プレゼンスライドのスクリーンショット

MdN web creator が主催する Designer meets Designers で講演をしてきました。およそ1年半前に「さよなら Web 標準」という講演をして以来の2度目になります。今回は「好まれるWEBの7つの特徴に学ぶ、サイトづくりのキーワード」という少々長々しいタイトルで、今デザイナーが知っておきたいスキルについて話しました。

内容は今ホットな技術やテクニックについての紹介というよりかは、これからデザイナーとして又は Web に関わる仕事をしていく上で重要なことは何かという少し広い視野の内容。今話題の情報を紹介するだけでも良いのかもしれませんが、流行ネタだけでは身に付く能力に繋がらない場合もありますし、本質的なことを見失うこともあります。流れが速い時代だからこそ、ついて行くだけだと疲れ果ててしまうこともありますし、先が不安になるのではないでしょうか。今セッションでいう「知っておきたい能力」とは、流行から本質を見極める方法、そしてこれから必要とされるサイトの特徴を作るためのアプローチという意味といって良いでしょう。

様々な技術や Web サイトが生まれては消えて行く Web の世界。長いスパンで見ると、生き残る技術やサイトには幾つかの特徴があるということが見えてきます。私はその特徴を7つにまとめ、『PASSION』という語呂に合わせてひとつひとつ事例と共に紹介しました。

Portable
利用者がしたいと思う事が出来るように情報の運びが可能な環境作り
Accessible
障害者のための配慮というより、多くの方が敷居を感じることなくアクセス出来るかどうか
Speed
0.1秒でも早くするだけでもビジネスに影響を及ぼす。今この瞬間にすぐ欲しいという要望は高まっている
Simplicity
無駄がなく、ややこしいことをしなくても使える
Interoperable
相互互換性。他のサイトや技術との連携や拡張が可能かどうか
Open
制約がなく技術を利用することが出来るかどうか
humanN
その先にいる人のことを考えて作られているか。Web とリアルと分けていないか。人をマスとして扱っていないか

「スキル=人材」はもうやめよう

私たちは HTML5 を覚える事、CMS を自由にカスタマイズ出来る事、JavaScript が書ける事など、様々なスキルを得るために日々勉強をしています。もちろん、Web サイトを作る上でスキルは欠かせませんし、たとえ手を動かして作業をする側でないとしてもスキルの理解は必要でしょう。しかし、そのスキルセットが会社に残る人材でもなければ、クライアントに必要とされるのかといえば、一概にそうはいえないと思います。

単に Web サイトを作るのであれば低価格化は進んでいます。ソフトウェアやプログラムといった機械が出来る領域はどんどん増え、性能も上がっています。上記に挙げたスキルにしても同様です。「これは人間がしなければいけないんだ」と言っている部分も遅かれ早かれ機械化され低価格化していきます。IT 以前からそうです。

典型的な例としてコーディングサービスがあります。彼等はコーディングという機械化が出来るようになってきたスキルで競争をしています。あちこちで低価格を打ち出しており、最近ますます安くなっています。日本語だから日本人じゃないと心配と考えている方もいるかもしれませんが、海外のコーディングサービスへ発注しても良いものが帰ってきたという話も聞きます。世界で競争するとなると、ますます値段は低くなり、ただ単に見た目を再現するという印刷機的なスキルであれば、今後限りなくゼロに近づくでしょう。

スライドのスクリーンショット4枚

私はコーディングをする人の価値が低下しているといっているのではありません。

私が危惧しているのは、コーディングをはじめとした機械的なスキルだけで「人材」としてしないかという部分にあります。「○○が使える・出来る」で良い人材と見なしていないでしょうか。勉強している私たちもそれだけで自分が使える人材になれると思っていないでしょうか。セッションでも話しましたが、多少の上下はあるものの、みんな同じようなスキルを持っています。もしスキルだけを比較したら、安い値段で出来るところを選んで当然です。

先にも書きましたが、テクノロジーと密接な関係をもつ Web において専門的なスキルは必要です。だからこそスキルと「残る人材」を一緒に考えてしまいがちになるのかもしれません。クライアントに選ばれる 人材 / 会社は、とてつもなく高いスキルをもっているわけではなく、それ以外の「何か」があるからではないでしょうか。それは人を繋げる力なのか、気軽に相談できる雰囲気なのか、恐れずに上司やクライアントに別の提案が出来るか・・・様々あります。

私のセッションは次のスキルを選ぶヒントもありました。しかし本当のところは、新しい技術が次々出てきても心配する事なく、何が大事なのかを考え、次のアクションへ繋げるための原動力を示したかったところがあります。わずか60分であの情報量では足りなかった部分はあったと思いますが、ちょっとしたインスピレーションになっていれば幸いです。

今回はイベントの規約上スライドを公開することが出来ませんが、以下がセッション内で紹介したサイトになります。また別の機会があれば似たような内容で話すかもしれませんので、興味がある方はそのときぜひお越し下さい。