Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。

Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation
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Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation

イノベーションを『誰よりも先にすること』と捉えられることがありますが、それだけではないと思います。実際、アップルが誰よりも先に製品化、サービス化したものはごくわずかです。iPod が出る前に HDD 内蔵の MP3 プレーヤーはありましたし、マルチタッチスクリーンも消費者向けではありませんでしたが、既に存在していました。アップルの魅力は、機能や仕様に捕われない、今やるべきこと、未来にできることを考慮してデザインしているところだと思います。 ハードウェア、ソフトウェア、サービスを、他にはできない連携を実現することで独自の価値観を生み出しているアップル。いずれかを抜き出して語るのは、アップルのほんの一部を語るに過ぎないかもしれませんが、それをあえて実践し、魅力を最大限に引き出している本が「 Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation [http://iconicbook.com/]」です。 これは書籍というより、図鑑と言ったほうが良いかもしれません。非常に大きく重たい本なので、ソファでじっくり眺めるのに適しています。アップ

未来

dConstructで学んだWebの仕事に関わる責任

先週はイギリス、ブライトン [https://www.google.co.jp/maps/place/Brighton,+The+City+of+Brighton+and+Hove,+UK/@50.837418,-0.1061897,13z/data=!3m1!4b1!4m2!3m1!1s0x48758509f6294167:0x9cc6af7a727d0ef9] を訪問していました。目的は dConstruct [http://2014.dconstruct.org/] へ参加するためです。 あまり日本では知られていないイベントですが、今年で 10 年目になる Web と未来をテーマにした老舗カンファレンス。イベント開始当初は Web サイト制作寄りのテーマが多かったですが、ここ数年にかけてスケールが大きくなった印象があります。今年は「ネットワークに住むわたしたち 」をテーマに、

デザイン

カスタマージャーニーマップが使える理由と注意点

デザインに使えるマーケティングツール カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map, CJM)は、顧客がどのように製品やサービスと関わるかを視覚化することによって、課題を共有することができるツール。デザインプロセスの一部として採用されるようになりましたが、マーケティングでは顧客との接点を俯瞰して見ることができるということで 5, 6 年前くらいから注目を集めています。(外来語をそのままカタカナ表記にしたくなかったということで「体験のマッピング [http://www.yasuhisa.com/could/article/dh-prototyping-course/] 」と名付けて以前から実践しています。) オンラインでもオフラインでも顧客との接点は劇的に増えました。しかし、接点が増えたことにより利用者行動の多様化が進んだだけでなく、接点になる場所・媒体の浮き沈みも激しくなりました。また、企業やブランドに関わる利用者の心理や行動も変化してきているので「A と B と C でコンテンツやサービスを発信すれば良い」といった一方通行のメッセージ配信では伝わり難くな

デザイン

デザインが分からない人とデザイン話をするコツ

良いって何ですか? デザインの話をするのは、たとえ本業をしている方にとっても難しいことがあります。それが他分野の方ということになると、なおさらです。目的に沿って議論することで、デザインがより洗練されるわけですが、別の部署、他の役職の方との会話になると、なかなかうまくいかないことがあります。 その理由は、彼等がデザインのことを理解していないからというより、お互いが考える「正しい」を理解していないからということがあります。 Webサイトやアプリを設計・開発されている方全員「良いものを作りたい」と考えています。ただし、その「良い」のニュアンスは立場によって少し異なることがあります。「良い=売れる」と解釈する人もいれば「良い=使いやすい」と捉える方もいます。それぞれがもつ「良い」という価値観が、その人の意見や考え方に大きな影響を及ぼしています。 言葉だけでは理解ができない デザイン案を見せると、以下のようなリアクションが戻ってくる可能性があります。 * 青がどうも好きになれない * このボタンはもっと大きく見せるべきだ * 必須情報が他にもあるので、上のほうに表示させたい

コンテンツ

コンテンツワークシートを公開しました

課題が多いコンテンツ設計 昨年、マルチデバイスを見据えたコンテンツ設計 [http://www.yasuhisa.com/could/article/visualize-content-process/] というセミナー&ワークショップを全国5カ所で開催しました。未知のデバイスも考慮し、特定の見た目に捕われないコンテンツ設計と管理をするための考え方や手法を紹介した講座。参加者から高い評価をいただきましたが、幾つか課題が見えてきました。 * マルチデバイス以前にコンテンツが設計できる状態とは言い難い * 制作ワークフローのどこからどのように始めるのか不透明 * コンテンツ設計・開発には時間がかかるが理解されていない 受講者の中には、講座の内容は十分に理解できたものの、どのように活用すれば良いのかが分からない方がいました。特にビジュアルデザインから始める制作行程だと、コンテンツは(なぜか)あるものとして進んでいることがあります。実際につかうコンテンツを入れたあとに、細かなデザイン修正が何度も発生してしまうのも、原稿がないまま雑誌の表紙を作るような行程が原因ということがあります

