デザイナーが相手にアイデアを伝えるときの心構え
日本国内外問わず、優れたデザインのサイトが増えてきているのを見ると、デザイナーと開発者が分断されているイメージは昔のものと感じることがあります。全体的に見ればそうなのかもしれませんが、悩んでいる方も少なくないも現実。技術的な要素が非常に強いと同時に、感性だけでは成り立たたない Web デザインにおいて、自分とは違う分野の方とのコミュニケーションは永遠の課題といえるでしょう。良いデザインを作り出すためには、どのようなことに気をつければ良いでしょうか。
以前執筆した「建設的な会話をするために気をつけておきたいこと」も似たようなトピックを扱っているので興味がある方はどうぞ。
開発者になる
もちろん本職として仕事にしろという意味ではありません。Perl でも PHP でも Ruby でも何でも良いので、簡単なプログラムを作ることで彼等がどのような考えでモノを作り上げているのか分かります。開発者の声を聞いたり、書籍を読むのも手段ではありますが、体験することが最も効果的です。
もしデザイナーが技術的な側面から提案をするとどうでしょうか。開発者も話がしやすいと感じ、デザイナーの信頼度も増すでしょう。システムに関する話もデザイナーの視点からソリューションを提供出来るかもしれません。
アーティストは追い出す
ビジネスにおけるデザイナーの立ち位置は、表現者ではなく、適応者であり助長者です。開発者だけでなくビジネスに関わる人たちが当然関わってくるだけですから、彼等の明確になっていない思いをいかに形にするかが鍵です。もし他の方がデザインしてみたいと言ったのであれば、させてあげましょう。それが最終型への道筋になるかもしれませんし、言葉では伝わってこなかった意図が見えてくるかもしえません。「私がデザイナーだから」というエゴは適応者とはいえません。
デザイナーという言葉は非常にやっかいなもので、人によってはアーティストとさほど変わりない捉え方をしています。そういった方は、デザイナーを少々扱い難い厄介人と考えているかもしれません。そんな彼等から信用を勝ち取るためには、一歩下がって耳を傾けることも必要でしょうし、何よりもアーティスト的な態度は捨ててしまいたいところです。
ビジネス側の人と時間を過ごす
開発が進んだ後の仕様変更はデザインの変更よりコストがかかります。デザインだけの変更は考えられますが、機能追加・変更はプログラムだけでなくデザインにも影響が出るので、開発が始まった時点で途中の変更は最小限に抑えておきたいところ。そのためにもデザイナーはいろいろ決まるまで待っていないで、決定権があるビジネス側の人とのコミュニケーションが必要です。
モックアップや紙で描くだけでも機能や見た目はある程度伝えることが出来ます。最初は「完成品を見て決めたい」と言うかもしれませんが、コストパフォーマンスの良さや洗練されていくプロセスを早い段階で見れるので、考えが変わる可能性があります。ビジネス側の人と話すことで、デザインの方向性も見えてきますし、彼等の信用を勝ち取ることも出来ます。
デザインを説明出来るようにする
感覚的なところが多いデザインですが、感覚を完全に共有していることは考えられません。センスにしても、デザイナーが信頼されていて初めて成り立つことでもあります。たとえ直感で作ったとしても論理的に説明しなければ相手に伝わらないわけです。
Webデザインの歴史は浅いですが、デザインは長く研究されている学問ですし、探せば文献や資料もたくさんあります。論理的にあなたのデザインを説明するときに欠かせない材料がたくさん隠れています。もちろん、説明するときに使うだけでなく、あなたの次のデザインの良いインスピレーションになる場合もあります。