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ユーザーデータの先にあるデザインの闇

ようこそ、ブラックミラーへ ユーザーデータは今のデザインに欠かせない存在です。レコメンデーションや操作の省略など、ユーザー体験の向上に役立っています。また、デザインを提案するときもデータがあるとないとでは説得力が違います。 「ユーザーのため」と耳障りの良い言葉を添えてユーザーデータを集めた先には何があるのでしょうか。それは本当にユーザーのためになっているのでしょうか。Google 社員向けに作られた「The Selfish Ledger」というビデオがユーザーデータを集めた先の世界を描いています。 2016年に作られたこのビデオは Google のプロダクトビジョンを描いたものではなく、Google のデザイナーの教育向けに作られたそうです。このビデオで描かれている世界を目指すべきなのか、それとも別の道や考え方を模索すべきなのか。見る人によって様々な意見が生まれそうです。 ビデオでは全人類のデータを集めることで今までにない体験をユーザーに提供できるとしています。データはユーザーのプロフィールや行動という表層的なところに留めず、DNA にも及んでいます。生まれてくる子供達も、親や親戚のデータに基づいて製品・サービスの提供が可能になります。 今はデータの取得にはユーザーの行動(インプット)が必要ですが、人工知能によって足りないデータが埋めていくというシナリオもあります。体重というユーザーデータをもっていないので、ユーザーの好みの形状になった体重計を紹介して測ってもらう(取得する)ということを人工知能がすることも考えられます。 私たちが自分の意思で行動しているつもりが、Google によって思考・行動が操作されるという、まるで「

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認知バイアスによる『自分が正しい症候群』と向き合う

自分が想像している以上に視野は狭い Web・アプリで見ている世界は『自分たちに都合の良い空間』と言っても過言ではありません。 Facebook, Instagram, Twitter をはじめとしたソーシャルメディアはアルゴリズムによって好みの情報に絞ったタイムラインになっていますし、都合が悪いものは、非表示することも簡単にできます。 ソーシャルメディアだけでなく、検索も同じです。自分が見ている世界がどれだけバイアスがかかっているのかを知る上で DuckDuckGo は便利なツール。Google をはじめとした大手検索エンジンはユーザー情報を基に検索順位を変えていますが、DuckDuckGo はパーソナライズを一切省いた検索結果を表示します。これで検索結果を比べると、上位に出てくるサイトがどれだけコントロールされているのか分かります。 自分にとって都合の良いものだけが見えている世界に浸っていると、違う意見に対する拒絶反応が強くなるだけでなく、一切遮断してしまうこともあります。「Emotion shapes the diffusion of moralized content in social networks」によると、Twitter で同じ政治思想をもった人たちのなかで広がる声も、そこから外へはほとんど広がらないそうです。自分たちのグループの中で独自の「道徳」「正義」を作り出す傾向があり、それが

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Q&A 情報収集はどうやってしていますか?

情報収集方法についておしえてください。見ている情報源、使っているツール、コツなど。 匿名さん よく聞かれる質問のひとつです。 Twitter で、平日毎日情報発信しているので不思議に思われる方もいるかもしれませんが、特別な手法で情報収集をしているというより、時間の費やし方が違うかもしれません。 80%英語です 知人のブログ、又はソーシャルメディアから流れてきた興味深い情報以外は英語中心です。自分の仕事に関わる情報収集は、日本語のを見てもだいたいが英語圏の情報の焼き回しだったり、表層的なところで終わっているところもあるのでほとんど見ていません。学生時代からずっとそうやって情報収集しているので単なる習慣なのかもしれませんが …。 以下がよく見ているサイトの一部です。 Designer News ココを押さえておけば、日本のデザイン系まとめサイトを見なくて済むようになると思います。ここ 1, 2 年少々質が下がってきていますが、UI デザインに絞って全体を把握するならココで十分。コメント欄まで読むとちょっとした発見もあったりして面白いです。 Panda 上記 Designer News も含めて、様々な IT、デザイン系ニュースをまとめて見るならこれで十分かも。Dribbble、Behance といったギャラリーサイトもここから見れるので、とりあえず開いておくだけで満足する人もいそうです。

