1991年の資料から学ぶ情報デザインチェックリスト
Web デザインをきっかけに知ることになった方も多いと思いますが、IA (Information Architecture) の歴史は長く 30,40 年ほど遡ることが出来ます。IA と明確に書かれていない書籍でも IA に関わる資料が昔からたくさんあるわけですが、当時はどのようなことが書かれていたのでしょうか。今と変わらないもの、そして今とは違う事柄はあるのでしょうか。Volkside の「17 guidelines for better information architecture…from 1991」という記事で Kent L. Norman が執筆した「The Psychology of Menu Selection: Designing Cognitive Control at the Human/Computer Interface」という書籍が紹介されています。
1991年に出版されたこの書籍には IA の参考になる章が幾つかあり、特に Checklist for Menu Design with Cross-References to Sections in the Textというガイドラインは現在にも通じる事柄が幾つか書かれています。名前のとおりメニューデザインに関するチェックリストですが、それ以外にも関連しそうなことが幾つかあります。Volkside ではその中から IA との関わりがつよい17項目をピックアップしていますが、こちらではメニューをコンテンツを言い換えても良さそうな項目も少し挙げてみようと思います。
- メニュー構造は利用者の使い勝手に適応されているか
- メニュー構造はタスク達成のために最小限の道筋を提示できているか
- メニュー選択後には利用者が期待通りのアクションが続くか
- プルダウンメニューを使用の際、よく使われるアイテムがすばやく選択出来るようになっているか
- 階層式のメニューを利用する際、アイデアが枝分かれするかのように明確な段階が明示出来ているか
- 階層式メニューを利用する際、よく使われる重要なアイテムは上位構造に配置されているか
- メニューレイアウトは利用者の理解を促すようなメタファーを利用しているか
- メニューとその説明の文字数は流し読みが出来る程度のものになっているか
- メニューとその説明の文章は、利用者の経験や知識に合わせているか
- ラベルはアイテムについて明確で意味のある情報を伝えているか
- ラベルは分かりやすく一貫性をもった用語を用いているか
- 重要なキーワードは強調されているか
- 画像を利用してアイテムを説明する際、それは明確で認識しやすいものか
- メニューは意味が分かりやすい形で整理されているか
- レイアウトはそのとき適したメニューに対してフォーカスできるようになっているか
- 情報フォーマットはメニューからメニューへ移動しても一貫性があるか
- 利用者に様々な形の検索を提供できているか
- 階層式のメニューを利用する際、最初に戻ったりひとつ上の階層に戻れる仕組みがあるか
- メニューレイアウトは利用者がスキャニングがしやすいように作られているか
- メニューの組み合わせは利用者の決定を楽にするように配置されているか
他にも利用者に応じてシステム (Webサイト) が学習をし、効果的にメニュー構造やアクションへの導線がひけているかといったこともチェックリストに含まれています。これはつまり、バージョンアップやパッチを加えることで実現出来ることですが、このときから段階的な開発とデザインの重要性が書かれているということが分かります。こうしてチェックリストを見ても分かる通り、20年近く経った今でも参考になる項目がたくさんあります。
資料はメニューデザインが中心ですが、全文を Web サイトで読むことが出来るので、時間があるときにせめて最後の章にあたる「The Future of Menu Selection」のあたりでも読んでみようかと思います。