おすすめデザイン入門書10選
たまには本もいかがですか?
セミナーやワークショップのあとに質問を受けることがありますが、「おすすめの書籍はありますか?」と聞かれることがあります。 Web には膨大な情報がありますし、英語まで手を広げると研究者による文献にもアクセスすることができます。しかし、ある特定のトピックを要所を落とさず学びたいときは書籍が便利です。
目まぐるしく状況が変わるだけでなく、デザイナーとして知っておくべき領域も広い今日のデザイン。ソフトウェアの使い方を覚えることも重要ですが、作るための考え方や伝えた方を学ぶことに多くの時間を費やしたほうが良いでしょう。自分のデザインの意図が説明できて、ようやく同僚やクライアントにデザインを理解してもらえるからです。
今回は、デザイナーとして読んでおきたいオススメの入門書を紹介。Web やアプリに特化したものではなく、デジタルプロダクトに携わるデザイナーに向いている書籍を選びました。すべて日本語で読むことができるものばかりです。デザインを広義で捉えた書籍もあるので、自分の視野を広げるのに役立つかもしれません。
誰のためのデザイン?
定番中の定番ですが、読んで損はない書籍のひとつ。昨年、改訂版が出たので改めて読み返した人もいるのではないでしょうか。4年以上前になりますが、 Automagic Book Club と称して、ブッククラブを幾つかのソーシャルメディアをつかって実施していました。そのときに扱った書籍がこちらで、読者からみた「誰のためのデザイン」観が共有できて非常に興味深かったです。
昔から実践しなければデザインは変わらないということに気づかされる書籍です。デザインを科学的、認知心理学的な視点から見るための入門書。
デザイニング・インターフェース
見た目は大事ですが、それだけでは解決に繋がらないのがインターフェイスデザインの難しいところ。どのようなデザインパターンが適しているのか考えるヒントになるのがこの書籍。単なる UI カタログではなく、なぜそのデザインパータンが適してるのかという理由も解説されています。
初版が 2005 年なのでスマートフォン以前のインターフェイスパータンが多いですが、今にも通じる基礎知識をたくさん得ることができるはずです。
UIデザインの心理学
「デザイニング・インターフェース」で UI パターンを学習したあと、さらに UI デザインを深掘りしたい方にオススメの書籍。人とコンピュータの間に UI があるわけですが、双方がどのような関係にあるのか、人はどのように認知するのかといった UI デザインの根拠を知るための書籍です。こちらも、読み物というより、リファレンスとして持っておきたい書籍のひとつ。
インタフェースデザインの心理学
上記と似ているタイトルですが、こちらは人へフォーカスした書籍です。なぜ人はそういった行動をとってしまうのかという「行動のメカニズム」を、調査結果や実例を基に解説しています。最終的な落とし込みの前に、行動に移り変わりやすい設計を考えるヒントを与えてくれます。行動や心理の特徴を 100 に分けてあり、どこからでも読める書籍になっています。
Lean Analytics
「Lean ◯◯」と称した書籍がたくさんあるのでウンザリしている人も多いかもしれませんが、そのなかでひとつだけ読むならこちら。数字とデザインは関係ないと思っている人、どのように数値をデザインに活かせばいいのか分からない方にオススメです。これを読むだけで数字との付き合い方が変わると思います。
日本の副題には「スタートアップ」と書かれていますが、Web サイトやアプリの運用に携わるデザイナーであれば一見の価値ありです。
Hooked ハマるしかけ
ひとはなぜ製品やサービスを使い続けるのか。繰り返してしまう行動のメカニズムを 4 つのステップに分けて解説しています。人間の行動の「なぜ」について考え始めると行動経済学に辿り着きますが、ここ数年出た入門書のなかでこちらが入りやすいと思います。たくさん実例が紹介されているビジネス書なので、難しい用語は一切出てこないのも魅力。アプリデザインをしている人だけでなく、ランディングページを作っている方にもおすすめです。
今日からはじめる情報設計
様々な分野を勉強をしていても、結局 Information Architecure (IA) へ戻っていきます。私たちは情報を扱う仕事をしている以上、人がどのように情報を認知しているのかを理解することは重要です。
IA に関する書籍はたくさんありますが、そのなかでも解りやすい文章でサラッと読める本書はおすすめです。「これが情報設計なんだ!」という気づきもあると思いますし、もっと勉強したくなるかもしれません。ポッドキャストで株式会社インパスの山下 一樹さんもオススメしていました。
一人から始めるユーザーエクスペリエンス
UX デザインとひとことで言ってもやることがたくさんあります。また、UX を社内で実践して広めるとなると難易度が一気に上がります。ひとりで何をしたら分からないという方にとって、この書籍はひとつの道しるべになると思います。ひとつひとつの手法をしっかり学習したい方には向いていませんが、全体の流れの把握や、小さく始めるためのヒントにはなるはずです。この書籍を起点にして、どの分野に力を入れていくか考えてみるのも良さそうです。
ほんとに使える「ユーザビリティ」
世の中には「使いにくい」が山のようにあります。それは Web サイトデザインもアプリデザインにも同様のことが言えます。どのようにすれば使いやすくなるのか … そのヒントが本書にあります。概念と実践がバランス良く書かれています。日本語版が出た頃に書籍のレビューを書きましたが、欧米と日本の違いを考慮した訳もされていて非常に読みやすかったです。
シンプリシティの法則
「シンプル」というデザイナーが何気なく使うこの言葉。シンプルの意味とはなにか、それは人にどのような影響を与えているのかを考えるキッカケを与えてくれます。書籍が出た頃にレビュー記事を書いているので、こちらも参考になれば。