文脈にある2つの分類と人間らしさのバランス

文脈は、好みや期待といったヒューマン側と、場所や時間といったテクニカル側の2つに分類することができます。様々な文脈が取得可能になりましたが、実装するかどうかは判断が難しいところ。プライバシーへの理解は開発側だけでなく、利用者側にも求められます。

今後デザインしていく上で重要となる文脈の理解。文脈と一言でいっても範囲が広過ぎて何処から何をすれば良いのか分かり難い言葉です。文脈によって活かされるコンテンツ配信で取り上げたような実例があると「あぁこういうことか」と分かるものの、実際自分でするとなると始めるための具体的な要素が知りたくなります。

文脈は、ヒューマンとテクニカルの2つに大きく分類することが出来ます。ヒューマン側のコンテキストは人間の態度・行動・思考への理解が必要になる分野です。社会学・心理学とったアカデミックな分野も取り込んで研究するのも手段ですし、ペルソナを用いたデザイン思考プロセスでも導き出すこともできます。

テクニカル側のコンテキストは今の技術をつかって取得することが出来ます。HTML5 の geolocation はその典型的な例ですし、スマートフォンであれば様々なデバイス情報を取得することができます。また、アクセス解析のような今まで蓄積されたデータを基にして利用者傾向を想定するのもテクニカル側のコンテキストです。

以下にヒューマンとテクニカルで理解が深まる文脈の要素をまとめてみました。

ヒューマンとテクニカルに分類されるコンテキスト(文脈)

テクニカル側の文脈をみると分かりますが、数年前は取得が難しかったこと、今だから取得することに意味がある要素が幾つか見られます。場所情報は昔から取得することが出来ましたが、ピンポイントではありませんでしたし、わざわざ取得することの意味が見つけ難い状態でした。しかし、今では場所情報の取得が難しくなくなっただけでなく、情報を得ることで、利用者の使い勝手を向上させることが可能になりました。

ヒューマン側の文脈の中には、今後テクニカルに移行する可能性がある要素があります。「好み」は千差万別ではありますが、Facebook や Google Plus のようなソーシャルネットワークに蓄積されている好みの傾向を取得できるようになるとしたらどうなるでしょう。そこから、利用者の行動や思考パターンも読み取れるようになるかもしれません。

可能性があるからといって、実装するかどうかは判断が難しいところ。プライバシーへの理解は開発側だけでなく、利用者側にも求められます。また、何でも気を利かせて利用者に情報を提供すれば良いのかというと、そうではありません。人によっては、プライバシーを可能な限り守りたい方もいます。また、自動化を好まず自分で操作したいと感じる方もいるでしょう。様々な文脈を技術的に取得可能になってきているからこそ、そこを理解した上で、どうヒューマン側に注目したデザインが出来るかが課題になるでしょう。

先週配信した Automagic Podcast (#30) では、プライバシーを話題にしました。今回の記事と関連したことを話しているので興味がある方はぜひ聞いてみてください。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。