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根拠や成果を超えたデザインに思いを馳せる

人間中心設計だけでは見えないこと 今では見なくなりましたが、ひと昔の MacBook Pro や Power Mac の本体側面にあるスリープインジケーターや電源ボタンは、スリープ時に点滅をしていました。これがただの点滅ではなく、まるで人が眠っているときの呼吸のような動きをしていました。Apple はこの点滅のデザインの実現のためにコストをかけ、特許も取っています。 Apple 製品は小型化・薄型化が進んでいるので、こうした『演出』が少なくなっていますが、今振り返るとスゴいなと思うわけです。誰も気にしないディテールに拘るという点はもちろんですが、製品に実装してしまっていること自体がスゴいなと。 最近は「利用者のニーズを引き出して、実装しましょう」「そのデザインに効果があったか数値化しましょう」という文脈の中でデザインが語られることが多いわけです。たぶん、そうした中で「電源ボタンを人間の呼吸のように点滅させる」というアイデアが実装されるのか疑問です。利用者から「電源ボタンに心地の良い点滅を加えて欲しい」なんて声は出てこないでしょうし、それが必要だと感じさせるニーズを調査で引き出すこともできないでしょう。実装したところで、『効果』と呼べるものはないでしょうし、分かる人にしか分からないことに対して評価は難しいと思います。 それでもやってしまう… そこに力を感じます。 根拠や成果とは少し離れたところにあるデザインが作られることは、

Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation
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Iconic : A Photographic Tribute to Apple Innovation

イノベーションを『誰よりも先にすること』と捉えられることがありますが、それだけではないと思います。実際、アップルが誰よりも先に製品化、サービス化したものはごくわずかです。iPod が出る前に HDD 内蔵の MP3 プレーヤーはありましたし、マルチタッチスクリーンも消費者向けではありませんでしたが、既に存在していました。アップルの魅力は、機能や仕様に捕われない、今やるべきこと、未来にできることを考慮してデザインしているところだと思います。 ハードウェア、ソフトウェア、サービスを、他にはできない連携を実現することで独自の価値観を生み出しているアップル。いずれかを抜き出して語るのは、アップルのほんの一部を語るに過ぎないかもしれませんが、それをあえて実践し、魅力を最大限に引き出している本が「Iconic : A Photographic

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iOS 7 UI 考察(前編)

発表当時から賛否両論の意見が飛び交っていた iOS 7。普通に使えるようになってしばらく経つので、改めて Apple (特に ソフトウェアエンジニアリング担当の Craig Federighi と デザイン担当の Jony Ive)が何を目指しているのかを私の中で考えてみました。今回は特に色にフォーカスしてデザインコンセプトの分析です。こういう見方もあるんだという、ひとつの視点として見ていただけると嬉しいです。 人間性を持たせること 人間性(Humanize)は、Apple の歴史からみて重要なキーワードだと思います。1984 年に発表された Machintosh 128K は当時のコンピュータの概念を覆す色・形でした(コンピュータの宣伝をスーパーボールで放送するというのも革命的でした)。一部のテクノロジーに強い人たちだけが使う、どこか冷たくて突き放しているイメージがあったコンピュータを一気に一般消費者のほうへ近づけた製品です。 Machintosh 128K は、ハードウェアだけではなくソフトウェアも大きな注目を浴びました。当時、コンピュータの操作をするには『当たり前』だったコマンドラインを排除し、デスクトップというメタファを取り入れた GUI を実装した

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ブラウンとアップル

Steve Jobs が他界したのがキッカケで、再度アップルのデザインが注目されていますが、忘れてはならないのが Dieter Rams(ディーター・ラムス)の存在。ドイツのインダストリアルデザイナーで Braun社から機能美溢れるシンプルな製品を出したことで知られています。Jonathan Ive も彼のデザイン思考に影響されたと言われていますし、Steve Jobs が、1996年にアップルへ戻ってきてからの製品群は Rams のデザインを彷彿させるものが少なくありません。 Rams & Ives が出演しているドキュメンタリー「Objectified」からのワンシーン Rams は良いデザインを10の提案としてまとめています。 良いデザインは先進的 良いデザインは製品を使いやすくする 良いデザインには美的感覚がある 良いデザインは製品を理解しやすくする 良いデザインは控えめである 良いデザインは正直である 良いデザインは長持ちする 良いデザインは細部の細部まで作り込まれている 良いデザインは環境にやさしい 良いデザインはデザインを最小限に抑えている 顧客が満足する製品は、製品そのものだけでなく、製品をとりまくサービスやエコシステムなど多岐にわたります。ただ TV

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ありがとう、Steve Jobs

私が最初に Mac に触れたのは、PowerPC Mac で 1994 年のことです(どのモデルかは記憶にないです)。アメリカに留学中のときにホストファミリーが購入したもので、時々触っていました。学校にはブルースクリーンが目に刺さる IBM のパソコンしかなかったので、Mac のやさしさを感じるインターフェイスは驚きでした。当時はどこか人を寄せ付けない雰囲気をもっていたパソコンでしたが、Mac には逆に人を引きつける『何か』があったのは今でも覚えています。用事がないのについ立ち上げてしまう・・・そんな存在でした。 その後、Mac は私の中では遠いあこがれの存在でした。iMac が登場したことで、高価で手の届かない Mac という印象はだいぶなくなったものの、踏み切る理由を見つけることが出来ず Windows を使い続けていました。 転機になったのがデザイン学科を専攻したことと、プロスペックの Mac を低価格で購入することができる Power Mac G4 Cube が登場したこと。わずか1年で生産終了した

