仕事の関係上、聞かない日がないくらい「ソーシャルメディア」という言葉をよく耳にします。しかしその言葉の使われ方に違和感を感じることがありますし、従来のメディア配信と変わらないと感じることもあります。そもそもソーシャルメディアという言葉はいつ使われ始めたのでしょうか?

Danah M. Boyd と Nicole B. Ellison が、2007年に発表した「Social Network Sites: Definition, History, and Scholarship」というSNSに関する文献で始めて「ソーシャルメディア」という言葉が使われたといわれています。以下がその文献でソーシャルメディアという言葉が使われた文章になります。

Furthermore, as the social media and user-generated content phenomena grew, websites focused on media sharing began implementing SNS features and becoming SNSs themselves. Examples include Flickr (photo sharing), Last.FM (music listening habits), and YouTube (video sharing).

文献では SNS の定義から歴史まで語られているだけでなく、当時の傾向から考えられる未来についても供述されています。人々がコンテンツ(メディア)を消費するだけでなく、自ら作るようになってきたわけですが、こうした人々の行動に合わせるかのように、コンテンツを共有するサイトが次第に SNS 的な機能を盛り込んでいきました。人と人の間で共有されたり創造されるメディアを文献では「ソーシャルメディア」と呼んでいます。

以前はコンテンツ共有するWebサービスが、次第にソーシャルメディアを扱うサイトへと変化している例があります。例えば flickr は最初は写真(メディア)を共有するサービスでしたが、グループやプロフィールを強化してSNSのようになっていきました。また flickr 外でコンテンツを公開したりコミュニケーションのきっかけを作る仕掛けもあります。以前はユーザー名しか表示しなかったブックマーク共有サイト delicious も今は名前や自分のURLを表示させる機能を実装しています。

現在、ソーシャルメディアの代表格のような存在になっている TwitterFacebook。そしてチェックインという従来あまり見られなかったコンテンツ共有を模索している Foursquare のようなロケーションサービスにも SNS 機能があります。つまり SNS 上で行われているコンテンツ共有の一部にソーシャルメディアがあり、ソーシャルメディアは SNS を必要としているわけです。人と人を繋げる何かがあるかどうかという部分が SNS であり、それはソーシャルメディアを語るのに欠かせない存在といえます。

見方が「What (何)」から「How (どのように)」へ変化した

SNSは「Web 2.0」という言葉が流行していた時期に耳にするようになった言葉ということもあり、使い古されたもの、一時期流行ったもの、時代遅れのようなものと考えてしまうかもしれません。実際はそうではなく、ソーシャルメディアという言葉が SNS によって生まれてきたということからもわかる通り、今だから重要だといえます。もちろん、Orkut から始まるプロフィールカタログのようなサイトだけが SNS ではなく、今は様々な形をとっています。従来は主に機能やインターフェイスから SNS を捉えていた場合もありましたが、今はそうではなく人の関わり方や社会との関わり方にフォーカスされていると思います。「What (何)」から「How (どのように)」へ変化したのかもしれません。

以前からソーシャルメディアと Web2.0 との関係についてディスカッションされています。捉え方によっては Web2.0 の一部としてソーシャルメディアをみることが出来ますし、発展 (進化) 系のようにみることも出来ます。どのように定義するにしても切り離すことは出来ないでしょう。

また SNS の見方が「What」から「How」へ変化したように、ソーシャルメディアも同じように「How」へ注目していかなければいけません。何のサービス/ツール/機能を導入するのかが重要ではなく、どのようにすれば先にいるユーザ、顧客にコミュニケーションをとることが出来るのかという部分にに注目する必要があります。ソーシャルメディアという言葉がどのように生まれたのかを知ることで、改めてその重要性に気付かされます。