目にすると、タイポグラフィに細心の注意を払うことや、コピーライティングをすることのように見えますが、そうではありません。コンテンツをデザインするということは、利用者が求めている情報を利用者の文脈に適した形状で提示できるように設計することを指します。
コンテンツデザインにおける利用者の文脈は、以下の 3 つに分類することができます。
- 具体的に何を求めているか
- どのような目的を達成しようとしているか
- どのようにコンテンツを消費することを好むか
これらを基に再度 Reddit のようなサイトを見ると、コンテンツデザインがされていると言えるのではないでしょうか。Reddit の利用者は Web で話題になっているトピックを探したり、それについて意見交換がしたいと思うはずです。トピックが一望しやすいように、間隔をあまりとらないコンパクトな見た目になっていたり、個々のページへアクセスしなくても内容が把握するために十分な情報がリストで掲載されています。
Web サイトやアプリを使う人たちの文脈を理解しないまま、タイポグラフィやレイアウトを洗練させても、かえって「使いにくくなった」という評価につながることがあります。
コンテンツをデザインする人は、利用者が求めているコンテンツを見つけ出すだけでなく、それがどのような形状だと好ましいのかを考え、形にできる必要があります。
見出しやリストによって構造化されていれば、利用者はいちはやく要点を理解することができます。また、文章ひとつひとつにしても、宣伝文句を省いて簡潔・明瞭にしておく必要もあるでしょう。良いコンテンツは 1 文から始まりますし、その積み重ねがサイト・アプリ全体のデザインへと反映されます。
コンテンツを配信者側の視点で作ってしまうことがしばしばあります。それを利用者が求めている文体や形状へ作り直すとどうなるかを考えて実践するのがコンテンツデザイナーの役割といえるでしょう。
まとめ
コンテンツデザインとは、どのようなコンテンツを掲載するのかといった計画だけでなく、制作、管理といったところも含めてデザインすることを指します。広範囲にわたる仕事ですが、今から誰でもできることは幾つかあります。
- 関連情報へきちんとリンクを付ける
- 現存コンテンツをリライトして簡潔・明瞭にする
- 画面に表示されていなくてもメタ情報は記載する
こうした小さなところからスタートすることで、出したいコンテンツを掲載するのではなく、利用者に適したコンテンツを配信するという考え方へ変えることができるでしょう。