市場調査をしない Apple のビジョン

人に質問をする際も利用者が何を必要としているのかを聞き出すというよりかは、なぜ必要なのか、なぜそのように使っているのかという部分に注目すると良いのでしょう。そうすることで、開発しているプロダクトのフォーカスが絞られるのではないでしょうか。

iMac, iPod, iTunes Store, そして今は iPhone。最初は批判が少なくなく、多くの疑問が投げかけられる Apple 製品ですが、気付いたら誰もが Apple のモデルを追いかけている形が続いています。Apple がすべて正しいことをしているとは言えませんし、最近もGoogle VoiceをiPhoneから締め出すといったニュースが報じられたりと、閉鎖的な動きをよく見かけます。それでも世界中で本当に先進的なことをしているなと感じる数少ない企業であることは間違いありません。

彼等のイノベーションの秘密は何なのでしょうか。実は Apple では市場調査を一切せず、過去 10 年でコンサルタントを雇ったのも1回限り。これからのトレンドを調査をして見つけ出すのではなく、自分たちで作り出すという彼等の姿勢の表れなのでしょう。詳しくは「You Can’t Innovate Like Apple」と「Steve Jobs speaks out」という記事に掲載されています。

Steve Jobs が自ら「市場調査はしない」と言っているものの、彼をはじめデザイナー達は人の行動や心理、アーリーアダブターの反応を研究していると思います。人に質問をする際も利用者が何を必要としているのかを聞き出すというよりかは、なぜ必要なのか、なぜそのように使っているのかという部分に注目すると良いのでしょう。そうすることで、開発しているプロダクトのフォーカスが絞られるのではないでしょうか。

Jobs のような天才が何処にでもいるわけではありません。しかし、以前ポッドキャストでも話したように強いリーダーシップはデザインをしていく上で必要なポジションといえるでしょう。市場調査をするしない関係なく、提示された様々なデータから何を導き出し、テーマを絞って進む力がないと、あやふやにもなるでしょう。また、小さなチームのほうがリーダーの影響も浸透しやすいと思います。

去年の記事になりますが、BussinessWeek が、Jonathan Ive とのインタビューを掲載しました。インタビューで彼は目的はお金を稼ぐことではなく、良い製品をデザインすることに尽きると語っています。その結果として人々に受け入れられ、お金を生み出しているに過ぎないとのこと。自分たちの作る製品に自信をもっているだけでなく責任もあるからこそ言える言葉ですね。以前ピクサーに関する記事を紹介したことがありますが、それと共通しているところはあります。

良い仕事をすれば人もビジネスもついてくる・・・とてもシンプルな考え方ですが、そう簡単に出来るものではないですね。真似出来ないところは多いですが、デザインへの姿勢やコンセプトの固め方の部分は参考になると思います。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。