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簡単ホームページサービスと次へ導く難しさ

ダンプカーを押し売りしていないか 社会学者エベレット・M・ロジャーズ(Everett M. Rogers)のイノーベーター理論に当てはめると、今ホームページを作りたいと考える人たちは「レイトマジョリティー」もしくは保守的な「ラガード」に入ると思います。Web サイトを作るだけで多くの方が訪れる、ネットワーク効果でどんどん広がるというのは 10 年以上前の話。あらゆる専門家が思いつくことをやり尽くしている現在。「さぁ ホームページでも作ってみるか」と立ち上がってはみたものの、見渡す限り戦後の焼け野原といっても大袈裟ではありません。 日本ではほぼ普及しきったと言える web。そういう状態だからこそ安心して参入できると考えるのがレイトマジョリティーですが、競争も激しく小手先の手段では変化は生まれません。Web プロフェッショナル達が「ただ、作っただけでは意味がない」と語るのはそのためで、飽和状態の市場で勝ち抜くには、お金と人を十分につかった『全力の投資』が必要になる場合があります。 成功・失敗事例をたくさん見ているだけでなく、経験も積んでいるからこそ、作って終わりにしないよう働きかけるのが私たちの仕事ではあります。しかし、「作っただけでは意味がない」という論調を強くするあまり、やる気の火が付いた人たちを萎縮させてしまう可能性があります。

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フィルターバブルと上手に付き合って情報をみる方法

あなたの見ている世界はあなたの世界 今は検索をすることなく、膨大な情報を自動的に手にいれることができます。仕事柄、Web・アプリデザインをしている方とソーシャルメディアで繋がっていることから、Facebook や Twitter を開くだけで、自分好みの情報が日々流れてきます。何をしなくても情報が入ってくるという日々は、フィードリーダー(RSSリーダー)に気になるブログを登録して、定期的に管理をしていたときとは大きな違いです。 ますます増えるコンテンツの中から、自分にとって必要な情報を選ぶのは簡単なことではありません。そこで「友達」「知り合い」「信用できる人」というフィルターによって厳選されるソーシャルメディアは情報収集に役立ちますが、自分にとって都合の良い情報だけが集まったフィルターバブルに陥りやすくなります。 ソーシャルメディアは、ニュースフィードと呼ばれる新着情報を最初に表示させて、ユーザーに『今』を知らせることが基本でした。しかし今、利用者の行動履歴や関連情報に基づいたアルゴリズムへシフトし始めています。Instragram はフィードのアルゴリズム化を始めていますし、Facebook も、頻繁にアルゴリズムを調整して、フィードの見た目を変えてきています。時系列が大きな特徴とも言えた Twitter でさえアルゴリズムへシフトしています。ノイズが少なくなる可能性があると同時に、私たちのフィルターバブルはより強靭なものになるかもしれません。 自分が気に入っている人から送られてくる、自分にとって『

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次世代Webはブラウザの外にある

10月18日、法政大学にて次世代 Web カンファレンスが開催されました。Web に関わる技術について徹底的に話し合うイベント。セッションすべてディスカッションで勉強会というより話を聞きに行くというニュアンスが近いかもしれません。8 月に UX をテーマに議論する会を開きましたが、今年はこうした『会話』を軸にしたイベントに興味を惹かれます。 今回は、「デザイニングWebアクセシビリティ」の著者である太田良典さん(@bakera)、RDFの専門家でありコントラバス演奏者である神崎正英さん(@_masaka)と Webアクセシビリティをテーマに 1 時間ほど話をしました。私は Web アクセシビティの専門家ではありませんが、株式会社インフォアクシアの 植木真さんとのポッドキャストがキッカケで呼んでいただきました。3 者異なる視点から、Web アクセシビリティの現在と未来について話し合いました。 セッションの様子は Togetter のほうにまとまっています。 見えてないから発生する理解の溝 様々な話題が飛び交った Web アクセシビリティセッションでしたが、まとめると下図のようになると思います。 Web アクセシビリティにおいてヒューマンリーダブル(人が理解できること)

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国内サイトのトラッキングはどうなっているか調べてみました

