Indie Game: The Movie
ゲームはアートと呼べるのでしょうか。
そうとは呼べないものもあるかもしれません。ゲームはアートとはいえないと思っている人も 2012 年のドキュメンタリー映画「Indie Game」を見れば考えが変わるかもしれません。3 つのインディゲームの開発模様を追ったこの映画。その中で開発者のひとりは「自分の良いところも悪いところもすべてゲームにぶつけている」と話しています。彼等がどのようにしてゲームをつくり、世に送り出しているのかを見終わったときに「はたしてゲームはアートを呼べるのか」という疑問が頭をよぎるかもしれません。
制作会社でビックタイトルの開発に携わるのではなく、ゲームデザインからグラフィックまですべてを 1 人又は少人数で開発する意味とは何でしょうか。続編に頼ったリスクの少ない商業化されたゲームではなく、自分たちがつくりたいゲームをつくる。それはとても『カッコいい』響きですが、実際は恐怖に満ちあふれた世界です。そこで彼等は身も心も削りながら、ゲームを少しずつ組み立てていきます。開発者ひとりひとりにフォーカスしたインタビューを通して、彼等がどれだけ悩み、苦しみながらも、夢を追い続けている姿が丁寧に描かれています。
誰もがやりたいと思っていても、多くはやらない一歩を踏み出すこと。
ただ作りたいだけでは、独立してゲームは作れないと思います。劇中で紹介されているゲームはまったく違うジャンルでしたが、ゲームを通して自分たちの意志のようなものを伝えたいという部分が共通していました。自分たちの考えるゲームの姿、自分のアイデンティティ、ゲーム業界へのメッセージ・・・こうした強い想いが、彼等を突き動かす原動力となっているのかもしれません。
劇中では発売されていなかった Fez ですが、今はマルチプラットフォームで遊べます。続編の噂もありましたが、開発中止のニュースもあったり。
元々 Kickstarter からはじまったプロジェクトで、300 時間以上のインタビューを基に、この映画が作られました。映画として短く編集されているものの、(良い部分もそうでない部分も)ゲーム開発者の想いが伝わるように丁寧に作られているのが伝わってきます。緊張感や感情移入がしやすいシーンも多く、ゲームのクリエイティブプロセスの裏側や、インディゲーム業界の様子を知りたいというだけでも十分楽しめます。
ゲーム好きならもちろん、スタートアップや何かを生み出すクリエイティブな仕事をしている人であれば、一度は見る価値がある映画です。ちなみに、映画は Steam でも購入可能です。すぐに見たいという方は Steam がおすすめ。日本語字幕もあります。