コンテンツ提案を生み出す対話のポイント
今のコンテンツの状態を書き出す「Content Inventory (コンテンツ・インベントリー)」は、Webサイトだけでなく、アプリ開発の際にも役立つステップです。ひとつひとつの画面を見ているだけでは気付かなかったことも、表にしてまとめると、重複していたり、古かったり、間違った情報が表記されているところが見つかりやすくなります。
コンテンツ講座でもインベントリーの重要性と始め方を解説したものの、難しいのは数百ページ分のコンテンツを表にまとめて調べるところではありません。本当に難しいのはそのあとどうするのか?という部分です。例えば、重複コンテンツや Web には適さないライティングが増えないようにするための処置はできます。
- ワークフローの見直し: CMSの機能を使うだけでなく、組織の誰がどのようなタスクをするのかを確認する
- ライティングガイドラインの制定: 文章の構成から、Web に適した表現をマルチデバイス化を意識して啓蒙
プロジェクトの大小関係なく、上記の 2 つを実践しなければ、数年後にインベントリーを作った際に同じような課題が浮上してしまいます。しかし、こうした『要素成果物』をつくっても、良い結果に繋がらないこともあります。
コンテンツは人がつくるものです。
人や組織の課題を無視して解決案を提示してもうまくいかないのは当然です。コンテンツ制作・パブリッシングといっても、ブログ配信のようにシンプルなものだけではありません。例えば、大きめのサイトやブログメディアを運営している企業だと、コンテンツに関わる人がたくさんいます。
- ライター
- 編集者
- Webマスター / サイト管理者
- コンテンツマネージャー
複数の役割をもつ人はいるものの、それぞれ異なる視点でコンテンツをみているだけでなく、ニーズも様々です。カジュアルな会話や会議中でも良いので、以下のような質問をあらかじめしておくと、分析や提案がしやすくなります。
- コンテンツ制作プロセスのどの部分を携わっていますか?
- 組織の一員の視点からみて、うまくいっているコンテンツはなにですか?
- あなたが気にしている課題はありますか?
- コンテンツ制作の際に他の部署(又は人)と一緒にすることがありますか?
- Web コンテンツと同等、もしくはそれ以上にプライオリティが高いメディアはなにですか?
- Webパブッシングのために十分なスキルがあるとおもいますか?足りていない部分があるとしたら?
- コンテンツ制作に利用しているツールはなにですか?
- コンテンツの管理や統制をおこなっている人はいますか?
これらの質問に対する回答を鵜呑みにして、すべてを解決しようとしてもうまくいきませんし、時間がかかり過ぎて効果が見られない場合があります。彼等の言葉とアクセス解析やアンケートなど他のデータと見比べながら解決案を提案するようにしています。
- 課題を洗い出したあとプラオリティが高いと考えられるものを並べる
- その中で短期間で変更できるものは何かを見つけ出す
- 変更の理由を理解できるような裏付けと提案を行う
- 具体的に何をしたら良いのか『アタックリスト』をつくる
デザイン全般にもいえることですが、プロセスに沿って作れば解決できるものは全体からみればほんの一部だと思います。組織の課題、人の課題に目を向けて、彼等にとって分かりやすい提案をしなければ、良い手法や技術を適応しても活かせないことがあります。