Year in Review 2014
無言語なものを言語化する
2014年は「デザインの言語化」として重要な年だったと思います。昨年くらいから、ようやくフロントエンド側のスタイルガイド作成が注目されたことで、デザインをいかに柔軟で拡張しやすいものを作れば良いのかという話がしやすくなりました。しかし、コードだけでなくビジュアルや感覚のところまで共有するツールを揃えなければ、本当の意味でデザインの拡張性は望めません。緊急時にデザインが崩れるのは、特定のデザイナー(又は制作会社)にデザインをすべて任せてしまっている可能性があります。これでは、Web サイトはいつまでもチラシのような存在から抜け出すことができませんし、運営という考えも根付かないでしょう。
デザイナーの手を借りなくても、ある一定の水準を保ちながらデザインされたコンテツを出し続けることが運営での大きな課題です。今年は各地でデザインの評価の仕方について話したのも、「かっこいい」「今風」といった感覚的なところ以外でデザインを共有できるようにして、運営できるデザインを提供できるようにしたいという狙いがありました。
幾つかの大企業がスタイルガイドを公開するといった動きが 2014 年もありましたが、最も大きな出来事は Google の Material Design の発表。感覚的なところまでコード化してしまう、いかにも Google らしいデザインの言語化ですが、これもひとつのアプローチです。Material Design を忠実に従えば、比較的高い水準のデザインをつくりだすことができますが、すべてが Google アプリのように見えてしまうという欠点もあります。今までデザインが弱いというイメージが先行していた Android ですから、一旦これくらいのガイドラインを作ってしまったほうが今後の Android らしさが模索しやすいのかもしれません。
変化する利用者行動に向けたデザイン
2014年は今まで以上にコンテンツの話がしやすくなりましたが、その理由のひとつとして UI デザインとコンテンツが今まで以上に密接な関係をもつようになったからだと思います。
スマートフォンの普及は便利な道具や情報にいつでもどこでもアクセスできるようにしただけでなく、人の行動や考え方を根本的に変えてきています。今でも検索する方は多いですが、自動的に情報が手元にやってくることを期待する利用者が増えてきています。また、これからますます情報へアクセスする方法が多種多様化していきます。この変化により以下の 3 つの課題が生まれたと考えています。
今年はデザインの評価と一緒に考えられるというところから、ワークショップやセミナーでも、コンテンツの評価や提案の仕方を中心に話してきました。来年はもう少し設計のほうに注力して、小さく、早く、簡単に処理できるコンテンツのパッケージデザインについて考えていこうと思います。
変化が必要なデザイン
納品時だけ美しいものを作れば良い時代は終わりました。スクリーンサイズも様々で、中身も目まぐるしく変わる Web やアプリの世界だからこそ、しなやかなデザインが求められています。デザイナー以外の方が扱えるデザイン。新たなデバイスやサービスが生まれても配信できるデザインは、これからますます重要になってきます。
レイアウトではなく部品から考えるのもひとつですし、プログラミングを参考にするのもひとつです。より柔軟で拡張性の高いデザインが作れるかどうかが、ますます増えるデバイス対応で必須ですし、それをいち早くチームで共有するという習慣をもつことが重要になります。今のスピードについていけるデザイナーになれるかどうかが私自身にとっても課題です。
これは働き方だけでなく、クライアントの関係も変えていなければ出来ないことかもしれません。私にもしても今年は幾つかの企業に入ってして少しずつ変えていくためのお手伝いをしていますし、Adaptive Path のように大企業の一部になることを選ぶケースもでてきました。
変化は簡単なことではありません。しかし、行動し始めて続ければ変わることは必ずあるはずです。これからの変化を、より多くの方と共に楽しめれば良いなと思っています。
来年もよろしくお願いします。