各プロトタイピングの長所・短所

ウェブサイト制作でもプロトタイプを作成する機会が増えてきたと思います。しかし、プロトタイプ一言でいっても様々な方法で作ることが出来ます。今まで様々な種類のプロトタイピングを紹介したことがありますが、どの方法を使った方が良いか迷うところです。短時間で作れるかどうかだけでなく、誰と共有するのか、変更がしやすいか、完成品とどれくらい近づけるのかなど考慮したい項目は幾つかあります。Adobe Dev Center の「Industry trends in prototyping」という記事では、プロトタイプのメリットだけでなく、よく使われているプロトタイピングも紹介しています。この記事も参考にして、幾つかあるプロトタイピングの長所・短所を考えてみました。

紙のプロトタイプ
すぐに作れるメリットはあるが、完成品と使い勝手が異なるだけでなく、再利用も難しい
クリック可能なスクリーンショット
PDFなどで共有がしやすい。最初にライブラリを作っておけば UI 要素の共有が可能。ただしコードの再利用は不可
クリック可能なHTMLファイル
HTMLベースのサイトであれば、最も完成品に近くチームメンバーとの共有もしやすい。コードの再利用も可能で、プロジェクト全体のスピードも上がるが、下準備に時間がかかる
Flash又はSilverlight
UI要素の再利用だけでなく共有も難しくないが、HTMLベースのサイトのためであれば効果が低い

上記に書いた長所・短所は、ウェブサイトを作成するときを想定した場合です。例えばこれがウェブアプリケーションだったり、モバイルになると Flash や Silverlight を使うメリットも高まるでしょうし、クリック可能なスクリーンショットでも十分という場合もあります。

注意しなければならないのは、プロトタイピングそのものにかかる時間だけで価値を計るのではなく、作ることによってプロジェクト全体にどのような影響をもたらすのかを考える点にあります。また、誰と共有するのか、どこまでをプロトタイプで成し遂げたいかによって方法も変わってきます。完成品と使い勝手が異なるとはいえ、共有する相手が同じ認識をもっている人であれば、紙でも問題ありません。最初のプロジェクトでいきなり上手くいくのではなく、数回重ねることで理想に徐々に近づけることになりますが、幾つかの方法を試してみる価値はあります。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。