スマートウォッチ

先日からソニーの SmartWatch 3 を使い始めました。以前から Fitbit のような運動に最適なウェアラブルは使っていましたが、スマートウォッチと呼べるものは初めての使用になります。店頭で触ったり、動画を見るだけでは理解できないことが分かって勉強になります。

今回はスマートウォッチの利用を通して感じた、デザインの課題を 2 点紹介します。

Web != Webブラウザ

スマートウォッチのような小さなスクリーンで Web を見るのは非常に困難です。一応、Androidアプリがありますし、Samsung Gear S には Opera mini が実装されているので、Web を見ることができます。しかし、指で画面全体が隠れてしまうほどの小さなスクリーンでは、スマートフォンに最適化されたサイトですら満足に操作したり読むことができません。Apple Watch であれば Web ブラウザすらない状態です。

Web へ繋がる窓口が失われるように見えますが、そんなことはありません。私たちはよく Web と、Webブラウザで『見る』ことを混同してしまうことがあります。多くの方が Web ブラウザを使って Web サイトを見ているわけですが、『見る』という行為は Web アクセスの一部でしかありません。見る以外にも声を出して操作をしたり、耳で情報を聞き取るという行為も Web との関わり方です。

『音声』というと、障がい者への対応を連想してしまいがちですが、ウェアラブルの世界では、誰でも使う手段になります。Android のスマートウォッチは「OK Google」から始まります。Apple Watch にはデジタルクラウンという新しいインプット方法がありますが、Siri がより活躍することになるでしょう。音声認識は年々賢くなっており、私の知り合いの中には音声で文字入力をしている人もいます。

AudibleAudibleでオーディオブックを購入して『読む』ことがあります。移動中には非常に便利な読書方法です。

Web サイトが見れない環境はこれから増えていきます。
スマートウォッチのような極端に小さいデバイスは、見る・触るだけのデザイン以外のことを考える機会を与えてくれます。コンテンツの細分化が急務なのも、的確に簡潔な情報を音声でも届けられる状態を作らなければいけないからです。

全ユーザーが特殊な存在と呼べる世界が来ています。そのときに、見えるところだけのデザインをしているだけでは十分ではなくなります。どのような状況でも情報を取得するための手段をつくるという課題は今後も残りますし、より複雑なものになるでしょう。

グランスの体験をデザイン

腕時計で時間をみるときのことを想像してみてください。
時間の確認は、文字通り「瞬間」で行うとおもいます。だいたい分かれば良いという前提で見るときは、1秒も見えていないでしょう。

スマートウォッチを使って驚いたのが、腕時計のような「瞬間」の操作ができないことがたくさんあることです。操作や情報の理解のためにスクリーンをきちんと見ないといけないことがあります。操作慣れの問題もありますが、一連の操作のために、腕時計を 5 秒以上もかざしているのは本末転倒のように思えました。腕時計と似たような形状をしているにも関わらず、腕時計を付けているときの行為からかけ離れていると、違和感に繋がるのかもしれません。

Web Notification APIWeb Notification API のようなWeb技術を通して、Webへアクセスするという可能性が考えられます。

今まで数多くのスマートウォッチのアプリ UI を見てきましたが(例えば WatchWare ギャラリー)、スクリーンショットだけでは分からないことが多いと改めて感じました。スクリーンサイズに最適化された美しい UI も、瞬間で伝える UI になっているとは限りません。

スマートフォンでも Glance(グランス、さっと見る)を意識したデザインは重要であると言われていましたが、スマートウォッチでは、ここで質が決まるとおもいます。グランスの体験とは以下の 4 点が課題になります。

  • どの瞬間に関わる設計が必要か
  • その瞬間に利用者が求めていることは何か
  • 瞬間の体験を通して得られるものは何か
  • 瞬間で理解できる情報量はどれくらいか

昨年から注目されているカード UIも瞬間で理解させるためのひとつのアプローチですし、通知をどのように見せるかも瞬間のデザインです。また、先述した声の操作も瞬間を設計するために重要な役割を果たすはずです。

Web デザインでも、アプリのデザインでも、見えるデザインだけでは不十分になります。昨年出演させていただいた Podpatch でも、「GUIではないUIのデザイン」について話をしました。瞬間に関わるためのデザインは、スマートなデバイスが人の手元に常にある今だからこそ注目していきたいです。