自由だが孤立した仕事場

COVID-19 によって変わった私たちの働き方。Zoom のようなビデオ会議だけでなく、非同期コミュニケーションも組み合わせて徐々に最適化されてきています。

移動の必要がなくなったおかげで仕事へ費やす時間は増えたものの、良くも悪くも仕事の質は変わったと思います。作業に没頭しやすくなった一方、誰かと一緒に時間を過ごすことが仕事との向き合い方にどれだけ影響するか痛感すると共に良い解が見つかっていません。

誰かと一緒に仕事できること(時間を共にできること)が、その組織で働く意味を与えてくれます。年収 / 報酬も大事ですが、一緒に働く人が組織と自分を繋ぎ止めるピンのような存在だと思います。

ビデオ会議だけだなく、Twitch や Slack にあるような音声通話を使って常に繋がっている状態は作れますし、Miro や Figma のような同時編集環境も便利なツールです。また、バーチャル空間で会ったり、オフィスアワーを作って誰でも気軽に話しかけれる時間を設けるといった工夫もあります。

これからも様々な工夫は続けられると思いますが、それでも「なにか違う感」があります。

時と場所を共にしながら一緒に仕事することを当たり前としていたデザイナーにとっては大きな変化だと思います。意識せずともインスピレーションが周辺にあるなかで仕事するのと、スクリーンの先に顔だけが見える環境で仕事するのでは大きな違いがあります。

説明できない違和感や不安を放置して働き続けて良いのかと感じることがあります。仕事量が増えることで腰を据えてじっくり考えることができず、気付けば心身ともに消耗してしまっている人もいるかもしれません。

警察庁と厚生労働省によれば、11年ぶりに自殺が増加したと言われえいます。自殺へと発展することがなかったとしても、行き場のない違和感やストレスを感じている方はいると思います。この組織で働く意味はあるのか?といった問いが、アメリカでは Great Resignation (大量自主退職) に繋がっているのかもしれません。

働き方を学び直したい

リモートとリアルの良いトコ取りができるように見えるハイブリッドワークにも課題があります。働く場所の選択肢が生まれるのは良いことですが、性別、年齢、職種など、オフィスへ出勤するタイプが偏る可能性があります。働く自由を得るためにリモートを選んだものの、自分の声を組織へ届けるには出勤せざる追えないといった状況が生まれるかもしれません。

気付けばオフィスの光景が以前より多様でなくなり、徐々に視野が狭い仕事環境に変わることも考えられます。全員がリモートという環境では起こりにくかった声が大きい人が主導権を握るといった状況も、ハイブリッドでは復活してしまう恐れもあります。ハイブリッドという手段は用意されていたとしても、リモートで働くことで弱い立場になるかもしれません。

ワークスタイルにしろ、ツールにしろ、様々な手段があります。ただ、それらをうまく活用するには、数々の壁と学習カーブがあると思います。コミュニケーションひとつにしても手探り状態で、皆で振り返って考える機会が足りていないかもしれません。簡単に解決できることではないからこそ時間をかけるべきですが、目の前にある仕事をこなすことを優先しがちです。

働き方の選択肢を提供するだけでなく、どうやって皆と一緒に働きたいかという働く意味に対するケアを怠ると、COVID-19 が落ち着いた後も働くことへの違和感や不安を払拭することはできないかもしれません。

ユーザーも大事ですが

デザイナーはユーザー課題の発見と解決に時間を割ける強みがありますが、今私たちが必要なのは自分自身、そしてチームメンバーへのケアではないでしょうか。「なんとかなっている」という状態は、言い方を変えると悪い状態にいつなってもおかしくないわけです。初めてのこと、慣れないことをずっと続けてきたことで疲れやストレスは溜まっているかもしれません。

フルリモートで働くようになっておよそ 2 年経ちましたが、まだまだ分からないことが多いと感じる今日この頃。年末年始という立ち止まれる時間があってようやく気付いたところもあります。私たちが健康でない状態で、どうやってユーザーへ健全な価値が提供できるのでしょうか。