怠っているのは私です
昨日は坂本さんとの久々に会食。坂本さんとは「変革期のウェブ」で対談したとき以来だったので、随分ご無沙汰していましたが、3時間という長い会話もあっという間に過ぎました。本当はポッドキャストの収録をかねてだったのですが、予約したところが個室にも関わらず想像以上にオープンスペースだったことと、席が向かい合っているけど離れすぎているということで断念。次回は必ず収録致します、はい。(渋谷周辺で対談に向いてそうな場所ってないですかねぇ。多少音があっても良いのですが)
坂本さんは某大手企業に所属している、日本ではまだ数少ない IA (Information Architecture) の専門家です。デザイナーやマークアップエンジニア、そしてディレクターのポジションにいる方も IA は頭の片隅に置いて制作に携わっていると思いますが、それを専門的な視点で吟味したりアイデアを制作メンバーと共有するのが彼の役目。SEOやアクセシビリティにもいえますが、みんな考えているから専門家がいらないといったらそうではないですよね。特に近年のソーシャルメディアの成長や CMS などの技術による情報の速度の変化が、従来から IA がやっている平面的な情報の組織化だけに留まらなくなっていると思います。そういった意味では非常におもしろい時期だと思いますし、同時に再検証が必要なのかもしれません。
今年に入って、このサイトで Web という媒体におけるデザインは何だろう、そしてアイデアをどう Webデザイナーと呼ばれている方やクライアントと共有して行けば良いのだろうということを模索しています。坂本さんも似たような姿勢を持っていて、彼の場合は IA の視点で Web という媒体における IA はどうあるべきなのだろうというのを模索し始めている印象がありました。坂本さんはその模索を3つのレイヤーに別けてそれぞれ異なる活動によって具体的な形にしていくそうで今後楽しみだったりします。
彼が昨日の会話で何度も「怠っている」という言葉を使っていました。僕も坂本さんもまだ Webサイト制作という仕事があるかないかみたいな時期からネットに触れていて、仕事としてもある程度の経験と実績も少しずつ積み上げてきました。Webサイト制作が流動的に変化して今に至っているわけですが、守りに入っていないかと感じることもときにあります。現状維持だけで日々の仕事に追われていたり Tips を集めているだけでは、この先 Webデザインは Web制作工場になってしまうのではないかと。それはそれでつまらないですよね。長く仕事をしていているからこそ単にビジネスだけでなく Web そのものに対してビジョンを持っていなくては。それを Web で共有したり、行動や成果物で表さないと自分たちは怠っているのではないかと思うわけです。
目指すところやキャリアパスの先はマネージメント系しかないのも狭く感じるし、そもそも目指すものや人がいるのかなと思うときがあります。この辺りは伊藤学さんの「Webクリエーターで10年後仕事ありますか?」にも繋がるところはあるかもしれませんね。
以前、あるクライアントが言っていたことで「なるほど!」と思ったのが、業界の底上げは、まだリーチしていない人に何かアプローチするのではなく、まずはトップの育成をすることが大事なんだそうです。スターと呼べる人が現れることで、彼/彼女を目指してがんばる人が増え、結果的に業界の底上げに繋がります。図で書くとちょうど以下のような感じです。
Webデザインや IA だとどうなんでしょう。海外まで視野を広げたらスターと呼べる方はいますが、それほど多いという感じはないです。情報を発信したり共有の場を設けて参加しているという方になるとさらに少ないです。目に見えて目指せる方がいないと、ディレクターや管理職など別の職種に移るしかキャリアパスがイメージ出来ないですよね。
ここで何が言いたいのかというと、もっとみんなブログでも作品でも出してくれよ!と言っているのではなく、言う前に僕ももっと何かしないといけないなと。坂本さんの言い方でいう「怠っている」ところだと思います。イベントみたいな大きなものじゃなくても、カフェでなんとなく集まって話したり、機会があれば制作会社にお邪魔して話しをするというのもアリだと思います。模索する機会とそれを考える時間を作ることが、長期的にみて自分が働いている環境の改善にも繋がるでしょうし、ここで書いていることが徐々に現実のものになるような気がしています。とりあえず行動が足らん。もっとサイトは作らんといかん。持続出来る環境作りが整えられていない。怠っている。
そんなふうに感じた火曜の夜でした。
PS: また懲りずにオンラインゲームの話を坂本さんにしてしまったわけですが、意外と反応が良かったのでいずれ何処かでちゃんとまとめたものを発表出来たらなと思いました。