絵文字のアクセシビリティについて少し調べてみた
Peach🍑を紹介する記事で、絵文字が世界的な共通言語になりつつあると紹介しました。日本でも Twitter が紅白歌合戦用の特別ハッシュタグ+絵文字を実装するなど、絵文字がコミュニケーションにおいて重要な位置付けになりつつあります。
しかし、アクセシビリティはどうなのでしょう。
目では絵として表示されていますが、中身はコードです。実際、どのように読み上げられるのでしょうか?そもそも読み上げられているのでしょうか?
サポートが広がる絵文字読み上げ
年々音声読み上げの精度は上がってきており、絵文字サポートもそれに合わせて増えてきているようです。例えば Google Voice は、2014 年に絵文字読み上げをサポートしましたし、NDVA でも有志の方が絵文字読み上げのための辞書を無料で配布しています(英語のみ)。
iOS の VoiceOver は、特別なアプリをインストールしなくてもすぐ利用できる高性能の音声読み上げ機能。もちろん、VoiceOver でも絵文字を読み上げてくれます。実際どのように読み上げられるのか調べてみました。
- ニンマリ顔、目が笑っていない
- ひとりのシルエット
- グッドのジェスチャー、やや色白の肌
- ツノのある怒った顔
- ウンチ、顔つき
- 猫の顔
- 鍵
- 古い鍵
- 百点満点
文脈と絵文字にある隙間
絵文字がどのような形状をしているのかをきちんと説明していますが、コミュニケーションの手助けになるかどうか疑問です。絵文字に多くの意味が含まれていることがありますし、メッセージの装飾として使われることもあります。肌の色に関する説明が加えられていたとしても、それがどういう意味があるのか(そもそも白肌とはどういう色か)分からないということもあるでしょう。
昨年、Chevy が絵文字でプレスリリースを発表しましたが、これを音声読み上げすると本当に何がなんだか分からないことになりそうです。
※ PC-talker が読み上げてくれる顔文字集というページによれば、日本の顔文字を感情的な擬音として読み上げてくれるそうです。文脈に合わせた読み上げとして良い例です。
emoji.codeでプラットフォームごとの絵文字の違いを比較することができます。
たとえ絵文字がきちんと見えたとしても、分かり難い場合があります。Wired の「We’re All Using These Emoji Wrong」という記事で、様々なプラトフォームで採用されている絵文字を比較していますが、大きく見た目が異なるものもあれば、勘違いしそうな形状もあるようです。特にスマートフォンのキーボードのように、小さな絵文字がたくさん表示されていると違いを判別することも一苦労になりそうです。少し大きめに表示してくれる絵文字キーボード「Emoji++」がありますが、こうした配慮は OS 側でしておいてほしいところです。
まとめ
手軽にコンテンツを楽めるように、情報がコンパクトに視覚化される今日。絵文字はもちろん、インフォグラフィックや GIF アニメにしても同じようなことが言えます。目が見える方であれば、共有もしやすく楽しいコンテンツであっても、それが誰しも楽しめるコンテンツになっているとは限りません。絵文字は年々アクセシブルになってきていますが、コミュニケーションの文脈に深く入り込んだ絵文字を、どのように読み上げれば良いのでしょうか。また、数百もある絵文字の中から、自分の気分に合うものを探して使うといった入力側の課題もありそうです。
百聞は一見に如かずですが、視覚に頼りきったコミュニケーションでは、届かない領域はたくさんあります。