デザイナーにもある詐欺師症候群とその対処法
仕事を続けていくという意味で、こうしたメンタル面のケアも忘れてはいけないことです。
新人、ベテラン関係なく起こりうる
実績を積んでいたとしても自信がつかない、むしろ自分はペテン師ではないかと疑ってしまう「詐欺師症候群(インポスター症候群)」という症状があります。2 年ほど前に女優のエマ・ワトソンが同症状に悩まされていると告白して話題になりました。彼女ほど成功していなかったとしても誰にでも起こりうる症状です。
私自身も詐欺師症候群に悩まされることがあります。Web やアプリのデザインは誰もが同意するような正しい手法はありませんし、むしろ走りながら覚えることが多かったりします。絶対正しいと言えるものが極めて少ないですし、何を信じて実践すれば良いのか分からないこともあります。常に悩んでいるわけではないですが、時に酷く落ち込んだり、外へ発信するのが怖くなることがあります。
UXに関する質問を受けたときも、同じような症状があるかもしれないという印象を参加者からも受けました。大企業でなければ UX デザイナーが何人もいるということはありません。ひとりで考えて行動をしなればならないこともあります。ふと Web に目を向けると「そんなのは UX ではない」「そのやり方ではダメだ」「こうしなければならない」といった主張が目に入ります。
こうしたなか、自分が UX デザイナーと名乗っていることに自信をなくしたり、疑ったりする人もいるかもしれません。これは別の役職でもありえること。技術が目まぐるしく変化していくだけでなく、働き方も多種多様になっている現在。すぐに「そのやり方は遅れている」と言われてしまうわけですから、何をこれから学んでいけば良いのかさえ分からないことがあります。
症候群と表現するとネガティブな印象ばかりに見えますが、向上心の源になることがありますし、謙虚さ、初心を忘れずに済むという良い効果もあります。仕事を続けていく上で、これからも詐欺師症候群と付き合っていくわけですが、気持ちを落ち着かせるために以下のことに気をつけています。
正直になる
こうした症状は実際にあって、誰でもあるということ。自分だけがそれに悩んでいるわけではないと思うだけでも気分が少し楽になります。メンターと呼べるような人がいれば、その人と話をするのも良いでしょう。
仕事と自分の評価は直結しない
デザインの批評は難しいですし、どうしても自分が攻撃されているように思えてきます。実際はそうではないと思えるように、常にアウトプットを人に見せるようにしています。
分からないことを認める
たくさん知っていなければ駄目という雰囲気がある Web / アプリの世界ですが、そんなことはありません。分からないから始まる会話が、コラボレーションを生み出すことがあります。
現場でできることをする
人がそれぞれユニークであるのと同じように、会社・組織もそれぞれ異なります。様々な会社へ足を運んでいますが、同じ手法や工程を用いて上手くいった経験はありません。他人がどう定義しようが、自分は自分でできる仕事をするようにしています。
繊細な話題ですが、これからも仕事を続けていくという意味で、こうしたメンタル面のケアも忘れてはいけないことです。ソーシャルメディアやポッドキャストでもこうした話題には時々触れていこうと思います。