デザイナーの好奇心とは何か

収集と文脈理解、両方があって初めて好奇心は仕事に活きてきます。

デザイナーの好奇心とは何か

よくデザイナーの成長には好奇心が必要だと言われます。
デザイナーへのアドバイスでも「好奇心を持て」とよく言われることがあります。では、この「好奇心」とはそもそも何を指しているのでしょうか。

多くの場合、美術館に行くこと、たくさんの本を読むこと、様々なアプリやwebサイトを触ってみることを指します。こうした体験を積むことは確かに大切で、感覚を養う上で重要です。

ただ、それだけで本当に成長へつながるのでしょうか 。美術館で見た展示デザインを写真に撮っても、実際の仕事では使わない。参考になりそうな素敵なUIを保存しても、自分のプロジェクトに活かせない。こうした経験は、多くのデザイナーが持っているはずです。

ここで言う「好奇心」は様々な作品に触れるだけでなく、もうひとつの意味があると思います。今自分が目にしているアプリやwebサイトが、どのような文脈や制約に基づいて作られているのかを考えることです。

たとえその考えが間違っていたとしても、「なぜこのような見た目になっているのか」「どのような状況がこの見た目を生み出しているのか」と想像を巡らせることが大切です。そうすることで、見た目だけでは分かりにくい制約や事業の状況、またユーザーのことが見えてくることがあります。

なぜこの機能は目立つ位置にあるのか。なぜこのフローは3ステップではなく5ステップなのか。なぜこのボタンを目立たせているのか。こうした「なぜ」を問い続けることで、見た目の背後にある意思決定の構造が見えてきます。

収集と文脈理解、両方があって初めて好奇心は仕事に活きてきます。
最近見たデザインは、どのような文脈から生まれたと思いますか?

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。