未来の仕事はゲーム化する

教育の世界では徐々にゲームが取り入れられてきていますが、仕事の世界ではどうでしょうか。実は私たちが意識していないだけで仕事には既にゲーム的な要素は幾つもあります。今後、仕事とゲームはより一層密接な関係になりますし、仕事の仕方の変化に繋がる可能性があります。

以前から、人の「楽しむ」という感情を理解し、その感情を助長することができるゲーム的な要素をアプリやサイトに取り入れることは有効な手段であると解説しています。しかし、ゲームの要素は foursquare がバッジシステムを取り上げる前から様々な場所にありましたし、Web の世界だけでなく、私たちの仕事にしてもゲーム的な要素はあります。社内外であるコンペやチームになって仕事を完成させるというプロセスはゲームそのものといっても良いでしょう。

今後私たちの仕事スタイルはよりゲーム的になっていくのでしょうか。

会話トークンという通過を利用してお互いの時間を利活用するという方法。これもゲーム的な要素を仕事に取り入れている例

例えばタスクに応じてポイント制にするとどうなるでしょう。今まで時給制といった時間で報酬金額を換算する方法から、ポイントから金額を換算するという考え方が出来るようになります。バッジのようなシステムを取り入れることで、その人が何に対して信用度が高いのかというのも視覚化され、コラボレーションの促進に繋がるかもしれません。

ゲームという言葉が出てくると、どうしても楽しい何かでなければいけないというイメージが先立ちますが一概にそうではありません。ゲームの要素を取り入れることで楽しいという感情を引き出せるということは先述していますが、ゲームと楽しいが必ずしもイコールの関係であるわけではありません。

Rules of Play」という書籍によると、ゲームとはプレーヤーが決まったルールの中で定量化できる結果を得ることが出来るシステムであると定義しています。この定義を用いるのであれば、楽しめるかどうかは別の話として捉えるべきですし、仕事のゲーム化を考える際もどのようなルールを定義し、プレーヤーにどのような結果を与えることに注目しなければいけないでしょう。

昨年末の WCANのセミナーでも話しましたが、ゲームだけでなく様々な状況において、人の興味を引かせる要素として『即時性』があります。ATMのボタンから、パソコンのクリックまで利用者(プレーヤー)が行う様々なインプットが瞬時としてアウトプットして帰ってくることは次のアクションへ繋げるために欠かせません。ゲームの世界でもプレーヤーのインプットが得点やレベルアップなど様々な形としてアプトプットされます。

To Do アプリ「Chore Wars」「Epic Win」は
RPG の雰囲気を取り入れることで、タスクを完了させることの楽しさを演出しています。

しかし、仕事で瞬時に成果が出ることがどれだけあるでしょうか?月末に(もしくは年俸として)やって来る報酬でしか自分のパフォーマンスを測ることが出来ませんし、毎日の仕事において自分が常に何か成果を出しているという気分にはなかなかなれません。それ故「仕事がおもしくない」と感じてしまう方がいるのでしょうし、日々の生活では味合うことが出来ない達成感があるからゲームをしている人も少なくないでしょう。

社内コミュニケーションツール「Rypple」では、バッジシステムを導入しコミュニケーションの円滑化をはかっています。

日々の仕事・タスクを行うことによる達成感を促進する方法のひとつして、タスクの細分化があります。この手法は近年 GTD が確立しています。最終的なゴールへ向かうためのアクションプランを詳細に組み立てることで、次へ進むための道筋を明確化し心理的負担を低下させています。GTD のような手法を用いることの目的は生産性を向上させることですが、タスクを細分化することで「Done(達成)」できる項目を増やし、何度も達成感を味わえるところが魅力です。これは「即時性」というゲーム的な要素が仕事と上手く結びついている一例といえるでしょう。

現状、仕事がゲーム化させることはないと考えるのは簡単なことですが、教育の世界では既に動き始めています。ニューヨークの小学校では、ゲームを活用してコラボレーション教育を行っていますし、フロリダの大学では Starcraft を利用したビジネスコースがあります。仕事をゲーム上でこなす・・・ということはないでしょうけど、今後仕事により一層ゲーム的な要素を加えていくということは、それほど飛躍した考えでもなさそうです。

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筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。