トラッカーが付きまとうWeb観覧 私が広告を掲載しない理由のひとつに、広告をはじめとしたトラッカーが利用者の体験を著しく低下している点にあります。中には利用者の動向を複数のサイトをまたいで監視しているのもあります。 iOS9 からコンテンツブロック機能が追加されたことにより、トラッカーを停止した状態で、Web サイト観覧ができるようになりました。コンテンツブロックをオンにするには少し面倒な操作が必要ですが、国内外でコンテンツブロックアプリが上位にランクインしており、注目が高いのが分かります。今の Web サイトはトラッカーだけでなく、過剰な表現を実装しているのも少なくないので、コンテンツブロックを使うことでパフォーマンスの向上を感じると思います。 しかし、「トラッカーは悪」と単純に片付けることはできません。トラッカーは、コンテンツをユーザーの好みに合わせるのに役立ちますし、無駄な手続き(手順)を省いてくれることもあります。 日本のトラッキングはどうか コンテンツブロック機能の実装以来、様々な議論がされていますが、日本の Web サイトでは実際どれくらいトラッキングが埋め込まれているのでしょうか。Web サイトが埋め込んでいるトラッキングを確認できる Ghostery を利用して、日本のメディアサイト 42 を調べてみました。少し技術系に偏っていますが、ファッションやエンターテイメント系のサイトもピックアップしています。 やり方は単純で、Ghostery の Chrome

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Webページからメッセージへ

2012年10日6日は、Web / IT に関わる様々なイベントが日本各地で開催されました。IT勉強会カレンダーを見ただけでも、この日は全国で 35 以上のイベントがありました。その中でも、神戸ITフェスティバルはビックイベントでした。「IT」をキーワードに、社会・政治・文化・技術・芸術など様々な角度から今の世界・今の日本・今の神戸をみることができました。いつもは制作側の視点の話を聞いたり、情報交換をすることが多く、IT フェスティバルは制作以外からの Web の関わりを知ることができる貴重な場でした。 今回は脱紙!Webならではのコミュニケーション思考術という題名で講演。神戸 IT フェスティバルの雰囲気に合わせるように、Web という媒体に再注目した内容にしました。以前から Web という媒体を制作サイドから検証していますが、今回は紙を引き合いにして、どこが似ていて何が違うのか、どの辺りがユニークで引き立てるべき特徴なのかを解説しました。 話の前半は Web という媒体を「多方向ネットワーク」「マルチメディア」などに

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Curator's Code からみるWeb共有のもつ課題

尊重のためのシステム Tumblr や Twitter のように、気軽にリブログやポストがしやすいプラットフォームになると、参照元が分からないポストをよく見かけます。お気に入りの画像を Tumblr で見つけても、参照元・作った人が分からないのでクリッピングしないこともあります(又は自分で検索して探すこともあります)。誰でも簡単に情報を共有できるのが Web の魅力ではありますが、参照元が失われることでコミュニケーションの奥行きが失われることがあります。 昨年の震災で明るみになったところがありますが、多くの人は参照元を調べませんし、自分のタイムラインに現れた情報をそのまま受け入れて、再度拡散することがあります。表層的な情報だけが広まるだけで、突っ込んだ情報や議論が見え難くなる場合もあります。何を参照したのか、何を基に情報発信しているのかが分かるだけでも、情報の接し方が変わるのではないでしょうか。 こうした考えを基にして生まれたのが Curator’s Code というサイト。何を参照しているのかを明確にするための運動です。Curator’s Code には以下の 2 つのサインがあります。 ᔥ “via”

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流動し続ける時代におけるWebとの付き合い方

2012年2月18日、CSS Nite in FUKUIが開催されました。今回は「予測不可能な世界でWebデザインをしよう」と題して、今後のWebに必要とされる価値と制作のためのアプローチについて話をしました。2年前は聞いたことなかったようなサービスやデバイスが、あっという間に大企業に成長したり、広く普及する時代。先がどうなるか分からない中、私たちは今何ができるのでしょうか。 テクノロジーで変化する人の価値観 価値観は、どのようなテクノロジーと共に暮らしているかで決まる部分があります。「本を読む」にしても、紙媒体の書籍だけ想像する人もいれば、ケータイや電子書籍を想像する人もいます。「TVを見る」にしても、HDDレコーダーをつかって観覧している人と Apple TV を使っている人では番組を見る行為が異なります。 紙の雑誌は、動かないiPad・・・それを当たり前と感じる世代が2年前に突然現れたわけです。 テクノロジーが物事の捉え方に大きな影響を与えているわけですが、近年テクノロジーの進化のスピードが急激に高まったことで、たった2年違いでも価値観がまったく違うという世の中になってきました。2年というわずかな時間でテクノロジーは大きく進化するわけですが、そこでテクノロジーの関わり方を変える人とそうでない人では明らかに違いがあります。 Webへアクセス出来るテクノロジーやサービスが増えているということは、その数だけ様々な価値観をもった人たちが存在するといっても過言ではありません。今後 Web へアクセスできる機会が増えるのは分かるものの、どのようなテクロジーが普及し、そこからどのような価値観が生まれるのかは予測不可能です。こうして考えているうちにも変化し続ける中、人に価値を提供しなければいけないわけです。

