ここ 1, 2 年でアプリが爆発的に増えただけでなく、スマートフォンの普及により Web がさらに身近になりました。便利な世の中になったかのように見えますが、今見るトレンドから新たな課題が浮き彫りになりました。今年末から来年にかけて、デザインの観点から解決していきたい課題が 4 つあります。こうした課題を Web やイベント、会合を通して議論できたらなと考えています。

一貫性のないジェスチャーインタラクション

マルチタッチスクリーンは、インタラクションデザイナーに新たな可能性を提示たのと同時に、大きな課題を残しています。ジェスチャーUIの課題と対策でも指摘しましたが、現状ジェスチャーにはスタンダードと呼べる操作がなく、アプリごとに異なる解釈をしています。

iPhone のメールアプリで左から右へスワイプをすると「削除」のボタンが右側に表示されますが、同じジェスチャーを Twitter 公式アプリですると、スワイプした項目は消えて新たにメニューが表示されます。これが Facebook になると、スライドイン式のメニューが表示されるようになっています。

アプリによって目的や機能が異なるので、すべてのアプリで同じジェスチャーをすれば、同じような結果が戻ってくるようなことは出来ないでしょう。しかし、アプリごとに『癖』を覚えなくてはならないのは利用者にの負担です。ジェスチャーは GUI に頼らず、スクリーン上のオブジェクトを操作できる素晴らしい手法ですが、利用者に知らせるための方法や、別の手段を紹介する必要があるでしょう。

「不便」を誘発する不明確なエラー

テクノロジーは我々の生活を楽にするはずが、逆に不便なことがあります。特にテクノロジーが私たちが思っているように動作しないとストレスになることがあります。特にモバイル環境でいえることですが、何がエラーになっているのかが分からない場合があります。ヒューマンエラーなのか、アプリ自体なのか、それともネットワークやハードウェアの状態なのか。エラーを引き起こす要因は幾つかあるわけですが、それが明確にされていないだけでなく、元の作業にうまく戻れないこともあります。

利用者はたとえネットワークが悪い場所にいたとしても、コンテンツが表示されなければアプリが「使えない」と言うことがあります。なぜエラーになったのかを詳しく説明する必要はありませんが、どうしたら回避できるのか、何をすればもっと便利に使えるのかを提示することで、エラーへの理解を深めることができるでしょう。

過剰な装飾による UI のギミック化

Apple の公式アプリをはじめ、リアルオブジェクトに似せた UI 表現を Skeuomorphic と呼びます。スクリーンショットでは美しく見えますが、使いやすさ、処理のしやすさという視点から見るとベストソリューションとは言い切れません。

メタファーが作り出す期待値と使いやすさの関係ポッドキャストの第 59 回でも取り上げましたが、リアルオブジェクトと似せることで、利用者に異なる期待値を与える可能性があります。また、操作 UI と装飾としてのインターフェイスとの違いが認知し難くなることで、操作性にも影響することがあります。

機能や操作性を補助するためのビジュアルが、自己表現のためのビジュアルに見えてしまうのが、Skeuomorphic の課題です。もちろん、Skeuomorphic にしたら、使いやすい UI が作れないというわけではありません。しかし、アプリ自体の表現のためではなく、使いやすいさを重視したバランス感覚を要します。

通知の嵐、関心の奪い合い

ソーシャルメディアは、人の関心を通知という形で奪い合いっているかのようにみえます。スマートフォンやパソコンを開くと様々な通知が数分・数秒単位で押し寄せてきます。これにより、多くの方と常に繋がっているような感覚を得ることができているものの、我々の日々の生活における集中力も同時に奪われています。数が少ないうちは通知によってキヅキを得ることができましたが、あまりにも多いと通知は何も意味をもたない存在になります。

利用者への通知方法は、Eメールから大きく変化していません。更新されたら伝えるのではなく、利用者のネットワークや文脈の状況に応じたきめ細かさが必要とされるでしょう。これは技術的な課題ではありますが、デザイン視点でよりグッドタイミングな告知、やさしく伝える告知を考えることが出来ると考えています。