新卒・就活中のUXデザイナーに伝えたこと

採用側のニーズに応えつつ、自分のやりたいことを見つけて活動できる関係を築くためにも、就職活動中の UX デザイナーは企業に『インタビュー』したほうが良いと思います。

見えないところが増えたことによる不安

最近、新卒・就活中の UX デザイナーとお話する機会がありました。

ここ数年、大学・専門学校を卒業しているアプリや web 志望のデザイナーを『UXネイティブ』と自分のなかで呼んでいます。UX デザインを体系的に学んでいますし、プロジェクトを通して体験をしている学生も少なくありません。デザイナーは単に見た目を良くするのではなくユーザーの課題を解決する提案が必要ということは言わなくても分かっていますし、プロダクトやサービスを成長させたいと思うデザイナーもいます。

そんな彼らですが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で就職活動が難しい状況だと思います。見て回ることができない上、リモートワークに切り替わったことで仕事環境や文化が見え難くなったと思います。

採用する側(企業)は、ポートフォリオのレビュー、面接、体験入社といったプロセスはリモートになった以外大きく変わらないかもしれません。また、何人も見てきてた経験があるので、リモートでもなんとなく分かる・察することもできます。一方、就職活動している側は、リモートワークそのものが初めてですし、ただでさえ見え難いことが余計見えなくなった不安も多少あるはずです。

不安や迷いだけでなく、何をしたら良いか分からない人もいるはず。

新卒・就活中の UX デザイナーに「ちゃんとポートフォリオを作れ」のようなことは言わず、見え難いところを明らかにするようアドバイスしました。

早期に明らかにしておきたいコト

就職活動をしていれば、興味がある企業サイトへアクセスすると思います。そこには魅力的な仕事環境、心に響くコピーやイメージが掲載されています。Web サイトの情報に魅かれて応募する人もいると思いますが、そこに書かれている情報は組織を象徴する文化の断片に過ぎません。

組織文化の構造図

上図は組織の文化を階層式に表したものですが、web サイトの情報は最上位の「シンボル・コトバ」に該当します。下階層にある価値観やルールが分かりやすく視覚化されたものがコピーやイメージと言えるでしょう。

表に現れた「シンボル・コトバ」に共感することは行くか行かないかの重要な判断材料になりますが、中長期にわたって働く上ではもう少し深掘りが必要です。「シンボル・コトバ」の下に隠れている、水面下の文化はどういったものか早めに知っておいたほうが「こんなはずではなかった」という経験は避けることができるはずです。

面接は採用する側がデザイナーにいろいろ聞く形式を多く見かけますが、水面下の文化を知るために、デザイナーはどんどん質問したほうが良いと思っています。面接時である必要はないですが、水面下の文化を知るために以下のような質問を早めにしたほうが良いでしょう。

  • (理想論ではない)実際のデザインプロセスはどんなものか?
  • そのときにデザイナーはどう関わり、どういう責任範囲で動いている?
  • 新卒のデザイナーはデザインプロセスのどこに関われるのか?
  • デザインのオーナーシップ(決裁)は誰がもっているのか?
  • デザインに対して何を期待しているのか?
  • デザインの良し悪しはどう決めて進めているのか?
  • デザイナーはどう評価されているか?
  • 教育、学習支援のプログラムはあるか?
  • 相談できる先輩がいるとしたら、誰で何をしている人か?

こうした質問の答えは web サイトには載っていないことが多いです(そもそも出しにくい部分ではありますが)。中にはリモートワークになって余計見え難くなったところもあります。たくさん質問できなかったとしても「デザイン、デザイナーがどういう立場にいるのか」は明らかにしておいたほうが良いでしょう。

早い時期からリサーチだ、ライティングだと範囲を狭めないで、興味があるところは全部したほうが良いと思います(私も若い頃は自分で CMS 作ってデザインするなど幅広く作る活動をしていました)。ただ、時間は限られていますし、組織の期待に応えなければ「使えない」という評価になる恐れがあります。

彼らのニーズに応えつつ、自分のやりたいことを見つけて活動できる関係を築くためにも、就職活動中の UX デザイナーは企業に『インタビュー』したほうが良いと思います。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。