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キーワード 2012: Everyscreen(スクリーンワールド)

スクリーンに囲まれた世界 「デジタルとリアルの境目がなくなってきた」「リアルな交流が Web でも出来るようになった」 そんな言葉を耳にするようになった理由のひとつは、Web へアクセスする手段がパソコン以外からでも手軽に出来るようになったから。いつでも何処でもアクセス出来るわけですから、Webを身近に感じるのは当然のことなのかもしれません。スマートフォンだけでなく、iPad や Kindle Fireをはじめとしたタブレット機器も利用され始めたことで、パソコンから Web を見るという行為は過去のものになりつつあります。 Ciscoの調査結果によると、2015年までにモバイル機器のインターネットのデータ送受信量は今の26倍になると言われています。人とのコミュニケーションを主軸にしている Twitter や Facebook でもモバイルからの利用が大きく占めていますし、その数は今後ますます増えるでしょう。 これだけモバイル機器に触れているわけですから、私たちは常にスクリーンと共に生活しているといっても過言ではないでしょう。外の景色より、携帯デバイスに映し出されている光景のほうが『近い』と感じる方もいるでしょうし、そちらのほうがよく見られているかもしれません。 SDKやエミュレーターが配布されています。CES 2012 で大々的に発表された模様。 2011年も既にマルチスクリーンの世界にいるという感覚がありましたが、2012年のスクリーンの数は爆発的に増える可能性があります。タブレットやスマートフォンの数が増えるというのは当然ですが、それだけではありません。 テレビは人とWebの情報が繋がる窓口として Apple も

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キーワード 2012: Cultivate(耕作する)

昨年「キーワード 2011」と題して注目のテーマを幾つか紹介しましたが、今年もやります。最初のキーワードは「Cultivate」です。農業に挑戦しようという意味ではなく、耕作するときのような視点と振る舞いをしようという意味が含まれています。このキーワードはデザイナーだけでなく、Web に関わる様々な仕事に通じます。 Webの狩猟時代は終わった Web だけではありませんが、今までのビジネスは石器時代の狩猟社会に似ていると思います。顧客をたくさん獲得すること、ひとりでも多くの振り向いてもらうこと、自分たちの場所に集めること・・・これらは野生の動植物を採取していた石器時代の狩りと重ねることができます。Web でもページビューや会員数の価値は未だに高いですし、ソーシャルメディアだと言っても結局 Like 数やフォロワー数といった『採取数』が重要視されています。とにかくたくさんの人に注目してもらうにはどうしたら良いのか、という考え方は狩猟社会的な価値観かもしれません。 人の顔が見え難く、ひとりひとりのニーズを聞き入れることが難しい状況であれば、たくさんの人を『刈り取る』くらいしか出来なかったかもしれません。刈り取る、かき集めるという考え方であったからこそ、集めた後の人とのコミュニケーションという考え方も生まれなかったでしょうし、結局1回限りの関係を毎回繰り替えすという形になっていたのでしょう。 刈り取った数ではなく、ひとりひとりにどのような価値を提供出来るかがブランドに繋がることを解説した記事「企業の透明化がブランドを高める理由」 狩猟社会には拡張性や持続性はありません。今いる土地を食いつぶして、

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Louis C.K. とネットプロモーションの挑戦

Louis C.K.というアメリカのコメディアンがいます。人や社会を皮肉な視点で描写しつつも、そのストレートなコメントがおもしろく聞こえるという点では George Carlin に似ているところがあります。そんな彼が最近 Web を活用して興味深い実験を行いました。 日本のお笑い芸人と同様、アメリカのコメディアンもライブの模様を DVD で販売しているわけですが、先日インターネットで個人販売を始めました。5ドルでしかも DRM なし。購入したらすぐに彼のライブを好きなデバイスで楽しむことが出来ます。 個人販売といっても6つのカメラで撮影され、プロによって編集された本格的なライブ作品。販売を始めてから3日間で 500,000 ドルの売上を記録。チケット販売である程度、映像制作のコストはまかなえているそうですが、Web サイトのシステム構築などを含めたコストもデジタルダウンロードを通してカバーしているだけでなく、利益にもなっているそうです。 彼の声明によると、大手メディア企業に映像を売り払ったほうが手間もかからないし、利益もあるそうです。しかし、値段は 20 ドルくらいに上がるだけでなく、DVD なので観覧する方法が限られてしまいます。リージョンコードや DRM といった不便も視聴者に与えてしまう点では、

