Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。

プロセス

デザインをスケールさせるためのツール選び

なぜスケールすべきなのか よく多くの改善、より早い提案・対応が求められている今日。エンジニアは昔から大規模化して動くための施策と実践を続けていますが、デザイナーは大規模化の歴史がないといっても過言ではありません。エンジニアのように確固したワークフローの構築が難しいというのもありますが、デザインは『個人プレー』で作るものというニュアンスが強かったという背景もあると思います。 しかし、いつまでも個人に依存したデザインをしていると、新しい施策や改善がひとりのデザイナーの動き次第になります。もちろん、それでも運用可能な環境はありますが、増え続けるビジネスサイドの要望に対応するために、ひとりでデザインを続けるのは困難です。ひとつひとつ対応してるときは、「分かりやすい一貫性のあるデザインを作ろう」と思って取り組んでいたとしても、全体を振り返ると実はそうではないということはあります。 ではどうやってデザインをスケールさせていくのかというと、国内外問わず手探りの状態です。人事からマネージメントまで様々な課題がありますし、最適なチーム構成も組織によって異なります。Spotify は Squad

UX

調査を当たり前にするための第一歩

調査という行為は日常では当たり前 車や家など高い買い物をするとき、値段や見た目だけで買うことはないと思います。専門家や信頼できる知人に相談することがありますし、書籍やインターネットで情報収集することもあります。買う前に調査するのも「失敗したくない」「自分にとって最良なものが欲しい」という欲求があるからでしょう。値段が高いのであればなおさらです。 購入前の調査は車や家のような高い買い物だけではありません。食事、書籍、服など数千円のものでも調査をすることがあります。インターネットのおかげで情報と近くなったことから、あらゆることが調査しやすくなったかもしれません。 高い買い物であれば調査は必ずするといっても過言ではありませんが、web サイトやアプリ開発になるとそうでもなかったりします。高い買い物をしているにも関わらず調査をしないところが今もありますし、定量調査はするものの、ユーザーの声を聞くという定性調査までできていないところがあります。 日常であれば数千円の買い物でも調査することがあるにも関わらず、数百万以上かかる web サイトでは調査をしないというのも不思議な話です。 身

ツール

次世代デザインツールはどこへ向かうのか 後編

* 次世代デザインツールはどこへ向かうのか 前編 [http://www.yasuhisa.com/could/article/nextgen-design-tools/] * 次世代デザインツールはどこへ向かうのか 中編 [http://www.yasuhisa.com/could/article/nextgen-design-tools-2/] デザインをスケールさせていく デザインツールの現在と未来を考えたとき、デザインシステム [http://www.yasuhisa.com/could/article/what-is-design-system/] の存在は無視できません。今のデザインツールはデザインシステムの作成・運用に最適化するための機能実装がされています。 * 一貫性のあるデザインの作りやすさ * コンポーネント(部品)として捉えた UI の管理 * 複数人のデザイナーによるプロダクトデザインの運用 * コードへの書き出しなどエンジニアとの連携 ひとりのデザイナーに頼るのではなく、組織でデザインを運用していくためにデザインシステムのニー

UI

良いUIでも悪い体験は作れる

下図は、デジタルカードゲーム「Magic: The Gathering Arena [https://magic.wizards.com/en/mtgarena](MTG: Arena)」の画面。現在、βテスト中なので一般公開時には大きく変わる可能性がありますが、良い UI が良いデザインになるとは限らないという例で紹介しています。 カードパックを購入するには、Gems という通貨が必要になります。ゲーム用の通貨を購入してアイテム課金するゲームは他にもたくさんあります。押しやすいボタン。分かりやすいラベル。魅力的なグラフィック。ちょっとしたアニメーションを加えた演出を見ると MTG: Arena は優れた UI デザインと捉えることができます。デジタルカードゲームを楽しみたいユーザーの気持ちを高めるデザインと言えるはずです。 魅力的な表面とは裏腹に、たくさん Gem を購入してもらうための仕掛けが隠されています。例えば 6 パック分のカード(1,200 Gems)を手に入れるために、1,600 Gems 分の課金をします。6

ツール

次世代デザインツールはどこへ向かうのか 中編

実装を考えながら作れなかった従来のツール 6年前になりますが、 web のデザインは枠のない世界である [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-no-edge/] と説明したことがあります。様々なスクリーンサイズのことを考慮して作らなければならないと頭で分かっていても、デザインツールでそれを実現するのが困難でした。10年以上大きな変化がなかったデザインツールに対して、実装側はどんどん進化し続けていました。Web だとフロントエンド技術とワークフローに大きな進展がありましたし、ネイティブアプリも 1 年おきに OS と周りの開発環境がアップグレードしています。 開発は目まぐるしいスピードで変化しているのに対して、デザイン環境は大きく変わっていなかったことが、今私たちが抱えているデザインと開発の溝の根源ではないかと考えています。2010年代は デザインツールの革命期 [http://www.yasuhisa.com/could/article/design-tools-revolution/] と呼んでも良いくらい様々なデザインツール

インターネット

ユーザーデータの先にあるデザインの闇

ようこそ、ブラックミラーへ ユーザーデータは今のデザインに欠かせない存在です。レコメンデーションや操作の省略など、ユーザー体験の向上に役立っています。また、デザインを提案するときもデータがあるとないとでは説得力が違います。 「ユーザーのため」と耳障りの良い言葉を添えてユーザーデータを集めた先には何があるのでしょうか。それは本当にユーザーのためになっているのでしょうか。Google 社員向けに作られた「The Selfish Ledger」というビデオがユーザーデータを集めた先の世界を描いています。 2016年に作られたこのビデオは Google のプロダクトビジョンを描いたものではなく、Google のデザイナーの教育向けに作られたそうです。このビデオで描かれている世界を目指すべきなのか、それとも別の道や考え方を模索すべきなのか。見る人によって様々な意見が生まれそうです。 ビデオでは全人類のデータを集めることで今までにない体験をユーザーに提供できるとしています。データはユーザーのプロフィールや行動という表層的なところに留めず、DNA にも及んでいます。生まれてくる子供達

仕事

Q&A デザインへの課題や不満をどう捉えますか?

> デザインが理解されない、という問題点と、デザイナーの存在価値を認めてもらえない、という不満を混在させると厄介なのかな、と感じているのですが、それら二つはやっぱりイコールでつながるものでしょうか。 匿名 同じ言葉 != 同じ意味 「デザインはビジネスに貢献する重要なポジションになってきている」 デザイナーとそれ以外の方でこの言葉の受け取り方が異なります。私たちデザイナーであれば、重要な存在になることで本来すべき理想的な工程と成果物が作れるようになると考えるでしょう。しかし、その考え方はデザイナー視点であって、他の役職の方が同じように捉えているわけではありません。デザインというものを『導入』すれば儲かるから重要なポジションだと捉えている人もいます。 同じ言葉でもまったく違う捉え方ができるわけですから、誤解も生じます。「デザインは重要」と言われているからといって、デザイナーが想像する重要な存在になったときの世界とは異なります。理想と現実とのギャップが「理解されない」「存在価値を認めてもらえない」という不満に繋がるのではないかと考えています。 デザイナーに対して「デザインは重