ワークショップをするときに自己紹介の時間を多く費やす理由
私はワークショップの序盤に参加者全員に自己紹介をしてもらっています。自己紹介では役職名だけでなく、「仕事で興味があること、悩んでいること」を話してもらうようにしていて、上のメモは自己紹介タイムに残したものです。30 人前後参加するイベントなので結構時間をとってしまいますが、それでも実施するようにしています。
自己紹介はアイスブレイクになるのはもちろんですが、私も含めた参加者全員で文脈を共有するためにしています。「デザイナー」「Webデザイナー」「UXデザイナー」「UI デザイナー」「Web ディレクター」など役職名がたくさんあるこの業界。たとえ同じ名前でもまったく同じようなことをしている人はいません。責任範囲も違えば、現場で求められている成果物も様々です。
自己紹介を通して「なるほど、そういう働き方もあるんだ」という気づきもあると思いますし、「似たような悩みある」という共感が生まれることもあります。何よりも自分と違う価値観と環境で、様々なデザインの挑戦をしている人がいるんだという見えにくい背景を知る機会になると思っています。
登壇者⇄参加者のコミュニケーションがあるといっても一方的ですし、懇親会に出ないと参加者⇄参加者の関係も生まれにくいのは残念だと感じています。自己紹介というそれぞれの視点・考えを打ち明ける時間は、そのあとに続くワークショップにも響きますし、「他の環境だとこういう課題があるかもしれない」「だから〇〇さんはこう考えてるのかも」と想像を膨らませるキッカケになるかもしれません。
以下がよくある声の傾向です。
- ステークホルダーとのコミュニケーション
- アニメーション、インタラクションデザイン
- デザインの品質管理と効率化
- 定性調査の活かし方
- 新人デザイナーの教育
- インプット・アウトプットの習慣化
- デザイン文化・プロセスの啓蒙
- UXデザインの実践
- 紙の違いも踏まえた、Web 全般の知識
- 今後の働き方(フリーランス、インハウスなどなど)
ワークショップのテーマに沿った話もいくつかありますが、現場のリアルを感じる声を聞くことができます。幸い、東京以外でワークショップをする機会があるので、場所によって微妙に違うことも発見できます。こうした声が「東京にいるデザイナーのもつ特異な環境によって出来ているコト」にならないようにワークショップの改善に繋がっています。そもそもコミュニケーションにフォーカスした話を増やしているのもフィードバックがキッカケかもしれません。
また、ワークショップのテーマに沿わないものは質疑応答時に答えたり、ブログ・ポッドキャストのネタに使っています。特に最近は質疑応答に力を入れていて、1 on 1 くらいディープダイブすることもあります(そろそろサービスにできるかもしれんと思いながら)。
セミナー、ワークショップを長年やって課題に感じているのが、いかに「俺の話の聞いてくれ」「私のやり方を覚えてくれ」みたいな姿勢を排除すること。今のやり方も改善の余地がありますが、これからも一緒に考えることができるコミュニケーション設計を模索していこうと思います。