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開かれたWebと閉じたWebの間で

先月の WordCamp の講演で、CMS は API のような存在になると話しました。Webサイトに訪れてもらうために情報(ページ)を管理するための CMS から、様々なデバイスやサービスへ配信することを考慮したコンテンツ(データ)を保持する CMS へ変化する。そのためにも、CMS を扱う私たちは Web ページという枠に囚われない設計が必要になるという内容でした。 WordCamp という場だったので、CMS にフォーカスした内容になりましたが、実のところ Web そのものが API になりつつあります。 従来 Web上にある様々なデータを読み込んで、人が理解できるインターフェイスにするのは Web ブラウザの役割でした。パソコンに最初からあったことと、多くの方に使われていたという理由で Web ブラウザという名のアプリで動作する技術が使われ続けていました。 Web ブラウザ上で情報を表示させたり動作させるためには CSS, HTML,

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本を自由にした Project Gutenberg

Project Gutenberg をご存知ですか? 1971年マイケル・S・ハートによって始まったプロジェクトで、著作権の切れた名作などを無料で公開しています。似たようなプロジェクトは国内外で立ち上がっていますが、これが最も古い電子図書館として知られています。今年の7月でちょうど 40 年になりました。 現在、36,000 冊以上の電子書籍が無料で公開されており、今出回っている電子書籍リーダーほぼすべてに対応しています。ほとんどの電子書籍が HTML かテキストファイルで公開されているので、読めないデバイスはないといっても過言ではありません。数は少ないですが日本語の書籍も幾つかあります。 まるで Wikipedia のように参加型で徐々に電子書籍の数を増やしてきた Project Gutenberg。今なぜこの話題にふれているのかというと、9月6日に創始者のハート氏が他界したからです。享年64歳。 グーテンベルグが15世紀に活版印刷を発明したことによって、一部の富裕層しか触れることができなかった書物が、多くの人へ広まるキッカケをつくりました。今はわずかなお金で買うことが出来、書物は当たり前のような存在です。本の存在を大きく変えたグーテンベルグの名前をとって作られた Project Gutenberg。このプロジェクトは書物ですら届けることが出来なかった人たちへ本(言葉)を届けることを可能にしたという意味で活版印刷に匹敵するインパクトがあると思います。 開設 40 周年を記念して

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境佑司さんとフラグメンテーションをテーマに対談をしました

対談が続いている Podcast 「Automagic」ですが、今回は音声、映像、テキストで幅広い情報を配信している境佑司さんとの対談。今年で2回目になります。2月に境佑司さんと対談をしたときは、電子書籍や今後のWeb制作をしている人が入れる領域について話をしました。今回は、デバイスや情報のフラグメンテーション(分断)をテーマから入り、いつの間にやらゲームの話までしてしまうというという内容。1時間半くらい話していたのですが、アッと言う間に時間が過ぎ去ってしまいました。 過去10年くらいに登場したモバイル機器を並べながら行われた今回の対談。Android で起こる統一感のないインタラクションやインターフェイス、Webアプリとネイティブアプリの違いとニーズ、タッチインターフェイスの難しさや、共通しないジェスチャーインタラクションなど・・・。Web というひとつの世界観があるものの、分断・細分化がデバイス、ソフトウェア、サービスのレベルで起こってきています。これは果たして良いことなのか、進むべき道なのか、違うのであればどうしたら良いのかという話題にも触れています。 前半3回分は境さんのポッドキャストで。そして後半3回分を私のポッドキャストで公開されています。以下のリストから順に聴くことが出来ます。 日本モバイル業界への展望:新しい書籍のカタチ(227) Androidのもつ課題:新しい書籍のカタチ(228) ユーザーのフィードバックによる改善:

