クリエイティブを伝えるためのヒント
仕事を伝えるためのクリエイティブ
ここ数年、デザインやクリエイティビティへ注目が集まっています。ものづくりの世界だけでなく、ビジネス戦略や組織論にまでデザイン思考やクリエイティブであることの重要性が強調されています。また、顧客のクリエイティブを利用したマーケティングキャンペーンやサービスも少なくありません。もちろん、中には誤解しているものもあれば非生産的なものもありますが、少なくとも言えることはビジネスの世界でもデザインやクリエイティブの価値は高いということです。
こうした中、私たちは何が出来るでしょうか。作品を単に見せるだけでは、クリエイティブを伝えるには物足りない場合がでてきます。今後、自分たちのクリエイティブを伝える上で、考えておきたい4つの項目があります。
- 作り上げるための道筋 (クリエイティブプロセス) を説明することが出来るか
- クライアントが言う「クリエイティブ」の意図を読み解けるか
- あなたが今からでも見せることが出来るクリエイティブは何か
- サイトを制作するための費用だけではなく、自分たちがもっているクリエイティブに投資するようクライアントに呼びかけることが出来るか
制約がソリューションを生む
デザインと同様、クリエイティブも不思議な言葉で、誤解されやすい言葉のひとつです。クリエイティブはデザイナーやアーティストのようないわゆる表現者達の特権ではありません。エンジニアであろうと営業であろうと、誰でもクリエイティブになれます。クリエイティブという言葉の誤解をなくすためにも、以前執筆した「クリエイティブになるための4つの視点」は参考になるはずです。
挙げた 4 つの視点の中に「制限をつくる」というがあります。Webサイト制作にはわざわざ制限をつくらなくても数々の制限があります。それは技術的な側面であることもありますし、ビジネスからの場合もあります。様々な制約の中で出来る最適なものを考える課程がコンセプトワークからコーディングまで制作行程のすべてにあります。「AだからB」といった公式や定番はありそうでありません。様々な思考錯誤とテストを繰り返さないと分からないことのほうが多いです。制約なしでクリエイティブは語れません。何を実現したいのかを聞き出すだけでなく、何が制約なのかを聞き出すことも重要です。
作業という名のクリエイティブ
今はロゴからサイトのテンプレートまで低価格で購入することが出来ます。そしてそれらの多くは非常に見栄えも良く、素人が作ったものとは歴然として違います。しかし、それらの多くは「ふつうのデザイン(装飾)」であり「素晴らしいデザイン」というわけではありません。クライアントの目的が達成出来るようなアイデアが含まれているわけでもなければ、そのアイデアがうまくビジュアルへ落とし込まれていない場合もあります。サイトのコアとなるアイデアを生み出す行程にクリエイティブが必要になります。
それではアイデア作りに専念していれば良いのでしょうか。アイデアを見つけるためにいろいろな情報を集めているだけで良いのでしょうか。もちろんそういうわけではありません。
クライアントに最適なソリューションを提供するには、サイトを制作するという作業スキルも磨く必要があります。時には何度も失敗することになるでしょうし、同じことをひたすら繰り返すようなこともあります。職人的な作業は最適なソリューションの提供するための欠かせない要素のひとつです。活かすも殺すも作り込めるかどうかにかかってくることがありますよね。ソリューションを考案したり、想像力を働かせることをクリエイティブと呼びがちですが、実は「技巧」もクリエイティブに欠かせません。
上記のリストで「クリエイティブに投資する」という言葉を使いましたが、これはアイデア料金やコンサルティング料金を請求書に盛り込むことが出来るかといった話ではありません。漠然としたアイデアを可能な限り質の高い形として作り上げることが出来ることも含めたクリエイティブの投資になります。それがあなた(御社)の価値であり、差別化にも繋がるのではないでしょうか。