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iPadは第五のスクリーンになれるか

発表前に eBook や電子出版の噂が飛び交いましたし、実際 iBooks という専用アプリケーションがあることから、iPad と出版業界の今後をテーマに書かれている記事が多いです。書籍フォーマットは XML/HTML ベースみたいですし、iPad 以外のデバイスでも同じ本が読めそうな期待が出来きますが、iPad はもう少し大きなビジョンをもったデバイスです。iPad は今までになかったスクリーンの提案をしようとしています。 第五のスクリーンが現れるか 「メディアの消費の仕方の変化」という記事で、メディアの消費の仕方が大人数から次第に個人の体験へと変化しているということを書きました。映画という巨大スクリーンからテレビ、パソコン、そして携帯電話へと、私たちが見るスクリーンのサイズも小さくなっていきました。スクリーンと人との関わり方は変化してきましたが、進化の果てに小さな携帯電話のスクリーンになっているわけではありません。他のスクリーンでは提供出来ないコンテンツや体験を提供出来る強みを活かして、それぞれが共存しています。 形からして iPad は今まで出て来たどのスクリーンにも当てはまりません。本をスクリーンで読むでは留まらない iPad は、今まで他のスクリーンでは出来なかった役割を果たすことになるでしょう。つまり、今までのデバイスとは全く異なる、新しいスクリーンの形を提案しているわけです。 今までスクリーンは次第に個人のものへと変化していきましたが、iPad のようなスクリーンはさらに個人へ進むのではなく、繋げるという役目を果たすでしょう。

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市場調査をしない Apple のビジョン

iMac, iPod, iTunes Store, そして今は iPhone。最初は批判が少なくなく、多くの疑問が投げかけられる Apple 製品ですが、気付いたら誰もが Apple のモデルを追いかけている形が続いています。Apple がすべて正しいことをしているとは言えませんし、最近もGoogle VoiceをiPhoneから締め出すといったニュースが報じられたりと、閉鎖的な動きをよく見かけます。それでも世界中で本当に先進的なことをしているなと感じる数少ない企業であることは間違いありません。 彼等のイノベーションの秘密は何なのでしょうか。実は Apple では市場調査を一切せず、過去 10 年でコンサルタントを雇ったのも1回限り。これからのトレンドを調査をして見つけ出すのではなく、自分たちで作り出すという彼等の姿勢の表れなのでしょう。詳しくは「You Can’t Innovate Like Apple」と「Steve Jobs speaks out」という記事に掲載されています。 Steve Jobs

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ウェブサイト制作にも参考になるAppleアプリの作り方

以前紹介した LittleSnapper をはじめ、Macには無料・有料ソフトウェア問わず UI が洗練したものが数多く存在します。「Macらしいアプリ」と言えるかどうかはインターフェイスと大きく関わっているかと思います。Appleアプリの開発者はどのように形作っているのでしょうか。TechRadar UK の「Before you buy: how Apple software is born」という記事で CoverScout 3 の開発プロセスをインタビュー形式で紹介しています。 大まかにコンセプトを固めるアイデアフェイズ、プログラムなどをする開発フェイズ、そしてバグフィックスや細かな修正といった洗練フェイズの3つに分かれており、それぞれ 30% ずつの時間を費やすそうです。紙や Photoshop を使った平面的なモックアップを作るものの、最終的には実際動くモックアップを作って吟味していきます。3つのフェイズありますが、それぞれがウォーターフォール式に続いて完成ではなく、3フェイズがセットになって何回も続くといった感じなのでしょう。 一見、Finder に実装されている Cover Flow

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体験そのものを製品として売る

今月初めに開催されたアップル開発者向けカンファレンス WWDC 2008 では、日本で 発売も決まった iPhone 3G の話題で持ち切りでしたが、個人的に気になったのが次期 Mac OSX にあたるコードネーム「Snow Leopard」。Mac OSX 10.6 という位置付けのようですが、今回は目に見えて分かるような新機能はなく、64-bit サポートや OpenCL のような開発者にとって嬉しい技術の実装が中心。開発者でなければ具体的にどういったメリットがあるのか現時点では分かり難いです。 もちろん、利用者にとっても快適で安定したパフォーマンスが約束されると思いますが、新機能がないのに次期 OS としてリリースするのは今までにないケース。MSっぽく「Leopard SP1」というわけにはいかないでしょうけど、スタンスとしては似ているような気がします。最も新しいバージョンである「Leopard」を含めて新しい OS がリリースされる度に何百も新機能がありますと宣伝してきたわけですから、発売が近づいたときにどうプロモーションするのかすごく興味があります。Snow Leopard

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Quick Look でビジュアルブラウジング

Mac OS X Leopard から実装された新機能 Quick Look。スペースバーか Cmd+Y で素早くファイルの内容が見ることが出来、iWorks さえ入っていれば MS Office がなくても .doc や .xsl ファイルをプレビュー出来るので大変便利です。Plugin をインストールすることで Quick Look で見れるファイル形式を増やすことが出来るので、アプリケーションを開かなくてもほとんど Quick Look で済ませることが出来ます。あまりにも便利なので Quick Look を使ってフォルダ移動を快適に出来ないか模索してみました。 Quick Look の操作は Finder の表示モードによって異なります。「アイコン」「リスト」「カラム」とありますが、この中でフォルダ階層の移動がしやすいのが「カラム」