Progressive Enhancementは、Web サイト制作の取り組み方にも影響する重要なトピック。Web 特有の考え方だと思われるかもしれませんが、ゲームの世界では随分前から Progressive Enhancement をゲーム開発の一部として取り組まれています。

Crysis左が画質設定が最高の画面
影の中のディテールが鮮明だけでなく光の反射も繊細

上の画像は「Crysis」というファーストパーソン・シューティングゲームのものです。同じゲームですが、少しだけ違う見た目を提供しています。ユーザーが影やテキスチャの質を自由に調整することが出来るので、環境により違う見た目になっています。素晴らしいグラフィックが特徴の Crysis ですが、こうしたハイスペックのゲームを古いパソコンで遊ぶとフレームレートが激減し、肝心のゲームが遊べなくなってしまいます。もちろん、開発側は最高の環境で遊んで欲しいことを願っていますが、それをユーザーに強制することは出来ません。そこで古いパソコンでも Crysis のコンテンツが楽しめるように画質のカスタマイズ機能があるわけです。見た目はもちろん重要ですが、誰でもコンテンツに触れることが出来、快適なゲーム体験を提供するための工夫といえます。

PCゲームのような詳細な画質設定はありませんが、Playstaion 3 のようなコンソールにも Progressive Enhancement があります。最近のゲームはすべてデジタルオーディオとビデオで開発がされてます。HDMI端子がある TV に接続すれば最高の画質と音質を楽しむことが出来ますが、HDMI端子がないテレビでもゲームは楽しむことが出来ます。また、Playstaion 3 と XBOX 360 には描画解像度は低いままで出力解像度を上げる「アップスケール機能」が実装されており、モニターの解像度に最適な大きさに自動的に拡大出来るようになっています。HDMI端子があるテレビしか対応していない機能ですが、良いデバイスには可能な限りよい体験を提供するためのアプローチといえます。

Webサイト制作と同様、ゲーム開発もただ単に作りさえすれば Progressive Enhancement になるわけではありません。テキスチャの圧縮方法や構成の工夫に細心の注意を払っているからこそはじめて実現することが出来ます。どんなにグラフィックが素晴らしくなってもゲームで最も重要なのはゲームプレイ(体験)です。そして、体験を高いプライオリティに置いているからこそ、それを提供するために多少の画質/音質を調整することは当然と考えているのがゲームの世界なのでしょう。Web サイトにおける Progressive Enhancement がよく分からない、意味があるか分からないと考えている方はゲームをはじめ他の世界を見ると良い発見があると思います。