John Bohannon & Black Label MovementDance Your PhD

Use dancers instead of PowerPoint. That’s science writer John Bohannon’s “modest proposal.” In this spellbinding choreographed talk from TEDxBrussels he makes his case by example, aided by dancers from Black Label Movement.

生物学者の John Bohannon が、今年の TEDxBrussels で少し変わった講演をしました。TEDの講演は PowerPoint や Keynote をはじめとしたプレゼンテーションツールを活用して話さることが多いですが、彼の講演はスライドの代わりにダンサーを使って行われました。複雑で捉え難い科学の話題をダンスを通じて感覚的に伝える彼の講演は非常に興味を引きました。

ちなみに彼は Dance Your PhD というサイトを運営しており、そこで科学とダンスを融合させた動画を観覧することができます。スタイルも様々で見て飽きることはありません。

Bad PowerPoint presentations are serious threat to global economy. (酷いパワポのプレゼンは、世界経済に深刻な悪影響を及ぼしている)

上記は Bohannon 氏が公演中に述べていた言葉です。
もちろん、これは PowerPoint を使うのが良くないと言っているわけではありませんし、PowerPoint よりダンスが良いと言っているわけではありません。ダンサーを使った方がお金と時間がかかるわけですから、誰でもすぐに出来るものではありませんし、ダンスでは伝えきれないことも少なくありません。

Bohannon氏の講演で学べるのは、メッセージに耳を傾けてもらうためには手段を狭めてはいけないという部分。科学とダンス・・・ふつうなら関連性を見出せない2つの分野を組み合わせることによって、今までにない価値を提供している好例です。彼の講演を聴いても詳しいことを知ることは出来ないでしょう。しかし、ダンサーの動きを通じて漠然とした何かが頭に飛び込んできます。TEDのような場は、専門外の人たちが集まっているので、専門用語が分かる人たちだけではありません。専門外の人たちが興味をそそるのは、詳しい情報が知れるかどうかではなく、何かに気付く瞬間です。抽象的ではありますが、イメージが飛び込んでくるからこそ、彼の講演は頭に残るのかもしれません。

講演者が話しているというよりかは、PowerPoint / Keynote が講演しているようなプレゼンテーションは未だに多いと思います。
プレゼンテーションのために作ったものというよりかは、後で見るための資料(ハンズアウト)になっているものも少なくありません。最近は SlideShare のようなサイトで共有している方もいるので、そういった共有の場でも分かりやすくしておきたいという心遣いから情報満載なスライドになっている場合もあるでしょう。ただ、その気遣いが同じ時間を共有している人たちとの体験を犠牲にしている可能性があります。

Webサイトデザインと同様、講演も来場者(ユーザー)のことを考えることが多いです。

  • わざわざ足を運んできた参加者に提供できる価値とは何か?
  • あとで動画まで見れるような今、現地でしか体験できないものをどう作り出すか?
  • 人は一体何を求めてセミナーに訪れているのか?

こうした Web サイトデザインと似たような課題にぶつかることが多いです。また、スライドを作り込むことに満足してしまう場合があるところも、デザインにこだわって満足してしまう Web サイトと似ているところがあります。

魅力的なスライドにすることは良いことですが、プレゼンテーションのほんの一部であり、脇役です。以前 手描きでスライドを作ったことがありますが、それだけが話題になって内容に触れた方がほとんどいなかったということもあります。デザインに興味がある方へメッセージを伝えるために手描きを使うのはどうだろうかと思ってやってはみたものの、結果的にメッセージ性が薄れてしまいました。このように、うまくいかなかったこともありますが、スライドと話し方のバランスを考慮しつつ模索し続けています。

John Bohannon の提唱するダンスと科学の融合もひとつのプロセスです。うまくいかない場合もあると思いますが、従来のプレゼンテーションの枠を取り払ってひとりでも多くの方に科学に興味をもってもらうための手段を模索しています。私はダンスを導入することはないと思いますが、「これが自分のスタイル」と固辞することなく、プレゼンテーションの仕方や組み合わせを考えていきたいと思います。