Webデザイン

今のデザインに必要とされるコントロール

本当にコントロールできないのか WD101シリーズ [http://www.yasuhisa.com/could/tag/wd101/]の最初に、Webデザインは見た目のコントロールができない [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-nocontrol-in/] という話をしました。スクリーンの大きさが多種多様なだけでなく、利用者が見た目や操作性を自由に変えることができる Web。DTPのような感覚でサイトをデザインしても、誰かの Web アクセスの利便性を損なうと指摘しました。 デザイナーはある種、混沌とした状態から秩序を生み出す能力をもっていると思います。バラバラになった情報を整理して一貫性のあるメッセージを伝えたり、混雑した Web の世界に明確な道筋を示す仕事をしています。秩序を作り出すということは、ある程度のコントロールはなくてはならないわけです。 コントロールすることがデザイナーの仕事であるとすれば、『コントロールができない Web』との相性がよくないように見えますし、デザイナーにとって非常に仕事が難しい環境のように

デザイン

道具の選び方、関わり方を考えるためのヒント

間違ったツールの選び方 ペーパープロトタイプは、紙に書き込むというアナログなアプローチであることから、作るための敷居が低いだけでなく、アウトプットも早く改善がしやすいです。メリットが多いペーパープロトタイプですが、 時間の無駄 [http://www.gv.com/lib/paper-prototyping-is-a-waste-of-time] という意見もあります。紙で作られていることから再現性が低く、的確なフィードバックを利用者から得るには難しいからです。 それでは、ペーパープロトタイプが使えないのかといえば、こたえは「No」になります。こうした「○○は使えるのか?」という疑問は制作の方からよく聞かれる質問ですが、回答に困ることがあります。ペーパープロトタイプだけではありませんが、手法や技術そのもので使えるかどうかの判断はできません。採用する前に以下の 4 点を考慮して選ばないと上手くいかないですし、手法や技術へ責任転換をしてしまう恐れがあります。 誰とつくるのか 誰がその手法を使うことになるのか。自分ひとりだけなのか、それとも組織外の方も関わる可能性があるのか。彼らの背

コンテンツ

シングルカラムから始める情報設計

横並びは複雑化の第一歩 Webサイトの設計をする際、必ずといっていいほど縦にコンテンツを並べて構成を考えるようにしています。どのような人が、何を求めて Web サイトに訪れているのかというシナリオを基に構成を考えていく [http://www.yasuhisa.com/could/article/content-we-need/] わけです。詳細なレイアウトを考えるのではなく、情報の流れが適切であるかどうかを判断するための工程にしています。 パソコン向けの Web サイトデザインの悪い癖 [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-pc-brain/] のひとつに、「同じくらい重要だったら、横に並べる」というのがあります。広いスペースがあったパソコンが主流の時代ならではのアプローチですが、今は状況が大きく異なります。配信者側にとっての『重要』を出すことは間違っていません。しかし、あれこれ重要だからという理由で隣り合わせにしてしまうと、様々なデメリットが生まれます。 訪問者に迷いが生じる 直接関係のないコンテンツが横に並ぶことで視点の

デザイン

クリエイティブとデータの間にあるもの

危ういバランス Webサイト制作でも、アプリの開発でも、いつも気にしているのがデータとクリエイティブのバランスです。この 2 つの理解が、デザインには不可欠だと考えています。いずれも「重要」と言われていますが、企業の規模や、文化によって重きを置くバランスが異なると思います。 データを重要視する企業成熟したプロダクトやサービスをもつ企業。エンジニア文化が浸透しているところや、営業の力が強いところ。クリエティブを重要視する企業 発展途上のプロダクトやサービスをもつ企業。起業家の文化や、戦略としてのデザインに強く感心があるところ。Google Analytics のようなツールを使えば手軽にデータを解析できるようになりましたし、A/Bテストをするのも難しいことではありません。データから最適だと思われる改善策を提案することができますし、とても説得力のあるように見えます。 講演 [http://www.yasuhisa.com/could/tag/%E8%AC%9B%E6%BC%94/] で「数字はストレートで分かりやすいから、多くの人に理解してもらえる」と話すことがありますが、すべてを数