イマドキの電子出版プラットフォームいろいろ
電子書籍であれば、様々な方法で出版できるようになった現在。日本国内でも Puboo が好調ですし、類似サービスも数多く出揃ってきました。もう出さない理由はないといってもいいくらい、自分のニーズに合わせて電子書籍が出せる状態になってきました。ファイル形式も分裂状態ですし、ソフトウェア UI も発展途上ですが、まずは電子書籍の世界に飛び込むための土台は作られているといえます。
テキストを流し込むと ePub のような比較的汎用性の高いフォーマットに変換・その場で販売というサービスであれば幾つかありますが、他にどのようなサービスがあるのでしょうか。中には独自のネットワークやビジネスモデルをつくっているサービスがあります。また、こうした電子書籍の時代だからこそ紙の書籍を軸にしたサービスもでてきています。
今回は最近注目されている出版プラットフォームを幾つか紹介します。
24Symbols
無料で読める電子書籍プラットフォーム。Webブラウザとアプリで書籍が読めるようになっており、クラウドを活用した読書の同期やコメントの共有といった機能があります。無料版では広告が出るようになっており、月額料金を払うと広告がないシンプルな状態で読書が楽しめるようになっています。出版社・著者は、書籍が読まれることで収益を得ることが出来るようになっています(広告収入や会員費から)。著者向けのツールも幾つか用意されており、どれくらい読まれているのか、何が共有されているのか分かるようになっています。
unbound
書籍版Kickstarter。出版社など仲介者はなし。著者と読者が協力して本を出すのがコンセプトです。Kickstarter と同様、投資額が多ければ、特典が付いてきます。紙の書籍、電子書籍にするかは著者と読者次第。まだ一部の著者のみがプロジェクトを立ち上げることができるベータ状態ですが、unbound が軌道に乗れば誰でもプロジェクトを立ち上げることが出来るようになるでしょう。
Leanpub
ブログでも何でも取り込んで配信・販売が可能なプラットフォーム。印税は書籍販売価格の 90% (マイナス50セント)と高い比率が特徴。HTML を納品すれば ePub, PDF, MOBI に変換してくれるそうです。宣伝・流通のための機能が充実していないのが難点ですが、自由に自力にやりたいという方にとってはシンプルなサービスです。
Byliner
Pandra のようなレコメンデーション機能を実装した読書エンジン。ノンフィクションを中心にエッセーやショートストーリーを取り扱っています。まだ立ち上がってしばらくしか経っていませんが、既に30,000以上の本があります。Byliner が販売しているのではなく、iBookstore や Kindle で Byliner が取り上げている作品を購入できます。Byliner に参加することで、自分の読書傾向から別の書籍を勧めてくれます。著者も Byliner に登録することで、読者とのコミュニケーションをとることが可能になります。
Atavist
Byliner は記事より長くて本より短いノンフィクションを中心に紹介していますが、Atavist もコンセプトは類似しています。ここでしか読めないノンフィクションが現在数冊出版されています。独自のリーダーを iPad / iPhone 向けにリリースしていますが、Kindle や Nook でも読むことができます。Byliner との大きな違いはオーディオとビデオを部分的サポートをしているところでしょうか。どれも低価格で販売されているので、気軽に買えますね。
bookleteer
意外とないのが絵本やポートフォリオを出版するサービス。そんなニーズに応えてくれるのが bookleteer です。PDFなので、ePub や MOBI に比べるとレイアウトを自由に構成できるのが魅力。独自のオンラインリーダーへの出力も行ってくれます。また、オンデマンド印刷サービスとの提携により、50冊から低価格で本をつくることもできます。日本への輸送もしてくれます。
BookBrewer
文章を書くことだけに集中したい方はこちらがオススメ。複数のファイル形式の書き出し、有力な電子書籍ストアへのアップロードをすべて代行してくれるサービスです。有料サービスですが、ファイル形式の書き出しだけや、配信だけを任せることもできる柔軟性の高い料金体勢。配信を BookBrewer に任せても、特別な料金がかかるわけでもなく、90% 以上のロイアリティを保証しています。あなたのために働く電子書籍のためのエージェントみたいな存在ですね。
App Press
iOS だけで良いから素敵な見た目の本が作りたいという方にオススメなのがこちら。簡単にアプリ版の書籍を作ることができるのがこのサービスの特徴です。充実したビジュアル編集ツールをつかってアプリを構築できます。簡単なインタラクションもプログラミングの知識がなくても加えることが可能。App Store で販売するためには、それなりの金額を支払う必要がありますが、プログラマーを雇って書籍アプリを開発することを考えれば良い投資かもしれません。