人々のためのコンテンツをつくるという視点
利用者ニーズへのフォーカスは成功する
利用者が求めているコンテンツや機能を提供する。
とてもシンプルかつ当然のコトのように思えますが、実践が難しいことがあります。多くの Web サイトは、配信側のニーズ(製品を売りたい、プロモーションを見てほしい、など)を優先して配置することがあります。配信側のニーズではなく、利用者のニーズにフォーカスしたコンテンツ配信をはじめなければいけません。
プロモーションやアピールを中心にしている Web サイトデザインとは真逆の考え方ですが、良い結果に繋がっているサイトも幾つかあります。例えばノルウェーの The Norwegian Cancer Society (ノルウェーがん協会)は、自分たちのニーズ(寄付金を集めたい)ではなく、人々のニーズ(がんの症状や治療方法を知りたい)を優先して配信したことで、人の動きが大きく変化しました。(参照)
- 月間寄付数 88% 増加
- 会員登録数が 164% 増加
- 訪問者数が 80% 増加
利用者のニーズに合わせたコンテンツを配信するには、まず「What(なに)」が必要とされているコンテンツかを探る必要があります。そのために、シナリオを制作・共有するというアプローチがありますが、それだけでは十分ではありません。「What(なに)」が特定できたとしても、利用者に向けて最適化しなければ、伝わらないことがあります。
「情報=コンテンツ」ではない
利用者が必要としている情報が掲載されていれば、彼等が満足するわけではありませんし、購入やお問い合わせといった行動にはならないかもしれません。専門用語や、業界語が並んでいたり、生データのように数値や言葉が羅列しているだけでは、理解することはできません。情報を、利用者ができるコンテンツに変える必要があります。そのために出来ることは、幾つかありますが、例えば以下のような手法が用いられます。
- 何が重要なのかが分かる図や絵をつくる
- 文章構造を整理して、スキミングしやすくする
- そのとき適した構成に組み替える(物語とジャーナルでは構成が異なる)
- ターゲットにしている利用者にとって難しい用語の代わりになる言葉を用いる
- ターゲットにしている利用者が共感しやすい言葉遣いを用いる
- 営業トークや文脈に合わないフレーズがある場合は、削除か編集をする
Webサイトは、所有する企業や団体のメッセージを伝える配信媒体のような役割を果たすことがあります。もちろん、そのような側面は多少あって良いですが、自分たちの「伝えたい」という気持ちが強すぎて、利用者が目的へ辿り着けなくなることがあります。利用者にとってのコンテンツは、彼等のタスクやニーズの達成を補助する要素であり、それ以外はノイズといっても過言ではありません。配信側からすればコンテンツと思い込んでいるものも、利用者の視点でみるとノイズであり、コンバージョンの妨げになっているものがあります。
Webサイトが、よりビジネスの一部として機能する存在になるのであれば、コンテンツを企業・団体寄りではなく、今まで以上に利用者へ向けなければいけなくなるでしょう。