サービスに携わるデザイナーが少ない理由を考えてみた
先日開催された イベントの登壇者のうち 2 人はサービスに携わるデザイナーでした。ひとりは Stores.jp のデザインを手がける河原さん。もうひとりは ココナラ のデザインと運営をされている新明さんです。素晴らしいサービスには優秀なデザイナーがいるにも関わらず、デザイナーが集まらないという声をよく耳にします。サービスでデザイナーをしている方を何人か知っていますが、彼等も同じように「デザイナーが見つからない」と言います。
デザインの仕事 … と一言でいっても様々な形が存在します。 Web やアプリを手がけるサービス系のデザイナーも、他の Web 関連の仕事と同じようにみえて随分異なります。恐らくサービスを手がけるデザイナーは、今までにない新しいタイプのデザイナーなのかもしれません。今までにないからこそ見つかり難いですし、知られていないからこそ分かり難いタイプのデザイナーなのでしょう。
サービス系のデザイナーが見つかり難い理由を考えてみました。
- 特定のスタイルを維持する必要がある
- これは良いコトでもあり、そうでもない場合があります。特定のスタイルに拘れるという良さもありますが、表現を広げる場としては向いていません。
- 『クライアント』がひとりになる
- クライアントワークの面白さは、様々な分野で働く人たちと一緒に仕事ができることです。サービスでは多くの方に直接使ってもらい、それをリアルな形で受け止めることができる面白さがあります。しかし業種や業界が異なる仕事を次々こなすというダイナミズムはありません。
- 利用者のニュアンスが異なる
- クライアントワークでも、利用者のことを考えてユーザビリティの向上に力を入れるものの、まずクライアントに満足していただくという観点が必ず入ってきます。サービスでは、利用者からのフィードバックがすべてであり、彼等の満足度をどうビジネスに繋げるかを常に考える必要があります。
- 自分たちで仕事を作る必要がある
- 日々のタスクはもちろんありますが、自発的に改善案を出したり、新しいサービス・機能を作り出すことも必要とされます。プロジェクトリーダーから、ただ指示を待つという仕事はできません。
- 何をしているのか見え難い
- サービスやアプリを立ち上げた後、何をしているのかが見え難いのもサービス系のデザイナーの存在が知られない理由のひとつでしょう。立ち上げ後のデザイナーの仕事はほとんど終わったかのように見えますが、そんなことはありません。
- 評価が難しいサービス系デザイン
- 最近の Web サイト案件にもいえることですが、デザインのおかげですべてが良くなるということは、まずありません。システム、バックエンド、マーケティング、ブランディング、品質評価など様々な要素が組合わさったチームワークです。デザイナーも成功に貢献していますが、一昔のようにクリエイティブだったから良いという評価はできません。
- キャリアパスが不透明
- 今の時代、キャリアパスという言葉を使うことが古いのかもしれませんが、次のステップが見え難いサービス系デザイン。将来 CDO (Chief Design Officer) という職種が生まれるのかもしれません。
- 賞を取りたいかどうか
- 今後どうなるか分かりませんが、広告賞を取りたいという目標があるデザイナーであれば、サービスやアプリを作って運営するという体制は向いていません。
自分がなりたいデザイナーの姿は人それぞれです。まだ照準を定めていない方もきっといると思います。模索していくなかで、サービスやアプリの中でデザインの仕事をするという選択肢も考慮してみてはいかがでしょうか。クライアントワークとは異なるデザインの面白さを見つけることができるはずです。