iPhone

イノベーションを『誰よりも先にすること』と捉えられることがありますが、それだけではないと思います。実際、アップルが誰よりも先に製品化、サービス化したものはごくわずかです。iPod が出る前に HDD 内蔵の MP3 プレーヤーはありましたし、マルチタッチスクリーンも消費者向けではありませんでしたが、既に存在していました。アップルの魅力は、機能や仕様に捕われない、今やるべきこと、未来にできることを考慮してデザインしているところだと思います。

ハードウェア、ソフトウェア、サービスを、他にはできない連携を実現することで独自の価値観を生み出しているアップル。いずれかを抜き出して語るのは、アップルのほんの一部を語るに過ぎないかもしれませんが、それをあえて実践し、魅力を最大限に引き出している本が「Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation」です。

これは書籍というより、図鑑と言ったほうが良いかもしれません。非常に大きく重たい本なので、ソファでじっくり眺めるのに適しています。アップル共同創立者である Steve Wozniak も寄稿しているなど、ところどころに読み物はありますが、この本はアップルの魅力的なハードウェアは眺める本と言ったほうが良いでしょう。

アップルが設立以来に作り出した製品、プロトタイプ、パッケージをすべて見ることができます。撮影された写真の数は 150,000 枚。そのなかから選ばれた美しい高画質写真をじっくり観覧することができます。iPhone のような私たちの生活に欠かせない製品から、ゲーム機のような幻の製品まで見ることができます。ページを開く度に「懐かしい」「こんなもの作っていたのか」という感動に巡り会えます。30年という時を超えても残る美しさはコンピュータのハードウェアデザインにもあるのでしょう。

個人的に最も興味深かったのがプロトタイプの写真です。完成品とはまったく見た目が違う MacBook や Newton の写真を見つけることができます。ハードウェアの制約と、実現したいデザイン、そしてどこまで値段を落とせるのかという様々な課題とぶつかりながら、何度も繰り返し模索していたのではないでしょうか。Steve Jobs の鶴の一声で実現しているというよりかは、私たちの見えないところでチームの力が働いていたのだと思います。

アップルファンであれば、ぜひ本棚にあるコレクションの一冊として加えておきたい本です。海外からの取り寄せになりますが、対応も早く注文後 1, 2 週間で手元に届きました。カスタムケースに入った『スペシャル版』もあるらしいので、興味がある方はぜひ。

Iconic : 表紙