おすすめデザイン入門書8選(洋書編)
予習として洋書はいかがですか?
前回おすすめデザイン入門書を 10 冊紹介しました。どれも自信をもって紹介できる書籍ですが、選書しているときに訳本がない書籍を幾つか見つけました。私の場合、読んでいる本の半分以上は洋書なので、翻訳されていないものは渋々リストから外すことになりました。
そこで今回は、2016年2月現在、訳本が出版されていない洋書を 8 冊紹介します。前回と同様、Web やアプリに特化したものではなく、デジタルプロダクトに携わるデザイナーに向いている書籍です。いずれ翻訳される可能性があるので、そのときに備えてメモ程度に見ていくと良いかもしれません。
UI is Communication
UI デザインは利用者体験を考える上で、ほんの一部でしかありませんが、視覚的に表現されることから体験に大きな影響を及ぼします。UI デザインから利用者のこと、体験のことを掘り下げていく際、この書籍は良いスタート地点になるはずです。章ごとにエクササイズがあり、学んだことを基に手を動かせるような構成になっています。
考え方の紹介だけでなく、多くの事例が紹介されているのも魅力。UI デザインをテーマにした漫画も幾つか掲載されていて、文書が苦手でも漫画を通して UI に関わる課題を学ぶことができます。
Sketching User Experiences
UX デザインの考え方や手法を紹介している書籍はたくさんありますが、こちらはスケッチにフォーカスしています。素敵なイラストは描けなくても、相手にアイデアを伝えるのに十分な表現力はもっておきたいところ。ワイヤーフレームはもちろん、ストーリーボードやインタラクションの表現まで様々なノウハウが紹介されています。
この書籍はカナダのカルガリー大学でも採用されているそうです。大学の Web サイトに関連情報やワークショップに使える素材が用意されています。
Envisioning Information
インフォグラフィックが再注目されていますが、情報を視覚化することに一生を捧げているのがエドワード・R・タフト氏。本を開くと、なぜ日本語化されないのか分かるくらい精密でデザインされた中身になっています。英文を読まなくても、ページをめくるだけでも楽しめると思います。
情報デザインの現在、過去、未来を辿ることができる図鑑のような書籍。本書は 「The Visual Display of Quantitative Information」と題したシリーズもののひとつという位置付けですが、一冊だけ手にいれるとしたらこちらがおすすめです。
Designing the Conversation
デザインについて語ることは簡単なことではありません。デザインについて誰かと会話をするとなると、さらに難しくなります。本サイトでもデザインに関する会話の始め方を何度か取り上げていますが、一冊にまとまった書籍が読みたいならこちらがおすすめです。
この書籍は、どのようにデザインについて話したら良いのかヒントを紹介しているだけでなく、デザイン批評のファシリテーションについて書かれています。クライアント相手ではなくても、デザインについて話さなければならないタイミングがあります。そのときにこの書籍が役に立つでしょう。
Seductive Interaction Design
デザインコンサルタントとして幾つかのデザインカンファレンスで講演をしている Stephen Anderson の著書。利用者がサービスや製品に魅了される要因を心理学やインタラクションデザインの観点から分解している書籍。「人はなぜそのような行動をとるのか」という疑問にデザイナーの視点から応えています。
行動経済学やゲーミフィケーションと重なるトピックもあり、学べるところがひとつくらい見つかるはず。様々な分野を扱っていますが、デザイン本らしく見た目の重要性も説いているのも共感がもてます。
Content Strategy for the Web
コンテンツをテーマにした記事をたくさん書いてきましたが、著名な方による書籍を読んで理解を深めたいならこちら。この書籍で書かれているテーマを展開したり深めたりして、記事執筆やワークショップをしてきたといっても過言ではありません。『元ネタ』が知りたい方はぜひ。
コンテンツマーケティングは日本でも使われるフレーズとして広がりましたが、コンテンツ戦略はいまいちでしたね。何が違うのか、なぜコンテンツ戦略も重要なのか知りたい方は読んでみてはいかがでしょうか。
Design is a Job
デザイナーはただデザインをしていれば良いというわけではありません。クライアントと話すことはもちろん、双方の同意の基にプロセスを進めていくこともデザイナーの仕事のひとつです。クライアントや上司に言われてたことをただやり通すことがデザイナーの仕事ではないことを教えてくれる書籍がこちら。デザインのハウツー本ではなく、デザイナーとしてどう生きていくのかを教えてくれる書籍です。
米国のデザインスタジオで働くデザイナーと、日本のデザイナーの立ち位置は異なるかもしれません。しかし、デザインをするという仕事はどういう意味があるのかを立ち止まって考えさせてくれるでしょう。
About Face
UI デザインの方法論が紹介されているアラン・クーパーが執筆した書籍。第3版は日本でも発売されていますが、2014 年に出た第4版は英語で読むしかありません。初版が 1995 年に出版されて以来変わっていない UI デザインの原則はありますが、更新されているところも少なくありません。第3版のときにはなかったモバイルプラットフォームについてや、タッチデバイスに基づいたインターフェイスの事例などが追加されています。
筆者であるアラン・クーパー氏は非常に強い意見を持っている方。ライティングスタイルも含めて、彼の見解を楽しめる一冊になっています。