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公平と平等はイコールの意味ではない

ひとりでデザインするということは、そうはありません。クライアントだけでなく、様々な技能や背景をもった人たちと一緒にデザインを進めることになります。

作業をするのがデザイナーひとりだったとしても、彼等はデザインに対して意見を出してきます。新しい視点を学ぶ機会になるので意見を出し合うことは重要ですが、すべての意見を実践しようとすると、らくだをデザインするということになります。デザイン批評をする機会がもてない場だと、デザインという行為が少しずつ本来するべきこととは離れたところへ進むことがあります。

誰かと一緒に考えて進める工程はデザイン批評だけに留まらず、プロダクト開発のすべてに言えることです。私は常に公平であることを意識して会話をするようにしています。『公平』という言葉を聞くと、誰もの意見に耳を傾けて取り入れているように聞こえるかもしれません。しかし『公平』は、『平等』とは異なります。プロジェクトに関わるのであれば、誰もが工程に参加するべきですし、意見も出し合えたほうが良いです。だからといって、皆のアイデアが採用されることはありません。

皆がそれなりに納得でいるように、平等に意見を取り入れるという考え方は毒です。プロジェクトのゴールに沿って判断をするというのは当然のことですが、人間なので様々な考えや思惑が生まれることがあります。

公平であるための4つの注意点

公平に考えましょうと書くのは簡単ですが、実際は以下の 4 点について気をつけていないと、公平な判断ができなくなるどころか、周りからも信頼を失う恐れがあります。

えこひいきをしない

誰でも好き嫌いはあります。それは、デザインテイストだけでなく、一緒に働く人も対象です。好き嫌いをなくしましょうといっても、簡単になくなるものではありません。しかし、「私は嫌われている」「あの人の意見はすぐ通る」みたいな印象がチームメンバーの間で浸透してしまうと、意見が出ないどころか信頼を失う可能性があります。

偏見をもたない

誰でも悪いニュースや批判を直視するのは辛いです。感情的なものであればなんとかなりますが、調査結果や解析データのような確固とした情報は無視し難いです。それらを無視して、自分が正しいということを証明するためにプロジェクトを進めるわけにはいきません。時には直感は必要とされますが、自分の感覚だけで進めることの危険性を意識する必要があります。

自己利益を考えない

「自分がこれが欲しいから」「自分の評価はこの指標で決まる」という考えは、言葉にしなくても周りは気付きます。プロジェクトのゴールや、チームメンバーからの意見を尊重しなくなり、信頼を失いということになります。

都合の良い解釈をしない

数字は嘘をつきませんが、数字を基にして様々な解釈をすることができます。データを無視するだけでなく、解釈を曲げて自分のアイデアを押し通すのは良くありませんし、そうしたデータをつかって相手を批判することは避けなければいけません。失敗を誰かのせいにすることも、都合の良い行動に見えてしまうことがあります。



こうした公平であるための行為は、利用者だけでなく、手を動かす制作者・開発者にもメリットがあります。作る工程を理解した進め方をしなければ、チーム全体の雰囲気にも大きく影響を及ぼすからです。たとえ自分の意見が通らなくても、意見を発するタイミングがあるかないとでは、作るモチベーションも変わるはず。上記の注意点は『当たり前』のことですが、常に意識していなければハマる落とし穴だと思います。平等ではなく公平な決定をするように心がけることが、良い製品作りや改善には欠かせません。