TV

ロングテール化するTVと4つの展望

Apple TVで見たい海外TVドラマや映画を好きなタイミングですぐに見れたり、自分がお気に入りの購読チャンネルを iPad や iPhoneで気軽に見れたりするようになった現在。HDDレコーダーが出たあたりから、CM をスキップして番組が見れる環境が整い始めてきましたが、今はクラウドからのストリーミング、オンラインサービスとの連携でいつでも何処でも見れたり、予約も何処からでも簡単にできます。TV が TV 局の番組を受信・映写する機械から、クラウドに通じるモニターに変化しているんだなとシミジミ思います。 Huluを筆頭に、キーTV局は積極的に Web 経由で番組を放送中。各TV局の公式Webサイトを見ても、情報サイトというより番組を見るためのプレーヤーになっているイメージがあります。HBO のように独自に iPad アプリを配布し、そこから番組を購入出来るようなモデルを作っている局もあります。 Hulu は従来のような CM を差し込んで放送する広告モデルと、有料のプレミアムサービスを両立し、利益を上げているサービス。Hulu はマルチデバイスに対応しているものの、現状は Web サイトを軸にしているサービスです。一方 Netflix は、ゲーム機、

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Webから始まる教育パラダイムシフト

Sir Ken Robinson Changing Paradigms Creativity expert Sir Ken Robinson will ask how do we make change happen in education and how do we make it last? 教育システムと教育に対する考え方に鋭い疑問を投げかけるサー・ケン・ロビンソンの講演。同講演のイラスト版はこちらから。 MIT が講義を無料で公開する OpenCourseWare (OCW) をはじめて 10年になります。今では欧米だけでなく国内でも 数多くの大学 が、オープンコースウェアの動きに参加しています。iTunes で iTunes

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Webコンテンツをもう一度考える

MdNが刊行していた雑誌「Web Strategy」第一号に掲載されていた記事を若干調整したものです。2005年の記事ですが、2011年現在にも通じる部分があるので掲載することにしました。文字数が多いので ePub 版と PDF 版を別途用意してあります。あとでじっくり読みたい方はそちらをご利用ください。 ePub (504k)PDF (655k) 変わったもの変わらないもの インターネットが一般ユーザーにも利用されるようになってはや10年以上になる。10年の間にデータ転送速度は動画を気軽にダウンロードできるほどのスピードになり、有線のパソコンだけでなく携帯電話をはじめとした様々なネットデバイスからワイヤレスでアクセスすることも容易になった。こうしたユーザー側のネットとのつながり方の変化だけでなく、企業側(コンテンツプロバイダー側)のネットの関わり方も変化してきている。ひと昔は名刺に URL が記載されているだけでもステータスになったわけだが、今や Web サイトをもつことが当たり前なだけでなく、自社サイトでどのようなコンテンツを提供するのかが課題になってきている。一見、Web はすべてにおいて前進し続けているようにみえるが、一概にそうとは言えない部分がある。先にも述べたように技術的な進歩は目まぐるしくより便利になってきているし、デザイナーや広告代理店は常に表現豊かなサイトを作り続けている。しかしながら、Web との接し方や扱い方は10年前とさほど変わりないようにも感じられる。 Webは印刷や TV に比べれば若い。業界そのもの、

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All Dayが生み出した新たなクリエイティブ

先週紹介したオススメアルバム Girl Talk “All Day”。300曲以上の楽曲がマッシュアップされているというとんでもない作品というだけでなく、マッシュアップ文化の象徴という意味でも興味深いアルバムです。70分にも及ぶ音楽の虜になった方もいるのではないでしょうか。未な方は無料でダウンロード出来るのでぜひ一度聴いてみてください。 All Day が生み出したクリエイティビティは既に新しいアートを作り出そうとしています。上の PV は写真家であり映像作家の Jacob Krupnick さんが作ったもの。”All Day” の魅力にひかれ、全曲 70 分をそのまま使って映像作品を作ろうと計画。ひとまず予告編として作ったのが上のおよそ 8 分間の映像です。 今回の PV だけでなく他でも Anne さんはダンスを披露しています。Kraak & Smaak の “Squeeze Me”

