UXとコンテンツが繋がるワークショップの裏側

2つのワークがある長時間イベントでしたが、「ジャーニーマップ」というデザインを進めるための道具をどのように使えばいいのか体感できる場は必要だと考えています。道具を通した意見交換が、デザインプロセスの理解の近道になります。

WebBridge イベントの様子

2月28日 Webridge Kagawa 主催で「UXデザインプロセスを活用したコンテンツの評価方法 」というセミナー&ワークショップが開催されました。このイベントは金沢名古屋でも行いましたが、いずれも高い評価をいただきました。先週開催されたイベントでも、実戦にもつかえる手法を学ぶことができたという感想を述べていた参加者が何人かいました。

本イベントは 5 時間という長丁場だけでなく、2回のワークショップがカリキュラムに含まれています(初回の金沢では 6 時間半でした)。今回どうしても外せなかったのがワークショップを二回するという部分。カスタマージャーニーマップを作るだけでなく、実際に活用して欲しいからこそ 2 回のワークが必要となりました。それによりイベントが長時間になり、主催者側のリスクだったと思いますが、ご協力ありがとうございました。

道具は使ってはじめて活きる

セミナーで紹介したペルソナやジャーニーマップは、私の中でデザインプロセスを進める手法というより、道具と捉えています。これらがあることでプロセスが進めやすくなりますが、ペルソナやジャーニーマップを作ったことで何か変わることはありません。進めるための道具であって、道具が進める力をもっているわけではないわけです。

ペルソナやジャーニーマップを作るワークショップに参加したことがありますが、なんとなく消化不良になることがあります。ジャーニーマップという名の道具を作っただけであって、それをどう使えば良いのかが明確にならなかったからかもしれません。

もちろん、そうした道具を作るワークショップが意味のない行為だとは思いませんし、まず基本を学習したい方も少なくありません。しかし、作り方を覚えただけではデザインを進めることが出来ないどころか、単なる負荷になることもあります。自己満足で終わってしまうのはもったいないわけです。

私自身似たようなワークショップをしたことがありますが、参加者から「面白かったけど、これを現場でどう使えば良いのか分からない」という言葉をいただいたことがあります。今回、どうしても2つ目のワークショップを入れたかったのも、作った『道具』を活用して、デザインやコンテンツを考えるプロセスを体感して欲しかったからです。

使うことで道具の重要性に気付きますし、次回に向けてどのように工夫すれば良いのかも見えてくると思います。

ワーク1の成果物を利用して議論 2つ目のワークでは、最初のワークでつくったジャーニーマップを見ながら議論するシーンをところどころで見かけました。

もう一歩突っ込んでみる

ワークショップを始める前に、欲しい情報を見つけるための手間を体験してもらいました。Web サイトを制作している方は、見た目を変えたり、情報を整理すれば良くなると考えがちですが、それだけはどうしようもないことがあります。デザインの価値を増幅させるためにも、まずはコンテンツを見直しが必要ですが、どう考えれば良いか分からないことがあります。

デザインの批評にも言えますが、「分かりにくい」「つかいにくい」「見にくい」という簡略な表現で片付けてしまうことで、具体的に何をするべきなのか共有できていないことがあります。コンテンツ制作にも同様のことが言えて、言葉をもう少し深堀して考える必要があります。

例えば、利用者が「(地図が)わかり難くて駐車場が見つからない」という悩みに対して、「地図を見やすくする」という提案は不十分です。何を見やすくしたいのか分からないですし、見やすくするための手法は数多くあるので、何をするべきか明確ではありません。

また、「Google マップを導入する」というのでも具体性があるように見えて、そうではありません。技術的な解決策ですが、それを実装したところで利用者が抱えている「駐車場が見つからない」という悩みが解決できるか不透明です。具体的に何をすることによって、ターゲットにしている利用者の悩みを解決できるのかを考えることがコンテンツ作りです。

今回は時間の都合上、ペルソナはすべて用意しましたが、わざと『穴』のある内容にしました。完璧なプロフィールではなく、想像できる余地を持たすことで、ペルソナを共有する時間を設けたかったからです。ペルソナはマニュアルのような存在ではなく、利用者像を共有するためのキッカケだと考えています。ペルソナシートを読んで受けた印象や、「実際こんな人なのかも」といった憶測を共有する時間をもつことにしました。

ペルソナシートを読んだだけでは、皆が同じようにユーザーのことを理解したとはいえません。会話をしたり、ちょっとした言葉に対して「それはどうい意味ですか?」とあえて尋ねてみることで理解が深まっていきます。

小さな言葉から会話を進める様子 何気なく書かれているキーワードを抜き出して、利用者の意図を理解。そこから何をするべきなのかを一緒に考えていきます。フォーカスが緩んだ時に立ち返る場所としてジャーニーマップがありました。

今のところ本イベントの再演は予定していませんが、リクエストがあれば何処でも駆けつけますので、社内イベントも含めて興味のある方は声をかけてください

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
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