占い師のようにデザイナーの考えていることが読み取ることはできない

良いものは理解される … わけではない

良いデザインは語らなくても、相手に伝わるという言葉を耳にしたことがあります。そういった瞬間に出くわすこともありますが、少し見るだけでも伝わるデザインばかりではありません。一見シンプルなものでも、デザイナーがどのような経緯でそこへ辿り着いたかを理解するのは困難です。

良いものを作れば理解してもらえる場はあります。しかし、デザインへの理解を共有していない人が相手だと、見せただけでは伝わりません。そもそもデザインを専門分野にしていないからこそ、デザイナーにデザインを頼んでいるわけですから、当然だと思います。デザイナーは、良いデザインを生み出すことは当然ですが、それと同じくらい自分のデザインを営業する能力も必要です。

「デザインを理解してくれない」と嘆くのはナンセンス。デザインを理解してもらうのはデザイナーの仕事ですし、それを相手が理解できる言葉で伝える工夫も忘れてはいけません。

デザイナーであれば、自分でデザインを語れるようにしておきたいところ。私自身もしてしまうミスも含まれていますが、以下の 6 点に注意しないと、思いもよらない要望が飛んでくることがあります。

他の人に任せる

作ったデザインについて最も理解があるのは誰でしょう。ディレクターでもなく、営業でもなくデザイナー自身です。デザイナー以外の方がデザインの意図をすべて理解しているわけではないですから、クライアントからの意見をそのまま受け入れてしまうことになる場合があります。

仕事の関係上、デザイナーが自らプレゼンテーションができないことがありますが、可能な限り自分でしたほうが良いです。自分でデザインの話ができるような機会をつくるのもデザイナーの仕事の一部です。

とにかく謝る

思わず「すみません」と言ってしまうことがあると思います。そうならないように気持ちをコントロールして、自信をもってデザインについて話をしないと、聞き手に不安を与えてしまいます。質問に対しても、まず謝ることを避け、ハッキリと自分の考えを述べるようにしましょう。

こんな自信のない人にお金払ったの?と思われたら危険です。

ハッキリ言わない

医者、税理士、弁護士といった専門職の方は、良し悪しに関わらず情報をハッキリ述べてアドバイスをします。私が患者だとしたら、問題があるのに「あなたは大丈夫ですよ」と言って問題を先送りしてほしくありません。デザイナーという専門職を雇っているクライアントも同様です。

クライアントと友達のような関係を築くのではなく、あくまで専門家として価値を提供することができるかが課題になります。

ありのままを説明する

左上にロゴがあって、中央にメインビジュアルがあるといった、見れば分かるデザイン要素の説明はお互いの時間の無駄になります。そのデザインが、クライアントが提示している課題にどのように応えているのか説明しなければいけません。データや調査に基づいた提案は解説が必要になります。

専門的なこだわりを語る

タイポグラフィや最新のテクニックの実装といった、専門的な詳細を語るのは、混乱を招きます。聞き手はデザインの詳細を聞きたいとは思っていませんし、専門用語を並べられても何のことなのか分かりません。

また、レビュー時にタイポグラフィのような細部を語ることは、タイポグラフィについて口を出しても良いと聞き手に思わせてしまうので注意が必要です。デザインの詳細な指示が来るのは、デザイナー自ら招いたことかもしれません。

どれだけ苦労したかを語る

プレゼンテーションはデザイナーが主役ではありません。クライアントが抱える課題と、それに応えるデザインが主役です。デザインが完成するまで睡眠を削って努力することを語る意味はありません。

苦労を語ることは、自画自賛しているように見えたり、時間管理ができていないと思われる可能性があります。



デザイナーをはじめとした作れる人はスーパーヒーローのような存在です。だからこそ、デザインのことはきちんとデザイナーが責任をもって説明するべきだと考えています。作ることができれば良いという考えでは、『分かる人』にしかデザインの価値が伝わりません。作ることだけでなく、伝えることも同じくらい重要だと思います。