IA

Intertwined WebとユビキタスIA

先月開催された IDEA 2010 というカンファレンスで「Web情報アーキテクチャ」や「アンビエント・ファインダビリティ」といった IA 関連の書籍の執筆者として知られている Peter Morville が、「Ubiquitous Information Architecture」という内容で講演をしました。Webの世界とリアルの世界があやふなになった現在において、Web だけでなく様々なチャンネルとプラットフォームを意識した情報アーキテクチャを考えなければいけないという内容でした。(講演のビデオを Vimeo で見ることができます) Peter MorvilleUbiquitous Information Architecture Peter Morville will discuss IA as it relates to channels previously unattributed to the field. As

google

Waveから見えてくるGoogleの弱点

発表された当時から「なんかスゴそうだけど何かよく分からない」と言われていたGoogle Wave。常に細かな改善はされていましたし、今年の 5 月に開催された Google I/O 2010 では Wave を利用したカンファレンスの整理や情報交換に利用されていました。私も先月開催されたセミナー&ワークショップで Wave を利用していたわけですが、発表されてわずか1年でGoogle Wave 開発中止になりました。 一般公開されている Public Wave を見てみると結構盛んなやりとりをされているものも少なくなく、利用者の使い方を反映してどう改善していくのか楽しみだっただけに少し残念です。Wave の技術や学んだことは Chrome OS へ受け継がれるでしょう。 Waveが残したもの 開発が中止になったとはいえ、すべてが無駄だったとは言いきれません。デザインや技術的なところで学べるところはたくさんあります。以下に Wave がもたらしたインパクトをポジティブとネガティブに分類してまとめてみました。 ポジティブな点 HTML5の可能性を提示 Waveの功績は HTML5 に脚光を浴びせたところでしょう(

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ソーシャルメディアの語源から分かる課題

仕事の関係上、聞かない日がないくらい「ソーシャルメディア」という言葉をよく耳にします。しかしその言葉の使われ方に違和感を感じることがありますし、従来のメディア配信と変わらないと感じることもあります。そもそもソーシャルメディアという言葉はいつ使われ始めたのでしょうか? Danah M. Boyd と Nicole B. Ellison が、2007年に発表した「Social Network Sites: Definition, History, and Scholarship」というSNSに関する文献で始めて「ソーシャルメディア」という言葉が使われたといわれています。以下がその文献でソーシャルメディアという言葉が使われた文章になります。 Furthermore, as the social media and user-generated content phenomena grew, websites focused on media sharing began implementing

TV

私が LOST を愛した理由

先週終了したTVシリーズ「LOST」についての記事ですが、ネタばれは書かれていません。記事の内容は全体的なテーマや番組が試みた手法について書かれているので、特定の謎についても説明されていません。ただし、リンク先がネタばれに繋がる場合があるので注意してください。 LOSTを取り巻く神話 LOSTがおもしろい理由のひとつとして数多く存在する象徴的表現にあると思います。John Locke や Rousseau など有名な哲学者や科学者の名前を引用したものや、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教をはじめとした宗教観や、ギリシア・エジプト神話の神々の物語をそのまま描写しているものなど、単なるストーリーとしてではなく、象徴的なメッセージが隠されている点が興味深いです。 Sawyer (ソーヤー) というキャラクターは番組中、様々な本を読んでいますが、その本がストーリーとシンクしていたり、今後の展開へのヒントになっていることもあります。数々の文学作品がこのような形で番組に登場することから Lost Books という本の紹介と購入が出来るサイトまで登場しているくらいです。このように、番組に登場するキャラクターはそれぞれ自由意志で行動をしたり言葉を発しているものの、どこか象徴的なメッセージを反映しながら時を過ごしているかのようにみえます。 また、番組内に点在するエジプトの象形文字はすべて解読可能だったり、ひとつのテーマにもなっている番号も何気のないシーンでふと見かけたりします。ストーリーには直接関係ないものもありますが、こうしたちょっとした仕掛けが番組をおもしろくしています。 プロデューサー J.J. Abrams

アイデア

Operaのセミナーで感じた今のWebにみる危険性

もう、先週の金曜日になりますが Opera が主催するイベント「Tomorrow’s Web Today」に参加してきました。Opera 共同創設者である Jon Stephenson von Tetzchner の話を聞けるということで、大変愉しみにしていました。HTML5 や CSS3 のようなキャッチーなトピックもイベントでは話されていましたが、彼がどう Web の未来をみているのかという部分に興味を引かれました。 昨年 Opera のパネルディスカッションに参加したときにも感じたことですが、Opera はどのブラウザよりも「Open Web」という思想を信じてソフトウェア開発をしているという印象があります。Tetzchner氏の話も Web はオープンであるべきという強い主張があると同時に、それに寄り添う形で Opera は開発を進めているという内容でした。 今回のTetzchner氏の話で2つのことを感じました。 ひとつは Opera の主張は共感できるものの、それを強く出していることが逆に異質なものを作り出しているという点。