国内サイトのトラッキングはどうなっているか調べてみました
トラッカーが付きまとうWeb観覧
私が広告を掲載しない理由のひとつに、広告をはじめとしたトラッカーが利用者の体験を著しく低下している点にあります。中には利用者の動向を複数のサイトをまたいで監視しているのもあります。
iOS9 からコンテンツブロック機能が追加されたことにより、トラッカーを停止した状態で、Web サイト観覧ができるようになりました。コンテンツブロックをオンにするには少し面倒な操作が必要ですが、国内外でコンテンツブロックアプリが上位にランクインしており、注目が高いのが分かります。今の Web サイトはトラッカーだけでなく、過剰な表現を実装しているのも少なくないので、コンテンツブロックを使うことでパフォーマンスの向上を感じると思います。
しかし、「トラッカーは悪」と単純に片付けることはできません。トラッカーは、コンテンツをユーザーの好みに合わせるのに役立ちますし、無駄な手続き(手順)を省いてくれることもあります。
日本のトラッキングはどうか
コンテンツブロック機能の実装以来、様々な議論がされていますが、日本の Web サイトでは実際どれくらいトラッキングが埋め込まれているのでしょうか。Web サイトが埋め込んでいるトラッキングを確認できる Ghostery を利用して、日本のメディアサイト 42 を調べてみました。少し技術系に偏っていますが、ファッションやエンターテイメント系のサイトもピックアップしています。
やり方は単純で、Ghostery の Chrome 拡張機能をオンにした状態で、Web サイトへアクセスするだけ。キャッシュを空にして、プライベートブラウジングの状態で数を調べました。調べたデータは Google スプレッドシートにまとめてあります。PDF版もあります。
表示されている広告の種類、時間帯、履歴、ブラウジングの経路によって検出されるトラッキングの数が変わることがあるので誤差はあります。それぞれ大まかな数値として見てください。トラッカーの種類は「Trackers」という別のシートにまとまっています。
※ ひとつのアドネットワークが、読み込み時に複数のトラッキングコードを引っ張ってくるとかあるので数が劇的に増えることがあります。
以下が気づいた点です。
- 42の国内メディアサイトで 140 のトラッカーを検出
- 数多く存在するトラッカーの半分以上は広告関連 (52.5%)
- 多いサイトだと 30 近くトラッキングコードが埋め込まれている。ちなみにトップはタイで 東スポと Wall Street Journal の 29。
- NHKニュースが最も少なく、解析に使うコードが 2 つだけ
- Google, Facebook, DoubleClick の浸透率は高く、複数サイトにわたるトラッキングの精度が高いかもしれない
- 解析ツールを 2 つ利用したり、似たような機能を持った広告トラッキングサービスを複数導入しているところがあった
- ひとつアドネットワークが複数のスクリプトを読み込ませていたり、スクリプトひとつの場合でもファイルサイズが数十キロバイトある
海外では、さらにトラッキングが進んでいて Politico だと 42 のトラッキングコードが検出されました。他にも 20 を超えるサイトが数多くあります。それに比べれば日本はまだ『おとなしい』かもしれませんが、同じような状況になる可能性はあります。
まとめ
コンテンツブロック、トラッキングの課題は非常に複雑です。ビジネス、テクノロジー、デザインなど、様々な要素が複雑に絡み合っています。しかし、自分たちには関係ないと放置しておくものではありません。何気なく Web 観覧をしている裏で、どのようなことが行われているのか知っておく必要があると思います。あなたがよくアクセスする Web サイトが何をしているのか調べてみてはいかがでしょうか。